皮膚糸状菌の病原性発現機構に関わる細胞内シグナル伝達系の解析
Project/Area Number |
21K15438
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
石井 雅樹 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (10786966)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 皮膚糸状菌 / PAK / プロテインキナーゼ / 菌糸成長 / 新奇作用標的 / タンパク質間相互作用 / キナーゼ阻害剤 / 低分子量Gタンパク質 / 真菌感染症 / Gタンパク質 / 細胞内シグナル伝達 / 感染症 / 分子標的探索 |
Outline of Research at the Start |
白癬(水虫)は皮膚糸状菌によって引き起こされる浅在性真菌感染症であり、10人に1人以上が感染していると言われるほど一般的な疾患である。皮膚糸状菌の細胞内シグナル伝達系は病原性と深い関係にあるが、その分子機構については未だ不明な点が多い。本研究では、皮膚糸状菌の病原性発現制御に関わる細胞内シグナル伝達系に着目し、皮膚糸状菌の菌糸成長における役割を明らかにすることを目的とする。本研究は皮膚糸状菌の細胞内シグナル伝達系の生理機能の理解を深めるだけでなく、皮膚糸状菌の菌糸成長に必須の分子機構を明らかにすることによって、創薬における新規分子標的の同定を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
白癬(水虫)は皮膚糸状菌によって引き起こされる浅在性真菌感染症であり、10人に1人以上が感染していると言われるほど一般的な疾患である。皮膚糸状菌の細胞内シグナル伝達系は病原性と深い関係にあるが、その分子機構については未だ不明な点が多い。本研究では、皮膚糸状菌の病原性発現制御に関わる細胞内シグナル伝達系に着目し、皮膚糸状菌の菌糸成長における役割を明らかにすることを目的とする。本課題は皮膚糸状菌の菌糸成長に必要なRac及びCDC42経路に着目し、その下流で働くプロテインキナーゼp21-activated kinase(PAK)の機能解析を行なっており、本年度はPAKの機能を欠損株及び条件発現株を用いて解析、検証した。皮膚糸状菌PAKの一つであるCla4欠損株は菌糸成長が著しく制限されることを昨年度までの検討で見出していた。そこで、抗真菌薬を用いた際に更なる菌糸成長の遅延が見られるか検討したところ、イトラコナゾールやテルビナフィンといった抗真菌薬で処理することで親株に比べ、より菌糸成長が抑制されていた。細胞内局在やタンパク質の相互作用、キナーゼ活性などを検出するため、HAタグを融合したCla4タンパク質を皮膚糸状菌に過剰発現させた。その結果、得られた菌の細胞破砕液を抗HAタグ抗体により免疫沈降した画分に目的のタンパク質と分子量の一致するバンドを確認した。得られた菌は顕微鏡観察した際、菌糸形態が異常であった。本研究は皮膚糸状菌の細胞内シグナル伝達系の生理機能の理解を深めることに繋がり、創薬における新規分子標的の発見につながると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、A.皮膚糸状菌の細胞内シグナル伝達系の生理的機能の解明及びB.皮膚糸状菌の細胞内シグナル伝達分子を標的とした薬剤スクリーニングの二点を進める予定でいた。本年度は、それらの検討のうち、A.についてRac及びCDC42の相互作用因子PAK(p21-activated kinase)の一つであるCla4の機能解析をさらに進めた。昨年度までに予定していた計画は概ね完了したが、さらに、Cla4欠損による薬剤感受性を検討し、欠損下では抗真菌薬の効果が上昇することを見出した。また、Bについては、PAKのキナーゼドメインの大量発現を継続して目指したが、可溶性のタンパク質は得られた一方、融合タグや断片長の変更によっても活性のあるタンパク質の獲得には至らなかった。大腸菌を用いた発現系では、活性を有するタンパク質の獲得は困難であると考え、現在、酵母など真核細胞生物の宿主を用いた発現系の導入を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、活性のあるCla4タンパク質の大量生成だが、可溶化タグなどを利用することで、可溶性タンパク質は得られたものの、タンパク質の活性が見られていない。現在までに、皮膚糸状菌に過剰発現したHAタグ融合Cla4を免疫沈降で濃縮した画分においてはキナーゼ活性が検出されていることから、評価系は問題なく動くことを確認しており、大腸菌から酵母など真核細胞生物を用いた発現系に変更することで、活性のあるタンパク質を大量に獲得することができるのではないかと考え、本方針で展開する見込みである。 また、本研究課題の公表を目的として、学会発表及び論文化を進めていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)