Project/Area Number |
21K15520
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
山盛 智子 (森田智子) 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 特任研究員 (10767750)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 染色体不安定性 / がん / 化合物スクリーニング / 細胞競合 |
Outline of Research at the Start |
染色体の倍化・異数体化などの染色体不安定性はがん細胞が持つ大きな特徴の一つである。我々が樹立したHCT116を親細胞株とする異数体細胞株は、異数体化に至る過程で多数が細胞死に至る一方 (抗腫瘍能)、10%程度の細胞が生き残る (抗腫瘍能の破綻)。 異数体化のストレスを克服した残存細胞は主に四倍体で存在しながら親細胞と同等の増殖能を示す。これらの染色体不安定性を有する細胞がどのように細胞死・生存の分岐スイッチを選択し、細胞死から免れたのかを解析し、抗腫瘍能の破綻に関わる分子の特定を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍形成は細胞老化とテロメアクライシスにより引き起こされることが知られている。細胞老化により細胞周期を停止するか、細胞老化を免れたとしてもテロメアクライシスにより最終的に細胞死に至る。一方、これらの機構が破綻した時、細胞に染色体不安定性が蓄積される。染色体の倍化・異数体化などの染色体不安定性は、90%以上の進行がんで異数体が観察されるなど、がん細胞が持つ大きな特徴の一つである。 本研究では異数体化に至る過程の細胞死・生存の分岐スイッチとなる分子を探索することで、染色体不安定性を有する細胞がどのような細胞死回避メカニズムを用いているのかを解明し、将来的に腫瘍化・増悪化の予防を目指すことを目的としている。我々が樹立したHCT116を親細胞株とする異数体細胞株は、異数体化に至る過程で多数が細胞死に至る一方(抗腫瘍能)、10%程度の細胞が生き残る(抗腫瘍能の破綻)。異数体化のストレスを克服した残存細胞は主に四倍体で存在しながら親細胞と同等の増殖能を示す。これらの染色体不安定性を有する細胞がどのように細胞死・生存の分岐スイッチを選択し、細胞死から免れたのかを解析し、抗腫瘍能の破綻に関わる分子の特定を目指す。 今まで得られた成果として、二倍体細胞が異数体化細胞に至る過程を追跡したところ、異数体化処理後3日目でG1期停止になり、大多数は細胞死に向かうことが分かった。細胞死を免れた一部の細胞は異数体化へ向かうが、その細胞群では特徴的な遺伝子発現変動が検出されている。今後化合物スクリーニング等も用いて詳細な解析を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の学術学的「問い」は二倍体細胞が異数体化細胞になる過程でどのようにして細胞死・生存が選択されるか、という点である。この問いに対する答えを得るために、染色体が比較的安定で二倍体の核型を有している HCT116細胞 (ヒト大腸がん細胞株) に対し、細胞分裂を制御する細胞分裂を制御するAurora-Bキナーゼの阻害剤であるAZD-1152を添加し、一過的にSACを抑制することで染色体不安定性を誘導 した。異数体モデル細胞樹立までの過程であるDay1, 3, 7 ,13の4点でシングルセルRNA-seq解析を行ったところ、特徴的な遺伝子発現の変動が確認できた。細胞死が顕著に現れるタイミングで減少、ないし増加する遺伝子群が同定された。これらは細胞死・生存の分岐スイッチに関連する遺伝子群と推定できる。また、経時的に増加し続ける遺伝子群も検出されており、これらは細胞の生存に関与する遺伝子群だと考えられる。 2023年4月末に出産に伴う休業から復職したものの、研究再開までに時間を要した。 また、細胞死・生存の分岐スイッチとなる分子を探索するための化合物スクリーニングを実施する予定にしていたが、実験条件の検討に時間がかかり進捗がやや遅れている。異数体化細胞を作る過程で細胞数の不均一性が見られ、播種する細胞数、薬剤添加のタイミングやどの時点での影響で評価を実施するかについて調整を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、細胞死・生存の分岐スイッチとなる分子を探索するための化合物スクリーニングを実施する予定である。低分子化合物ライブラリの添加後、一定期間培養した後にATP assayやcolony formation assayを行うことで評価する。低分子化合物を添加することによって減少 / 増加する二つの結果を想定し、それぞれを細胞死 / 生存の分岐スイッチに関与する因子として取り扱う。ヒット化合物を分類し、標的となる因子や経路を推定する。また、化合物スクリーニングで得られた結果を基に、二倍体親細胞を用いて細胞死 / 生存の分岐スイッチに関与する因子のノックアウト細胞を作製する。ノックアウト細胞の異数体化処理後、一定期間経過後の残存細胞数の計測を行い、直接的に細胞死 / 生存に関与する因子か確認実験を行った後に、RNA-seqを実施して細胞内シグナルネットワークを包括的に解析する。
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