Project/Area Number |
21K14872
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 39070:Landscape science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
淺野 悟史 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10747869)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 訪花性甲虫 / 送粉生態系 / シイタケ産業 / 空間統計解析 / 定量調査 / 訪花性カミキリムシ / キノコ産業 / 森林利用 / 送粉ネットワーク / 送粉共生系 / 里山 / カミキリムシ / 時空間解析 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、キノコ生産による森林利用と発生する送粉性昆虫の関係から、キノコ生産による送粉生態系保全のモデルを示すものである。本研究の独創的な点は、発生するカミキリムシ類を幼虫期に採集することで発生源の樹種や位置情報を含むデータを得ることである。 長崎県対馬市においてシイタケ原木林を含む様々な植生帯から得たカミキリムシ幼虫を個別に飼養し、環境変数と合わせて空間データとし、3年間継続して調査を実施する。これらを時系列データとした空間統計解析を行い土地利用の時間変化とカミキリムシ、とくに送粉性種の割合等との関係を解析することで、原木林利用をケーススタディとした里山マネジメントの空間モデルを提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は本研究を開始して3年目にあたり、小規模な原木シイタケ生産のための落葉広葉樹の伐採(2021年11-12月)から2夏を越したシイタケ原木林における訪花性甲虫の発生データを得る、非常に重要な年度であった。これまでの結果からの想定どおり、2夏を越した伐採地からは訪花性のカミキリムシ科昆虫の発生が減り、訪花性の低いグループの幼虫が多くみられた。この結果から、伐採地の選定とサイクルを考える上で、狭い地域での伐採サイクルの維持が重要であることが示唆された。 一方で、島内の広葉樹伐採には架線管理のための枝掛かり解消のための個別の剪定パルプ産業のための大規模な常緑広葉樹の伐採、林業を目的とした針葉樹皆伐がみられる。小規模なシイタケ原木林のためにみられる落葉樹の小規模伐採の効果を検証を試みた。 このデータの中にはカミキリムシ科の生活史に関する新たな知見も含まれており、年度内に公表したもののほかに投稿準備中の成果もある。 訪花している成虫の調査ではこれまでに実施できていなかった空白期間である4月期の調査を行ったが、季節の進行が早く、晩春の顕花植物のデータを取得した。5月期に咲く開花植物の訪花性昆虫については十分なデータを得ることができたと考えている。 本研究では成果を統合し空間モデリングを目的としている。そこで、カミキムシの発生地点とその環境要因のモデル化の一環として、拡散ルートが限定的とされているフタオビミフドリトラカミキリを事例に、垂直分布、周辺植生、地形などを組み込んだモデルを構築し、得られた成果を日本甲虫学会で発表した。この成果は本研究課題の里山モデリングに拡張するための準備である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
訪花期のデータは最終年度の上半期にとりおわる予定である。データ統合と空間統計解析の予備解析を小規模流域ではあるが2023年度に実際に行うことができ、全データへの拡張の可能性が見えてきた。これまでの腐朽材食性昆虫とは異なり、伐採期、すなわち木材が発生した時期をデータ化し組み込んだことで、伐採から1夏後に、その伐採地がどの程度、訪花性甲虫の発生ポテンシャルを備えているかが明らかになり、送粉生態系のシミュレーションが可能となりつつある。伐採からの時間と発生するカミキリムシ類の種、種数、個体数、周辺で訪花していたカミキリムシのデータベースが完成しつつある。 また、伐採目的による規模の違いの影響も明らかになりつつある。この点は研究計画立案時には想定していなかったが、現地の伐採状況を詳細に調査するなかでうまれたものである。2023年の調査から想起された仮説を検証するために2024年の調査を実施予定である。この結果を加味すると、より効果的な訪花性昆虫の発生を維持する循環的な森林管理が可能になると考えられる。 架線管理のための小規模伐採残渣からは新たな食樹に関する知見を得た。極相環境の木質残渣(CWD)から発生する種についても、通過日時のわかっている台風による倒木・落枝由来の発生種を特定し、CWDの発生からの時間軸で比較することが可能となっている。これについても得られた知見を英文誌に発表するために準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
上半期に野外データをとりおえ、モデル構築と論文執筆を行う。また、8月には国際昆虫学会での発表を予定しており、それらの成果をもとに、論部を執筆する。 現地行政組織への研究成果の還元を行うため、現地で開催される研究集会に参加し成果を発表する。
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