蚊の唾液による自然免疫応答と蚊媒介性ウイルス感染制御機構の解明
Project/Area Number |
21K15451
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49060:Virology-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 達也 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10837272)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 自然免疫応答 / フラビウイルス / Toll-like receptor / 蚊 / ウイルス学 / 自然免疫 |
Outline of Research at the Start |
デングウイルスや日本脳炎ウイルス のような蚊によって媒介されるフラビウイルスでは、蚊の吸血時にウイルスと共に注入される唾液の作用がウイルスの感染や病原性に重要である考えられているが、その詳細は不明瞭である。特に「アレルギー」は 蚊の吸血で誘導される主要な反応であるが、ウイルス感染に与える影響については未知である。そこで本研究では、蚊媒介性フラビウイルス感染症におけるアレルギー反応の意義やウイルス感染に与える影響を検討する。得られた知見から、アレルギー反応がフラビウイルス感染症に対する新規の治療薬やワクチン開発といった創薬標的となりうる可能性を模索していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
蚊媒介性ウイルスにおいては、蚊の吸血時にウイルス粒子と共に注入される「唾液」の作用により惹起される様々な反応が、ウイルス感染に有利な環境を作り上げていると考えられているが、その詳細なメカニズムは未だよくわかっていない。日本脳炎ウイルス、デングウイルス)、などの蚊媒介性フラビウイルスは、脳炎や出血熱など様々な疾患を引き起こす病原体であるが、ワクチン開発は困難な要因が多いため、広範囲なフラビウイルスに対する治療薬の開発が必要とされている。そこで本研究では、蚊の唾液の感染増強作用の解析を通して、フラビウイルスの病原性緩和に向けた新規の治療薬の開発に繋げることを目的としている。まず、蚊の唾液が感染局所に与える影響を検討するため、蚊(Culex pipiens pallen)から採取した唾液腺抽出物をマウスのFooptadに接種し、皮膚における遺伝子発現変化をRNA-seqを用いて網羅的な解析を行なった。蚊の唾液刺激では、様々なサイトカインやケモカインや、様々なToll-like receptorと言った自然免疫に関与する遺伝子の発現上昇が誘導されることを明らかにした。なかでも、好中球の遊走に関与する遺伝子(CSF3やCxcl1)の発現上昇が刺激後短時間で強く誘導されることを見出した。また、マスサイトメトリーや中和抗体等を用いた検討から、好中球が蚊の唾液による感染増強に重要な役割を果たすことを明らかにした。一方で、アレルギーに関与することが知れらているTh2 サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-9、 IL-13)の発現は刺激によって変化しないことが明らかとなり、唾液腺抽出物の単回投与では惹起されるアレルギー応答が微弱であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
皮膚における網羅的な遺伝子発現解析やマスサイトメトリー等による解析から蚊の唾液による病原性の増強における好中球の重要性を示すことができた。一方で、蚊の唾液の単回接種では、局所でのアレルギー反応の誘導が僅かであることが示唆され、唾液刺激によるアレルギー誘導を強く惹起させる新たな実験系の構築が必要であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、蚊媒介性フラビウイルス感染におけるアレルギー反応の役割の検討を行う。当初の予定通り、コンパウンド48/80やアレルギーモデルマウスを用いて、局所での即時型アレルギーの誘導がウイルス感染に与える影響を検討する。また、蚊の唾液の単回投与では、十分なアレルギー応答が惹起されないことから、マウスの皮膚に少量の唾液腺抽出物を繰り返し接種し(priming)、唾液に対するアレルギー応答を徐々に強く誘導させる実験系を構築する。この実験系を用いて、ウイルス感染や病原性に与える影響、サイトカインや遺伝子発現への影響、または抗アレルギー薬の効果等の検討を行っていく。これらの検討を通して「蚊の唾液」、「フラビウイルス感染」、そして「アレルギー」の三者の関係性をを明らかにしていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)