Regulation of immune function by dulse (Palmaria palmata) and prevention of non-alcoholic fatty liver disease
Project/Area Number |
21K14912
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 40040:Aquatic life science-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
趙 佳賢 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (80829052)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 紅藻ダルス / 未利用水産資源 / マクロファージ / 自然免疫系 / 獲得免疫系 / クロロフィルa関連化合物 / 炎症 / 抗炎症 / フィコビリタンパク質由来ペプチド / 紅藻・ダルス / 非アルコール肝疾患 |
Outline of Research at the Start |
ダルス(Palmaria palmata)は北海道で安定供給が見込まれる未利用紅藻で豊富なタンパク質を含んでいるが,雑海藻と認識され,ほとんどが除去・廃棄されている.このようなダルスには,抗炎症成分が多く含まれているため,その利用価値が高い.さらに,先行研究では,乾燥ダルス由来の有効成分を効率よく分離抽出する方法を確立した.そこで本申請では,ダルスの炎症抑制成分の自然免疫系と獲得免疫系に対する影響を炎症緩和の視点から調査し,ダルスによる両免疫系の変化が,非アルコール性肝疾患の予防・緩和に関与するのか調べる.
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Outline of Annual Research Achievements |
未利用水産資源である紅藻ダルス (Palmaria palmata)の資源量は,函館市臼尻近郊だけでも,年間数千トンに到達すると推定されている。このようなダルスは,コンブ養殖の種苗ロープに繁茂して日光を遮断するため,そのほとんどが除去・廃棄されている。2022年度には,熱風乾燥処理したダルスから,有効成分であるフィコビリタンパク質由来ペプチド (PP) とクロロフィルa関連化合物 (Chls)を抽出し,免疫系全般に及ぼす影響を調べた。まず,2021年度の続きで,PP画分とChls画分の炎症抑制メカニズムについて,マウス初代マクロファージを用いて遺伝子レベルで検討を行った。また,ダルスの有効性について,自然免疫細胞であるマクロファージでの炎症抑制効果とともに,獲得免疫細胞による抗体産生への影響について調べた。 その結果,ダルスから抽出したPP画分,Chls画分が初代細胞においても,リポ多糖によるマクロファージの炎症反応を抑制すること,その作用メカニズムが各成分によって異なることが示された。特に,Chls画分については,低濃度においても,強い炎症性抑制が見られ,重要成分としてChls画分を中心に実験を進めた。さらに,Chlsによる光過敏症の懸念を払拭するため,ChlsのMgをCuに置換した(Cu-Chls)を調製し,その効果を調べた。その結果,両画分がマクロファージでの炎症反応を抑制し,そのメカニズムとしてはリポ多糖の受容体であるTLR4の遺伝子発現量を低下させることが示された。 また,マウスでChls画分の経口摂取により,スカシガイ・ヘモシアニンによるT細胞依存性抗体産生の増加傾向が見られた。さらにCu-Chls画分の経口摂取では,抗体産生の有意な増加が認められた。以上の結果は,ダルス由来のChls画分とCu-Chls画分の摂取が,マクロファージの炎症抑制とともに,獲得免疫系での抗体産生を増加させることを示し,両画分による免疫亢進効果を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は予定とおり,紅藻・ダルスのChls画分の大量抽出法,マクロファージでの作用メカニズム,獲得免疫系への影響を調査した。PP画分については,細胞実験で機能性は見られた一方,大量抽出法におけるさらなる検討が必要である。また,糖画分について,その組成を検討したが,追加分析が必要である。しかし,現段階では組成分析へのさらなる検討が難しい。そのため,2022年度は,動物摂取量が確保でき,その作用機構が明らかになったChls画分を中心に実験を進めた。特に,Chls画分については,使用酵素の検討により大量抽出法を確立し,光過敏症の改善法としてCu-Chls画分を追加し,自然免疫系と獲得免疫系に及ぼす影響を調べることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の動物摂取実験において,ダルス由来のChls画分が,マクロファージでの炎症反応の抑制とともに,獲得免疫細胞の抗体産生にも影響を与える可能性が見られた。このような結果は,ダルス由来のChls画分の摂取による免疫亢進効果が,非アルコール肝疾患や,それらの発症原因である慢性炎症を改善する可能性を示している。2023年度には,PP画分の大量抽出法を確立し,Chls画分とPP画分の摂取が,非アルコール肝疾患モデルでの症状改善効果を検討する。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)