Project/Area Number |
21K15257
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 47030:Pharmaceutical hygiene and biochemistry-related
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
三反崎 聖 高崎健康福祉大学, 薬学部, 講師 (10453424)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | エストロゲン / BDNF / 卵巣摘出 / 筋肉 |
Outline of Research at the Start |
WHOが提唱した「健康寿命」の延伸は、世界的にみても取り組むべき重要な課題となっている。高齢化が進む日本では、40代から現れる更年期症状に加えて、老年期では自発的な気力も低下するが、いずれの症状もエストロゲンの低下が大きな影響を与えている(本研究ではこのようなエストロゲン低下に関連した有害事象をエストロゲン低下症と呼ぶ)。エストロゲン低下症の症状は多岐にわたることからエストロゲン補充療法や対症療法が通例となり、根本的治療は行われない。したがって、エストロゲン低下が生体機能に与える影響およびその分子機構を解明することは、健康寿命延伸や更年期症状に有効な治療戦略構築に結びつくことが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エストロゲン低下症の根本的治療に向けて、エストロゲンによるBDNF制御に関する新しい分子機構を解明することを目的とする。本研究の大きな目的の一つであるマウスの骨格筋初代培養細胞によるBDNF活性化薬のスクリーニング法開発に向け、卵巣摘出マウスにおける骨格筋初代細胞の作成に取り組んでいる。そして、エストロゲン低下症治療の創薬ターゲット探索やBDNFを介した筋肉増強に関する研究はスポーツ科学分野への波及効果も大きい。2023年度では、マウス骨格筋初代培養細胞におけるBDNF発現の変化に焦点を当てて検討した。forskolin刺激によりマウス骨格筋初代培養細胞でBDNF発現がわずかに上昇したものの、エストロゲンによる刺激ではほとんどBDNF発現は誘導されなかった。そこで、骨格筋初代培養細胞の分化を促し、分化後の細胞を用いて検討を行ったところ、分化前に比較してforskolin刺激によるBDNF発現上昇度は大きくなった。しかしながら、エストロゲン刺激後のBDNF発現変化は観察されなかったため検討の余地がある結果であった。 2024年度は、骨格筋においてエストロゲンによるBDNF発現について詳細に検討を行いBDNFシグナルにおけるエストロゲンの関与について明らかにする。また、BDNF活性化薬のスクリーニング法の確立を目指し、BDNF-Lucマウスに卵巣摘出を施し作成する骨格筋初代培養細胞を用いて、創薬ライブラリー等を活用しBDNF発現増加作用をもつ薬物の探索を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の研究では、マウス骨格筋初代培養細胞におけるBDNF発現とエストロゲンの関与を解明する目的で検討を行った。骨格筋初代培養細胞においてforskolin刺激により誘導されたBDNFの発現とシグナルの詳細を検討するために、神経BDNFシグナルに関連するアデニル酸シクラーゼ阻害薬H89、CaMK阻害薬STO-609、KN93、カルシニューリン阻害薬FK-506およびエストロゲン受容体阻害薬FulvestrantによりBDNF発現が阻害されるかを検討した。また、骨格筋初代培養細胞を分化させ、分化前後のBDNF発現に対する影響を検討した。予想通り、分化前に比較して分化後でforskolin刺激によるBDNF発現が大きくなることが明らかになった。2024年度は、BDNF-Lucマウスと創薬ライブラリーを用いて、BDNF発現増加作用をもつ薬物のスクリーニングを行う。一方、BDNF発現におけるエストロゲンの作用について有意な結果が得られていないため、2024年度では、培養細胞におけるエストロゲン受容体ノックダウンの実験を視野に入れることも検討している。 研究最終年度であるが、まだ改善すべき課題があることから、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の計画で研究を実施する。 本研究室で飼育しているBDNF-LucマウスはBDNF発現に相関してルシフェラーゼ発光が起こるため、BDNFのスクリーニングに活用できる。骨格筋初代培養細胞を用いてBDNF活性化薬のスクリーニング法の確立を目指すために、BDNF-Lucマウスに卵巣摘出を施し作成した骨格筋初代培養細胞を用いて創薬ライブラリー等を活用しBDNF発現増加作用をもつ薬物の探索を行う。加えて、骨格筋を用いてエストロゲンによるBDNF発現への影響および関与するシグナルについて検討し、エストロゲンのBDNFシグナルにおける関与について明らかにする。 一方、2022年度にマウス視床におけるBDNFシグナルの変化が観察されなかったため他の脳部位におけるBDNFシグナルの変化を検討する必要がある。候補としては、自発運動に関係していると知られている前頭皮質およびドパミン神経系の関与する線条体である。卵巣摘出マウスにおいて、これらの脳部位におけるBDNF発現変化について検討し、変化があった脳部位でエストロゲンの関与について検討する。
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