咀嚼時の食品の変形・破断挙動が食感と心地良さを生み出す機構の解明
Project/Area Number |
21K14802
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 剛伸 京都大学, 農学研究科, 助教 (10793359)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 食感 / AI / 内部構造 / 美味しさ / 可視化 / イメージング / グルテン |
Outline of Research at the Start |
「咀嚼時に食品の構造がどのように変形・破断すると、いかなる食感と心地良さが生まれるのか?」は不明であり、現在の多くの食品製造工業では、経験に基づく試作と食感評価を繰り返すことで、食感の改良を図っている。これまでに研究代表者は、製造時の食品の構造を多量に計測できるようにすることで、人工知能を活用し、一部の食感の定量的な予測に成功した。しかし、多くの食品は複数の食感を併せ持っており、全ての食感と、さらには食感から得られる心地良さを予測するには至っていない。本研究では、論理的に食感の改良を図るための基礎を確立することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
「咀嚼時に食品の構造がどのように変形・破断すると、いかなる食感と心地良さが生まれるのか?」は不明であり、現在の多くの食品製造工業では、経験に基づく試作と食感評価を繰り返すことで、食感の改良を図っている。本研究では、論理的に食感の改良を図るための基礎を確立することを目的としている。 上述した目的を達成するには、食感を高精度に定量化することが不可欠である。食感を定量化するための計測機器の代表例として、テクスチュロメーター等があり、食品に付加した力に対し、食品が反発する力や挙動を計測する。しかし、機器計測で得られた数値は、人が認知する食感と必ずしも一致しないといった課題が存在する。これは、既存の機器が“平均的”な力学挙動を計測していることに起因すると考えられる。そこで、昨年度は、圧縮時の食品内部における“局所的・非均質的”な変形・破断挙動を計測する新たな機器の開発に取り組み、提案法における原理の検証までを完了した。 今年度は、原理の検証まで完了した新たな食感計測法の開発を進め、本計測法が既存法の有する欠点を克服可能であることを検証した。まず、2種類のゲル状のモデル食品試料を作製した。これらは、人が咀嚼した際の官能評価において、極めて高い正答率で異なる食感と認識されるが、従来のテクスチュロメーターを用いた試験では、有意な差が認められないものである。一方、開発した新たな食感計測法では、これら2種の試料を高い精度で識別することができた。すなわち、既存法では不可能な“人が認知する食感”を計測できる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように、今年度は、圧縮時の食品内部における“局所的・非均質的”な変形・破断挙動を計測する新たな機器の開発を進め、既存法が有する欠点を克服可能であることを実証した。特に、開発した装置は、計測の空間分解能において、人が食感として口腔内で感知する精度を理論上、上回ることに成功した。 また、食感とそれに基づく心地良さは、脳で認知されるが、その際の神経学的・脳機能学的な機構は、十分にわかっておらず、食感と心地良さの評価には、官能評価が不可欠である。しかし、官能評価においては、言語化過程を経るため、個人差の影響が大きくなることが課題となっている。本年度は、言語化過程を経ずに、人が感じる美味しさを直接計測する手法の開発に取り組み、原理の検証を完了した。 以上のように、当初の研究実施計画にもとづき、順調に研究を進展することができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、既存法が有する欠点を克服可能であることを実証した食感計測法を用い、既存法では不可能であった“人が認知する多様な食感の同時計測”をできるようにする。また、言語化過程を経ずに、人が感じる美味しさを直接計測する手法を用いて、多様な被験者に対しても本手法が有効であることを実証する。さらに、製造時(食品の構造)から、咀嚼時(変形・破断挙動)、脳での認知時(食感と心地良さ)までに生起する現象の人工知能による予測の統合化を図り、論理的に食感の改良を図るための基礎を確立することを目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)