Project/Area Number |
21K16461
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
河合 隆之 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 腫瘍研究部, 研究員 (00813867)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 高悪性度肝癌 / 大腸癌肝転移 / 癌幹細胞 / 肝癌 / 肝細胞癌 |
Outline of Research at the Start |
肝細胞癌の治療効果を改善するためには、転移・再発の中心的役割を担う癌幹細胞とともに、癌幹細胞の周囲環境を標的とした新規治療法の開発が重要である。本研究は、肝細胞癌において強い予後不良因子となるkeratin 19 (K19) に着目し、K19陽性癌幹細胞および周囲線維化肝を標的とする薬剤の有効性を検証することで、肝細胞癌の約15%を占めるK19陽性肝細胞癌に対する新規治療戦略構築を目的とする。肝細胞癌切除標本より得られる癌細胞を、個々の患者の背景肝を模した脱細胞化肝臓内で3次元立体培養し、K19陽性癌幹細胞を標的とした抗腫瘍薬、線維化肝を標的とした抗線維化薬などの有効性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は、正常肝発生において種々の機能を果たす因子に着目した肝癌研究を進め、keratin 19 (K19) 肝細胞癌細胞が幹細胞形質を有しTGFβ/Smad pathwayの制御を介した種々の悪性形質に関与していること、sex determining region Y-box 9 (SOX9) 陽性肝細胞癌細胞はWnt/βcatenin pathwayの活性化を機能的背景として幹細胞形質を呈すること、胆管癌においてCD90発現はリンパ節転移を来しやすく予後不良因子となること、を報告してきた。また、K19 fragment (CYFRA 21-1) はK19陽性肝細胞癌の追跡血清マーカーとなること、糖代謝の画像検査の一つである18F-FDGPETにより肝細胞癌におけるK19発現予測が可能となること、Osteopontin (OPN) はSOX9陽性肝細胞癌の追跡血清マーカーとなることを示し、臨床応用の可能性を報告してきた。 これらの成果を背景として現在は、K19陽性肝細胞癌・SOX9陽性肝細胞癌・CD90陽性胆管癌が示す悪性形質についてsignaling pathwayの観点から検証を重ね、新規治療薬の創出に向け研究を進めている。また、種々の肝癌検体の遺伝子変異に関する網羅的調査結果の解析を進めた結果、高悪性度肝癌の一つである細胆管細胞癌について、胆管癌と類似した遺伝子的背景を有し、免疫チェックポイント阻害薬が治療薬となりうる可能性を示した。 一方、個々の肝癌症例が有する遺伝子情報に基づいた手術治療の可能性についても検証を進め、肝癌に対する低侵襲肝切除の術後成績に対する腫瘍学的有用性を示したほか、KRAS野生型大腸癌肝転移に対する系統的肝切除が術後生存期間を延長する独立予後改善因子となるという「大腸癌由来転移性肝癌に対する遺伝子背景別の手術治療の可能性」を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
K19陽性肝細胞癌・SOX9陽性肝細胞癌・CD90陽性胆管癌の遺伝子変異に関して、様々な理由により網羅的調査結果の解析および解釈に予想を超える時間を要している一方、細胆管細胞癌に対する新規治療薬の可能性・RAS野生型大腸癌由来転移性肝癌に対する遺伝子情報に基づいた手術治療の可能性が示唆されつつあるため、原発性・転移性を含む種々の高悪性度肝癌に対する遺伝子背景別の集学的治療を検討する必要が生じ、当初の予定よりも研究進捗に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
種々の高悪性度肝癌の制御に関わるsignaling pathwayの解析を進め、得られた結果から推察される新規治療薬候補の有効性を脱細胞化肝臓における肝癌3次元立体培養モデルにて検証する。また、肝癌(原発性肝癌・転移性肝癌)における遺伝子情報と手術治療の関係性を多機関共同前向き臨床研究にて調査し、個々の腫瘍が有する遺伝子情報に基づいた個別化外科治療の可能性を検証する。
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