ライブセルオミクス解析法の開発による胚発生開始機構の解明
Project/Area Number |
21K15130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鳥井 孝太郎 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 特別研究員 (80878463)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | Live-cell RNA-seq / 遺伝子制御ネットワーク / 細胞表現型 / 受精卵 / GRN / 時系列データ解析 |
Outline of Research at the Start |
本研究では胚発生の開始点前後における遺伝子発現変化の時系列を網羅的かつ高精度に示し、生命現象の根幹である最初期の胚発生原理の解明を目的にしている。さらにこの研究結果を最大限に活かすために植物の受精卵を対象に研究を行う。植物は1つの体細胞から個体を再生する分化全能性を持ち、分化能研究の観点からも非常に重要な存在である。しかし、分化全能性によって誘導される体性胚においても、どのように胚発生が開始されるのか全く不明であった。そのため、胚発生が開始され分化全能性を獲得する際の遺伝子発現変化への理解は、分化全能性の根本原理を明らかにする上でも有用であり、種の枠を超えた分化全能性の理解を促す創造性を持つ。
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Outline of Annual Research Achievements |
生命科学の発展により生命現象の裏にある遺伝子制御経路の全体像が得られようとしているが、その画一的な像では捉えられていないのが生命現象のバラつきである。具体的には培養細胞が見せる薬剤耐性があげられ、遺伝的に同質であり、同じ遺伝子制御経路が働くはずの細胞が個々に異なる薬剤耐性を示す。そして、現実の生命現象はこのようなバラつきに溢れており、そのバラつきが意味するところは、遺伝子制御経路は一つの偶像的存在ではなく、多様性に溢れる有機的存在、つまり多態性を持つ、ということである。しかし、生物学の還元的なアプローチはもちろんのこと、オミクスによる網羅的な解析であっても細胞集団内での平均化により、細胞ごとの差異を打ち消してしまう。さらに、シングルセルRNA-seq では、RNA の抽出のため細胞の破壊が前提であり、次元圧縮やクラスタリング、擬時刻といった解析によって、個別の細胞から得られた単一時点のデータが寄せ集められ、平均化されており、細胞ごとの個性を捉えるにはさらなる発展が求められている。そこで、申請者は低侵襲に細胞内RNA を抽出することで同一の細胞から時系列トランスクリプトームデータを取得し、時系列因果予測により細胞ごとに遺伝子制御経路を推定し、遺伝子制御経路の多態性を明らかにする研究に着手した。すでに同一細胞からの低侵襲なRNA 抽出とRNA-seq データの取得に成功しており、この研究が、還元的アプローチにより集積した知見を確率過程として捉え直し、実際的な生命現象の理解に結びつける草分け的に研究となることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに培養細胞と受精卵を用いた生細胞・生体トランスクリプトームを行なってきた。まず、培養細胞を用いた解析では、細胞ごとに時系列トランスクリプトームデータと細胞周期の進行速度の2種のデータを得た。時系列トランスクリプトームデータから細胞ごとに遺伝子の制御関係を推測し、得られた複数の遺伝子ネットーワークのなかで、細胞ごとの細胞周期進行の遅速を説明するサブネットワークを特定するに至った。次に、受精卵を用いた解析では胚発生の結果胚性致死を約50%の確率で引き起こす変異体を用いた。1細胞期、2細胞期、4細胞期のそれぞれの胚から時系列トランスクリプトームデータを取得し、その後の胚発生の結果データを取得した胚が孵化するか、あるいは致死に至るかを調べた。そうして得られた胚ごとの時系列トランスクリプトームデータと確率的胚性致死のデータを用いて、個体の生き死にを決める遺伝子発現の揺らぎを特定するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに論文投稿に必要な大半のデータと結果が得られており、今後は論文投稿に向けて必要となるデータを集めていく。培養細胞を用いた解析結果から得られた転写因子と制御因子の間における制御揺らぎについては、制御紳士のプロモータ上にある転写因子の結合サイトに変異を入れた変異株を作成し、実際に解析で得られた結果がwetの実験においても再現するか確認する。受精卵を用いた解析では、主要な結果が得られているもののデータのクオリティ等についての結果をまとめきれていないため、それらをまとめる作業を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)