Project/Area Number |
21K15501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹内 康人 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (10735187)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | がん幹細胞 / がん微小環境 |
Outline of Research at the Start |
近年、がん幹細胞ががんの再発や転移に関与することが明らかになってきたが、未だ再発がんや転移がんに対する有効な治療法の確立には至っていない。その理由の1つは、がん幹細胞がどのように再発がんや転移がんを形成するのかが不明なためである。本研究では、がん幹細胞の非対称性および対称性分裂の制御機構に着目した、1細胞レベルのライブイメージングによって、独自に同定した乳がん幹細胞が3次元腫瘍塊(スフェア)を形成する過程を明らかにする。がん幹細胞の分裂様式の制御メカニズムを明らかにすることによって、再発がん/転移がんに対する新たな治療法の開拓につながるため、推進すべき重要な研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
がん幹細胞と呼ばれる少数の細胞集団によってがん組織が維持・増殖制御されているという概念(がん幹細胞説)が提唱されたことにより、化学療法や放射線療法後の再発がんや転移がんが説明可能となり、多くの臨床家や研究者に、がん幹細胞説が受け入れられた。がん幹細胞説では、がん組織にも階層性が存在し、がん幹細胞は、その最上位の階層に存在すると考えられてきた。本研究では、これまでに報告してきた乳がん幹細胞マーカーであるニューロピリン1(NRP1)とインスリン様成長因子1受容体(IGF1R)を用いた乳がん幹細胞の祖先細胞の同定を目指した。乳がん患者由来腫瘍組織を用いて、NRP1を高発現する細胞(NRP1high)とIGF1Rを高発現する細胞IGF1Rhighを選別し、 シングルセル解析を行なった。その結果、乳腺上皮幹細胞/前駆細胞の遺伝子発現プロファイルを持つ細胞集団の細胞表面マーカーとして、FXYD3を同定した。FXYD3は、Na+/K+ポンプの補酵素であり、FXYD3を発現する細胞は、薬剤抵抗性を持つことが明らかになった。FXYD3を標的としたNa+/K+ポンプ阻害薬として臨床で使用されている心配糖体(ウワバイン・ジギタリス)を用いたところ、抗腫瘍効果を認めた。FXYD3を発現する乳がん幹細胞集団を祖先乳がん幹細胞集団として、今後治療標的あるいは診断マーカーとしての応用を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
NRP1high/FXYD3high乳がん幹細胞集団は、高い腫瘍形成能(Tumor-initiating ability)を有しており、幹細胞性を持つ細胞の中でも上位階層に位置し、薬剤抵抗性(drug-tolerant persisters)の特徴を持つことを明らかにした。本研究成果は、本年度論文発表した(M Li, T Nishimura Y Takeuchi et al., Journal of Clinical Investigation. 2023.)。本研究の派生で新たな乳がん幹細胞集団も同定した。この乳がん幹細胞集団は、腫瘍形成能(Tumor-initiating ability)が高いだけでなく、浸潤・転移能も高い細胞集団であることが分かってきた。今後、この新たに同定した乳がん幹細胞集団の転移微小環境における役割を調べていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、がん幹細胞のみではなく、ヒトおよびマウスの乳がん組織・乳腺組織を用いて、乳がん幹細胞集団がどのように周囲微小環境を構成する細胞集団と相互作用しているのかを検討する。In vitro系では、がん細胞と線維芽細胞/がん関連線維芽細胞を共培養するオルガノイド培養系を立ち上げ、ヒト乳がんを模倣するオルガノイドにおける乳がん幹細胞と線維芽細胞との相互作用を検証する。また、独自に作成した乳がん再発マウスモデルの原発腫瘍や、乳がん患者由来移植腫瘍(PDX: patient-derived xenograft)の原発腫瘍とその自然肺転移腫瘍標本を用いた乳がん幹細胞の組織内局在や、その周囲細胞との相互作用の解析を進める予定である。
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