Project/Area Number |
21K15176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45050:Physical anthropology-related
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
木村 由莉 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (50759446)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 脊椎動物化石 / 進化古生態 / 同位体分別 / 保全古生物 / 同位体古生態 / 化石類人猿 / 同位体生態 / 進化古生態学 / 中新世 / 小型哺乳類 / 安定同位体 / 古脊椎動物 / 類人猿 / 古環境 |
Outline of Research at the Start |
化石類人猿の生態的な評価は,ヒト上科の進化を解明する上で重要である.しかし,残存した集団である現生種から多様化していた絶滅種の生息環境を外挿的に復元するのは難しい.本研究では,化石類人猿と一緒に出土することが多い小型哺乳類化石を指標動物として着目し,中新世中期から後期(=新第三紀の最温暖期から寒冷乾燥化へと向かう重要な時代)に生息した化石類人猿の古環境の変遷を高分解能で復元することを試みる.
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Outline of Annual Research Achievements |
ラット・ハムスター・アレチネズミ・マウス4種の飼育実験について離乳前から生後60日までの期間の母―仔ペアの呼気の炭素同位体比の解析結果を得た.各個体の栄養源が母乳から餌に変化する様子は指数関数型の減衰曲線で表現され,ベイズ推定によって初期値と平衡値を得た.さらに反応進行モデルを利用し,呼気における炭素同位体比のターンオーバー率を計算した.歯エナメルについてはレーザー照射による微小分析を進め,大臼歯および切歯の炭素同位体比を得た.現在までに得たデータを元に,「栄養源の炭素が歯エナメルとして固定される時の同位体分別ファクター(isotope enrichment factor)」を求めた.餌の栄養素を等しく吸収しているわけではないため,呼気の炭素同位体比を基に栄養として吸収された分の同位体比を推定し,同位体分別の計算に利用した.授乳期間中に歯の形成が急速に完了するハムスターでは,歯に認められた授乳シグナルは呼気よりも大きいことがわかった.いずれの種でも離乳後に形成される第三大臼歯にむかってシグナルが弱くなる.そこで歯エナメルの形成が完了する時期で同位体分別ファクターを比較し,呼気と同様の方法で減衰曲線とターンオーバー率を求めた.成長の早い齧歯類では呼気と歯エナメルでは同位体比の半減期が同程度に早く,同位体分別ファクターは成長によって変化するものではないことが明確になった.この実験によって各歯種の同位体分別ファクターが定量的に求められ,化石への応用が可能な段階となった.古生物学的な研究については,スペインの化石産地からサンプリングした堆積物のスクリーンウォッシングと小動物化石のピッキングが終了し,同定作業を継続している.パキスタンの化石については,およそ700万年前の堆積物から産出したネズミ亜科の化石がハツカネズミ Musの最古種であることが明らかとなり,新種として報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
呼気分析については解析が完了し,歯エナメルの分析結果と合わせることが可能となり,計画以上に進展した.海外研究機関との連携も順調である.一方で当初の想定よりもCTのマシンタイムが確保できておらず,形態データの取得がやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の上半期までに歯エナメルの分析・解析を全て完了する.同位体分別に関する結果を化石の同位体データに反映させ,中新世類人猿産地の古環境復元を試みる.飼育実験に関連するデータは執筆途中で年度内に国際誌で発表することを目標とする.形態データの取得を上半期までに完了し,下半期にデジタルクリーニングと解析を実施する.
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