ザゼンソウの発熱形質が遺伝的多様性に与える影響の解明
Project/Area Number |
21K15149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
佐藤 光彦 公益財団法人かずさDNA研究所, 先端研究開発部, 特任研究員 (30783013)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 進化生態学 / 発熱植物 / 生態ニッチモデリング |
Outline of Research at the Start |
発熱植物はソテツやスイレンなど祖先的な植物を中心に80種ほどが知られている。一般に発熱形質は匂いの拡散による訪花者の誘引に寄与すると考えられているが、寒冷地で発熱する唯一の植物であるサトイモ科のザゼンソウ属では発熱が寒冷適応に関連している可能性がある。その場合、最終氷期における分布縮小の緩和や訪花者の滞在時間が伸びることによる集団隔離、より低温な高標高への進出などに発熱形質の寄与が考えられる。そこでザゼンソウ属を対象として、発熱形質が種内の多様性や種分化にどのように寄与したかを検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
植物の発熱形質が寒冷適応に寄与した痕跡を現在の分布情報から検出するために、発熱するザゼンソウとほとんど発熱しないヒメザゼンソウを対象として、機械学習アルゴリズムに基づくMaxEntを用いた生態ニッチモデリングによって生育適地の推定を実施した。多重共線性が強く見られる変数を除いた5つの環境変数を用いることで高い精度で現在の生育適地を推定し、分布の決定に最も寄与する環境要因が両種とも冬期の降水量が重要であることを明らかにした。発熱するザゼンソウでは冬期の降水量が多いほど生育確率が上昇し、ほとんど発熱しないヒメザゼンソウでは一定の降水量以上では生育確率が上昇することなく、頭打ちとなった。さらに2種の間で見られた生育適地の分布の詳細な比較と統計的な差異の解析を行った。予測されたモデルから生育適地の広さを定量したところ、現在よりも寒い最終氷期から現在よりも温かい間氷期、現在と時代が進むにつれて、発熱するザゼンソウでは生育適地が狭くなる傾向、ほとんど発熱しないヒメザゼンソウはおおよそ生育適地が維持されていた。いっぽうで、最終氷期から間氷期にかけて、ヒメザゼンソウの方がより生育適地の重なりが少なかった。日本各地のザゼンソウ、ヒメザゼンソウに対して次世代シーケンサーを用いた葉緑体のrbcLとpsbA-trnH領域の配列決定と、核のSNP情報をゲノムワイドに得られるMIG-seq法を実施した。葉緑体、核ともに発熱するザゼンソウでより遺伝的多様性が高いことが示された。ザゼンソウの地点とサンプル数を追加してRAD-seqを実施した。これによってより多くのSNPを得ることができた。このゲノム上の位置を特定するためのリファレンスとして、ザゼンソウのゲノムシーケンスおよびアセンブルを実施し、ほぼ全長のゲノムを決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまでの成果を第24回日本進化学会にて発表できた。論文も国際誌へ投稿中であり、現在改訂を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿中の論文の掲載へ向けて改訂を進める。また、決定したゲノム配列に対して遺伝子領域の推定と機能の予測を行い、RAD-seqとリシーケンスによって種内および種間で比較を行う。発熱種と非発熱種でどのような領域に遺伝的多様性に差があるか、自然選択の痕跡が見られるかを検出する。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)