葉表皮細胞の形態形成過程における物質輸送の顕微鏡学的解析
Project/Area Number |
21K15134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44040:Morphology and anatomical structure-related
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Research Institution | Kitasato University (2023) Japan Women's University (2021-2022) |
Principal Investigator |
秋田 佳恵 北里大学, 一般教育部, 助教 (80737122)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 葉表皮細胞 / 細胞形態形成 / 顕微鏡画像解析 / 広域電子顕微鏡 / シロイヌナズナ |
Outline of Research at the Start |
葉の表皮細胞は,隣接細胞がジグゾーパズルのように噛み合う形状を呈する.この形状は,他の組織で知られる植物細胞の成長様式では説明がつかないため,独自の形態形成機構が存在すると考えられる.しかし未だ統一的な見解は得られていない上,そもそも何のために複雑な形状をとるのかという機能解明には至っていない.そこで本研究では,走査型電子顕微鏡による切片の広域かつ高倍の微細構造観察および,蛍光観察と画像解析技術の駆使により,これまで検証できなかった物質輸送経路の存在と局在について調査し,表皮細胞の形態形成機構の解明,さらには細胞形状の生物学的意義に迫る研究を展開する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,存在が示唆されながらも観察が不可能であった葉表皮細胞の形態形成に関与する物質輸送について,最新の可視化技術により存在と局在を調査することで,表皮細胞の面積拡大と形態形成の機構を解明し,細胞形状を複雑化させる意義に迫ることである.この目的を達成するため,電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いることにより,広域かつ高倍で葉表皮組織を撮像した.植物細胞は大きく,従来は1細胞であっても微細構造の解析が可能な倍率での撮像は困難であったが,近年の固定法改良および技術進歩により,本研究では発芽1日の子葉面積において約8割に相当する領域の細胞を電子顕微鏡画像として取得することができた.広域の電子顕微鏡画像が得られれば,微細構造について,複数の細胞を対象とした統計的解析や,隣接細胞間での細胞内局在の比較解析などを行うことができるため,様々な材料への応用が期待される. これまでに,発芽1, 2, 3日の子葉における広域電子顕微鏡画像から,全体が欠損なく固定された細胞を選び,構造7種(細胞膜,核,ミトコンドリア,ペルオキシソーム,色素体,リピッドボディ,液胞)について手動トレースを行った.今年度は,精密に輪郭を抽出した各構造に対して,相互作用の有無を検証するため画像解析を行った.先に取り組んだ最短距離の測定結果から,日数ごとに近接するオルガネラの組み合わせが変化していることが見出された.そこで,各構造について総当たりで接触長を測定し,現在までに,発芽1日で相互作用しているオルガネラの組み合わせが定量的に確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者は2023年4月に続き2024年4月からも異動が決まったため,2023年度中は研究環境の整備に多大な時間を要した.そのため,最終年度に予定していた実験計画について精緻に行うべく,次年度まで補助事業期間を延長した.このような理由により,植物個体を用いた実験には遅れが生じたが,画像解析などの研究は遂行できた.本研究では当初,オルガネラ同士の最短距離を測定していたが,観察により見出された特定の組み合わせのオルガネラ相互作用の存在を検証するため,数百個の構造について総当たりでの接触長の計測に取り組んでおり,これまでに発芽後1日の解析は完了した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,発芽1日の広域電子顕微鏡画像にて確認されたオルガネラの接触について,最短距離だけでなく接触長も計測し,特定のオルガネラ同士で相互作用があることを確認できた.そこで来年度は,発芽2, 3日についても同様の計測を行い,表皮細胞の形態形成初期における細胞内の変化を明らかにすることを目指す. 研究代表者は2024年度より日本大学に異動するため,研究環境を整備する必要がある.しかし,上述の測定に必要な画像は取得済みであり,解析機器があれば遂行可能である.さらに追加の撮像についても,本研究で解析する広域電子顕微鏡画像は,引き続き日本女子大学が所有するFE-SEMでの取得を予定しており,研究計画の内容には大幅な変更は生じない.
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)