高湿度環境におけるアブシジン酸を介した植物-病原細菌間相互作用の解明
Project/Area Number |
21K14829
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 38060:Applied molecular and cellular biology-related
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
安田 盛貴 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60749670)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 高湿度環境 / シロイヌナズナ / 病原細菌 / 葉内の水浸漬 / アブシシン酸 / エフェクタータンパク質 / Pst DC3000 / 細胞膜型アクアポリン |
Outline of Research at the Start |
高湿度環境において、葉内の病原細菌は自身の周囲に水を集め(水浸漬)増殖を促進し、病原性を発揮する。研究代表者は、高湿度環境で誘導される植物ホルモンABA(アブシジン酸)量の減少が、水浸漬に対する植物の抵抗性に寄与することを見出した。一方、病原細菌はエフェクターと呼ばれるタンパク質を介して、宿主植物のABA生合成を促進する。本研究では、宿主植物-病原細菌間の水浸漬をめぐる攻防でABAが担う役割およびそのメカニズムを明らかにし、ABA経路の標的化合物を用いた高湿度環境における植物病原細菌の病害防除を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
植物の葉に感染する病原細菌は、高湿度環境下で葉内の細胞間隙に水を蓄えることで、増殖を促進し病原性を発揮する(水浸漬現象)。病原細菌が水浸漬を誘導する仕組みが明らかになる一方で、植物がどのように水浸漬を防いでいるのか、その実態は未だ不明な点が多い。本研究では、シロイヌナズナの植物ホルモンABA(アブシシン酸)代謝酵素CYP707Aを介した水浸漬抵抗性の解明を進める。 CYP707Aは不可逆的にABAを不活化する酵素であり、シロイヌナズナでは4つの遺伝子から構成される。高湿度に晒されたシロイヌナズナの葉では、CYP707A1およびA3の遺伝子発現が一過的に誘導され、ABA蓄積量を低下させる。遺伝学的解析から、CYP707A1/A3は高湿度環境下で気孔開口を誘導し、病原細菌Pst DC3000による水浸漬を抑制することを明らかにした。 高湿度に晒された葉では、MAPKカスケードの活性化と細胞内カルシウムイオンの上昇が起きることを突き止めた。薬剤処理の結果、CYP707A3遺伝子発現誘導におけるカルシウムシグナルの寄与が示された。一方で、CYP707A1遺伝子発現誘導はカルシウムシグナル非依存的であり、CYP707A3とは異なるメカニズムで発現が制御されると考えられる。 病原細菌Pst DC3000接種した葉では、高湿度誘導性CYP707A1/A3遺伝子発現が抑制されることが示された。エフェクター非分泌株(ΔhrcC)およびエフェクター欠損株(Δ28E)では抑制が認められず、Pst DC3000のエフェクターを異所的に発現させたシロイヌナズナ形質転換体では、Pst DC3000接種葉と同様の結果が得られたことから、Pst DC3000はエフェクターを介して高湿度におけるCYP707A1/A3遺伝子発現誘導を抑制することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高湿度環境におけるシロイヌナズナのCYP707A1/A3を介した水浸漬抵抗性、および、それに対する病原細菌Pst DC3000のエフェクターを介した攪乱機構を明らかにした。また、高湿度に応じたCYP707A1/A3の遺伝子発現制御機構についても重要な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画1「高湿度環境におけるABA量減少がPIP2;6の水輸送活性を促進する仕組みの解明」については、再検証の結果、湿度依存的なPIP2;6リン酸化制御とABA蓄積量の関係性は極めて低いことが分かった。そのため、計画を「シロイヌナズナが高湿度に応じて遺伝子発現を制御する仕組みの解明」に変更する。これまでに得た知見およびRNA-seq解析結果(東京農大との共同研究で実施)を基に、シロイヌナズナ変異体を用いた逆遺伝学的解析および高湿度応答性レポーター系を活用した変異体スクリーニングを行い、高湿度に応じた遺伝子発現制御を担う主要因子の同定を進める。 研究計画2「エフェクターを介したABA制御の分子基盤および水浸漬における機能の解析」については、高湿度誘導性CYP707A1/A3遺伝子発現の攪乱における複数のエフェクターの冗長的な関与が示されたことから、所属研究室が保有するPst DC3000変異株コレクションを活用し、当該エフェクターの更なる同定を進める。また、同定済みのエフェクターを対象に、インタラクトーム解析による標的タンパク質候補の同定を行い、詳細な機能解析を進める。 研究計画3「ABA阻害剤を用いた高湿度環境におけるPst DC3000の病害防除を検証」については、ABA受容体アンタゴニストの評価試験を開始する。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)
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[Journal Article] The TGN/EE SNARE protein SYP61 and the ubiquitin ligase ATL31 cooperatively regulate plant responses to carbon/nitrogen conditions in Arabidopsis2022
Author(s)
Yoko Hasegawa, Thais Huarancca Reyes, Tomohiro Uemura, Anirban Baral, Akari Fujimaki, Yongming Luo, Yoshie Morita, Yasushi Saeki, Shugo Maekawa, Shigetaka Yasuda, Koki Mukuta, Yoichiro Fukao, Keiji Tanaka, Akihiko Nakano, Junpei Takagi, Rishikesh P Bhalerao, Junji Yamaguchi, Takeo Sato
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Journal Title
THE PLANT CELL
Volume: 34
Issue: 4
Pages: 1354-1374
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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