脳幹-視床下部ネットワークを介した栄養シグナルによる摂食・代謝の制御基盤の解析
Project/Area Number |
21K16374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
永嶋 宇 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80896233)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 腕傍核(PB) / 傍視床下核(PSTN) / 腹側被蓋野(VTA) / 栄養シグナル / 内的状態 / 摂食行動 / オペラントタスク / マウス / 嫌悪行動 / 視床下部 / PACAP / 腕傍核 / 代謝疾患 / AMPK |
Outline of Research at the Start |
体の栄養状態に応じて摂食行動や代謝を制御することは、生存にとって必須の機能である。一方、糖尿病や多様な代謝疾患において、摂食行動のみならず情動制御異常も知られ生活の質を著しく損なうが、そのメカニズムはほとんどわかっていない。本研究ではマウスを用いて、末梢からの栄養シグナルを伝達する脳幹と視床下部の双方向の情報伝達に着目し、栄養シグナルが中枢を介してどのように代謝や行動を制御するのかを明らかにするとともに、組織学・電気生理学的手法を用いてその回路メカニズムに迫る。さらに、栄養シグナルの鍵としてAMPキナーゼに着目し、 栄養シグナルによる情動制御を分子から個体まで一貫して明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
生命活動において「栄養」は必須であり、動物は栄養状態に応じて行動や代謝を的確に調節することで個体の生存確率を上げていると考えられる。末梢組織における栄養シグナルは、神経伝達やホルモンなどの液性因子を介して中枢神経系の脳幹や視床下部に伝達される。興味深いことに、脳幹と視床下部の間には相互連絡が存在することが古くから知られているが、その機能的役割については未だ不明な点が多く残っている。これまでの研究から、脳幹の腕傍核と視床下部は栄養状態に応じた摂食行動に関与すると共に、嫌悪や疼痛などの情動にも関わることが知られている。従来の研究では、栄養制御と情動制御は別々の視点から捉えられがちであったが、両者の相互作用の神経回路メカニズムはほとんどわかっていない。そこで、本研究ではマウスの脳幹-視床下部ネットワークに着目して解析を行い、栄養シグナルによる行動・代謝の制御基盤の解明を目的とした。前年度までに、腕傍核から視床下部の傍視床下核(PSTN)への投射経路が恐怖による摂食抑制に関わることを見出し(Nagashima et al., Nat. Commun, 2022)、本年度のセミナー等で研究成果の発信を行った。さらに、本年度においては、腕傍核から中脳の腹側被蓋野(VTA)への経路について、行動学的、組織学的解析を行った。これらにより、腕傍核-VTA経路は腕傍核-PSTN経路とは異なり、行動タスクに応じて正負の情動シグナルを伝達しうることを発見した。また、腹側被蓋野の抑制性細胞が、回避行動を制御する負の情動シグナルを抑制していることも発見し、回路レベルから個体レベルに至る知見を得た(Nagashima et al., Frontiers in Neural Circuits, 2023) 。以上の研究成果により、栄養制御と情動制御の連関を生み出す神経回路メカニズムの解明が大きく進歩した。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)