Project/Area Number |
21K15175
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45050:Physical anthropology-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 裕介 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (90889122)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
|
Keywords | 日本列島人 / 縄文人 / 古代DNA / 自然選択 / 集団ゲノム学 / 日本列島 / 渡来人 / 混血 / 集団構造 / 表現型進化 / 日本列島内の拡散史 / 日本人 |
Outline of Research at the Start |
現代日本人は、縄文人と大陸系渡来集団との混血によって成立したとされる。これまで縄文人についての人類遺伝学的研究が多くなされてきたが、縄文人の表現型の進化や日本列島内の拡散を含めた縄文人の進化史については未だ不明な点が多い。そこで本研究では、現代人の集団ゲノム中から縄文人に由来する一塩基多型(縄文由来SNP)を検出し、縄文由来SNPを用いて縄文人の表現型進化史及び拡散史を含めた包括的な解析を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度までに、現代日本人の遺伝子型と表現型の地域的多様性が生じた過程に関する集団形成モデルを提唱した。2023年度は、より古い時代、すなわち縄文時代の日本列島ヒト集団に着目した。所属研究室で全ゲノムシーケンシングを行った25個体および先行研究で解析済みの17個体の縄文時代人の全ゲノム情報を用いて、縄文人の成立過程や遺伝的適応を解明するための解析を行った。本研究ではまず、低カバレッジの縄文人ゲノムについてインピュテーションを行い遺伝子型の推定を試みたところ、本手法によって縄文人の遺伝子型を精度良く決定できることが確認できた。インピュテーション後の42個体の縄文人ゲノム情報をもちいて、毛髪やエタノール・アルデヒド代謝能力などの現代東アジア人に特徴的な表現型を規定する複数のSNPについて、縄文人におけるアリル頻度を確認した。縄文人は、これらの東アジア人に特徴的な表現型を規定するアリルの頻度が低く、東アジア人の祖先的な形質を保持していることが示唆された。縄文人における正の自然選択の検出を行ったところ、縄文人において自然選択が働いた遺伝子座は現代の東アジア集団とは異なっており、縄文人が特異な選択圧を受けていた可能性が示された。具体的には、縄文人において、血中の中性脂肪を高める方向に正の自然選択が働いた可能性が示唆された。これについては、縄文人は狩猟採集を生業としていたことから、農耕を主な生業とする他の東アジア人と異なり、飢餓状態への遺伝的な適応である可能性が考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大規模ゲノムデータの受け取りやその後の取り扱いに、当初の想定より多くの時間を要しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、縄文時代人の全ゲノムデータを用いて、日本列島人の集団動態を明らかにするための解析を行う。
|