Project/Area Number |
21K15182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 46010:Neuroscience-general-related
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Research Institution | Nippon Medical School (2022) The University of Tokyo (2021) |
Principal Investigator |
佐藤 博文 日本医科大学, 医学部, 助教 (40779435)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 感覚受容 / 飢餓 / シグナル伝達 / 行動可塑性 / 線虫 / ナビゲーション / 学習 / 神経可塑性 |
Outline of Research at the Start |
動物は環境情報と餌の有無とを組み合わせて学習し、効率的に餌の探索を行う。本研究では線虫が餌と共に経験した塩濃度へ向かうという行動に着目し、①線虫が経験塩濃度を記憶する機構の解明、②餌の有無に応じて行動を逆転させる機構の解明、の2つの課題に取り組む。①では経験塩濃度の記憶が神経回路のどこにどのような形で保持されているかを分子レベルで明らかにする。②では飢餓経験時の行動制御機構が餌有り条件付け時とどの様に異なっているかを解析し、感覚入力から行動出力までのどの段階で飢餓シグナルの制御を受けているかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、動物が過去の経験に基づいて、感覚情報の処理機構を調節するメカニズムを明らかにすることを目的としている。これまでに、線虫が経験した塩濃度を記憶し、餌と共に経験した場合はその塩濃度への誘引、飢餓と共に経験した場合は忌避行動を示す現象について主に研究を行ってきた。その結果、塩を受容する感覚神経と介在神経の間のシナプス極性が経験塩濃度依存的に逆転し、またそれがグルタミン酸シグナルによって制御されることが明らかになった。感覚神経-介在神経間のグルタミン酸シグナルの動態についてさらに詳細な解析を行った結果、感覚神経から放出されるグルタミン酸量の変化や、介在神経における興奮性と抑制性の2種類のグルタミン酸受容体の寄与が組み合わさることでシナプス極性の逆転が引き起こされる可能性が示唆された。 また飢餓条件/摂食条件での細胞の活動やシグナル伝達の違いについて、先行研究からいくつかの細胞内分子が寄与する可能性が想定されるが、詳細については不明な点が多かった。これについて検証を行うため、哺乳類の細胞を用いた実験系を立ち上げた。具体的には、細胞が飢餓状態に置かれた際、どのような遺伝子発現変化が起きるかをRNA-seq、ATAC-seq、ChIP-seqなどの手法を用いて網羅的に解析することを試みた。また線虫で飢餓時の行動などに寄与することが示唆されている遺伝子が、哺乳類でも機能しているかを上述の手法を含め解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、線虫が餌とともに経験した塩濃度の記憶と、それに基づく行動可塑性を制御する分子・神経機構については、おおよそ明らかにすることができた。また飢餓状態においてこれらの機構が調節されるメカニズムについてもある程度解明の見通しが立っている。これに加えて、線虫の全脳レベルでのカルシウムイメージング(4Dイメージング)を用いた実験から、網羅的な神経活動の変化とその調節機構も明らかになりつつある。研究成果についても、前年に引き続き論文として発表することができた。そのため、本研究課題の当初の計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
線虫を用いた実験については、おおむね必要な分は実施されており、今後は4Dイメージングデータの解析やシミュレーションなどが主になる予定である。またこれまでに明らかになった線虫の細胞で機能している分子機構について、哺乳類細胞を用いた系でも保存されているか、もし差があるならどの様な部分に違いがあるのか、などの検証を行う。これによって、線虫だけに限らない普遍的なメカニズムを明らかにすることを目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)