がん化学療法誘発味覚障害における味覚神経変性の関与とそのメカニズム解析
Project/Area Number |
21K15313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宗 可奈子 京都大学, 薬学研究科, 助教 (50816684)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 味覚障害 / がん化学療法 / 末梢神経障害 / 神経障害 / 医療薬学 / 薬理学 |
Outline of Research at the Start |
がん患者の数は高齢化に伴い年々増加している。この中で、患者の「がんとの共生」にとって重要となるのが、がん治療に伴う副作用をいかにコントロールできるかという点である。がん化学療法において発現率の高い副作用の一つに味覚障害がある。この味覚障害は、患者のQOLを大きく損なうが、未だに有効な予防法や治療法はなく、さらなる発症機構の解明と治療ターゲットの探索が求められている。そこで本研究では、抗がん剤による味覚神経変性に着目し、味覚障害発症のメカニズム解析を行い、さらに味覚神経変性を惹起する分子を同定することで、新たな治療ターゲットの探索を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
味覚障害は、がん化学療法において誘発される副作用の一つであり、抗がん剤投与中の患者の約6割に現れる、最も発現率の高い副作用である。この味覚障害は、患者に大きな影響をもたらし、食事量の低下から栄養状態の悪化を引き起こす。さらに食の楽しみが低下することでQOLの低下も招く。しかし、その有効な予防法や治療法は確立していないのが現状である。この味覚障害は様々な抗がん剤で惹起されるが、その中でも白金系やタキサン系の抗がん剤などは神経変性を伴う末梢神経障害を引き起こす。そしてこれまでの研究で、シスプラチンを連続投与した味覚障害モデルラットにおいて味覚神経の変性が惹起されることを明らかにしてきた。そこで本研究は、抗がん剤によって惹起された味覚神経変性が味覚障害を引き起こすのではないかという視点でメカニズム解析を行い、新たな治療ターゲットの探索を行うことを目的としている。 本研究の結果として、シスプラチンを反復投与して作成した味覚障害モデル動物において、味覚障害と、味覚神経の変性が同時に発症することが明らかとなった。一方で、舌上皮に存在する味覚受容体の発現変化の時期は味覚障害の発症時期と同じではなかった。この結果から、シスプラチンによる味覚障害の発症には味覚受容体の発現変化ではなく、舌神経の変性が関与することが示唆された。さらにこの味覚神経の変性時、神経軸索の髄鞘を形成するシュワン細胞において、髄鞘の層構造維持に重要な糖鎖合成酵素の発現が変化することも明らかにした。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)