臨床検査への応用に向けたトータルネットコレステロール引き抜き能評価法の開発
Project/Area Number |
21K15641
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
亀田 貴寛 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80758558)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 高比重リポタンパク / 粥状動脈硬化 / コレステロール引き抜き能 / リン脂質引き抜き能 / HDL / リポソーム結合ゲルビーズ / コレステロール逆転送 / 粥状動脈硬化症 / 蛍光標識コレステロール / myeloperoxidase |
Outline of Research at the Start |
HDL の血中濃度は動的な平衡状態とコレステロールホメオスターシスにより調節され、代謝様式のトータルネットに依存する。こうしたHDL のネットのコレステロール運搬能力とCEC との関連は依然不明であり、他のリポ蛋白との相互作用をうけているのか、はたしてHDL のみのCEC 測定で粥状動脈硬化のリスク評価に十分であるのかといった点は未だ解決されていない課題である。本研究では、臨床検査の応用を目的とした「トータルネットコレステロール引き抜き能評価法の開発」を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化性疾患の予防に血中のリポ蛋白コレステロールの管理が社会的にも求められている。しかし、基準範囲にも関わらず心血管イベントを引き起こす残余リスクの存在が新たに注目され、現在、リポ蛋白をターゲットにした治療・予防戦略は「量から質」への転換期を迎えている。HDLが担う動脈硬化に対する多彩な機能として、マクロファージなどの末梢細胞からのコレステロール引き抜き能(CEC)、抗酸化能、抗炎症作用、内皮機能保護作用、抗血栓作用などが示されている。特にCECはHDLコレステロールより優れた心血管疾患のリスクマーカーとして世界的に期待されている。一方で、HDLは病態や炎症によって化学的修飾を受けることが知られており、我々はMyeloperoxidaseによる酸化修飾がHDLの一部の抗動脈硬化機能を減弱させることを報告した。これらのリポタンパクの修飾の影響と並行して、そのCECを測定することは粥状動脈硬化による心血管疾患のリスク評価に特に有用であると期待されている。我々は蛍光標識コレステロールを用いた固相化リポソーム結合ゲルビーズ(immobilized liposome-bound gel beads;ILG)法によるCEC測定法を確立した。 測定法の検証において、本法は検体中のビリルビンによる影響を受けることを確認した。その解決策として、担体への蛍光標識コレステロール量を増やすことでCEC測定におけるビリルビンの影響を軽減できることが示唆された。また、蛍光標識リン脂質からリポソームを自作し、ILGを用いたリン脂質引き抜き能測定法の確立を目指した。蛍光リン脂質を用いて自作したリポソームは、凍結融解によってゲル内部に閉じ込められることが確認されたが、アクセプターとの引き抜き量の相互作用についてはまだ検討の余地が残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の研究手法におけるHDLのCEC測定は、臨床検査への直接の応用は極めて困難である。この従来法は、「細胞の使用、放射性同位体の使用、手技が煩雑、装置化が困難」という問題点をもつ。さらにCEC評価の結果は、細胞による培養条件や個体差によって複雑化する。培養細胞に代わるCEC測定法の構築は、先行研究でのリポソームを担体へ固定化する手法の確立により革新的に前進した。従来法との比較検討から、ILGが培養細胞に代わるコレステロールドナーとして有効であることを確認した。また、本測定法は従来法に比べ、再現性において特に優れており、臨床検査への応用への有効性を報告してきた。 測定における共存物質のひとつであるビリルビンによる正誤差の存在を確認したが、測定条件の改良によってその影響を軽減することに成功した。また、蛍光標識リン脂質からリポソームを自作し、ILGを用いたリン脂質引き抜き能測定法の確立を目指した。蛍光リン脂質を用いて自作したリポソームは、既製品の蛍光リン脂質含有リポソームと同様に凍結融解によってゲル内部に閉じ込められることが確認された。今回、アクセプターとしてHDL、LDL、アルブミン、血清、BDSのすべてでリン脂質の引き抜きは確認されたが、その引き抜き量はアクセプターの種類によって異なる結果となった。 一方で、HDLは病態や炎症によって化学的修飾される点は既に述べたとおりであるが、この炎症による修飾のひとつとして血清アミロイドA(SAA)が主としてHDLに作用することが知られている。今回、このSAAがLDLにも作用することを確認した。SAAはLDLの表面電荷に影響を与え、その抗酸化能力を向上させることを示す結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題ではすでに、ILG法によるHDLのCEC測定のサンプルとして、超遠心法で分離したHDLと、apoB関連リポ蛋白除去血清(BDS)を用いてきた。今後はHDL以外のリポ蛋白や血中マトリックスの影響を確認するため、超遠心法で得たカイロミクロン、超低比重リポ蛋白(VLDL)、LDLやアルブミンをはじめとする種々の成分を添加調整したサンプルを測定し、リポ蛋白間の相互作用や血中マトリックスの影響を解析する。また、血中のコレステロールの総体的な収容能力としてのトータルネットCECが評価可能であるかを検討する。トータルネットCECの測定試料として血清、全血、血漿が測定可能であるかを検討する。 併行して、固層化リポソーム結合ゲルビーズの調整法や反応条件の検討を通じて、試料にあわせた測定条件の改良を引き続き行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(25 results)
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[Presentation] Novel cholesterol efflux assay using immobilized liposome-bound gel beads: validation of condition in polyethylene glycol precipitation procedure.2021
Author(s)
Yuna Horiuchi, Takahiro Kameda, Naoya Ichimura, Katunari Kina, Kazunori Miyake, Shuji Tohda, Minoru Tozuka, Takashi Miida, Ryunosuke Ohkawa.
Organizer
The 19th International Symposium on Atherosclerosis, Kyoto, Japan, 2021.10. 24-27
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