腫瘍発生の土壌となる遺伝子発現変化を制御することよる新規大腸癌予防薬の開発
Project/Area Number |
21K16487
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
奥知 慶久 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 腫瘍研究部, 研究員 (50852422)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 大腸癌 / 腫瘍発生 / 予防薬 / ヒトオルガノイド / 遺伝子発現解析 |
Outline of Research at the Start |
近年大腸癌治療は大きな進歩を見せているが、なおも日本において大腸癌は悪性新生物による死因として男性では第三位、女性では第一位であり(国立がん研究センター 2020)、その克服には新たな治療法の模索だけではなく、大腸癌発生の予防に注力することが超高齢化社会を迎える現代日本においては重要である。実際に大腸腫瘍発生抑制を目指して臨床試験に至った薬剤としてアスピリンなどあるが、現時点では効果と安全性の両面を満たす薬剤は存在せず(遺伝性大腸癌診療ガイドライン2020年版)、より特異的に大腸腫瘍発生を抑制できる薬剤の開発が望まれる。
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Outline of Annual Research Achievements |
申請者は大腸癌発生の土壌となる遺伝子変化についての研究を進めている。申請者は先行研究において、大腸癌に至る前の、未だ良性の段階にある前癌病変においてすでに発現が上昇あるいは低下している遺伝子群を同定しており、それらをヒト大腸癌サンプルにおいて解析するために臨床検体の収集を行っている。昨年もさらに5例のサンプル収集を進め、現時点で45例のサンプル収集および保管が完了するに至っている。 それらからCTOS法によりオルガノイドを樹立することにも成功していて、成功率も上昇しKRAS・BRAF等の遺伝子変異がそれらの成功率にも寄与している可能性があることが分かってきた。それら樹立したオルガノイドを使用して、先行研究において同定していた遺伝子群の発現量のチェックをqPCRにて行っており、一部の遺伝子に発現変化が確認できてきている。極めて興味深いことに、KRAS/BRAFなど一般的に悪性度が高いと言われるオルガノイドではこれらの遺伝子発現の変化量が大きくなかった。 また、樹立したオルガノイドの免疫染色も可能となってきており、より進行した癌から樹立したオルガノイドにて間葉系細胞のマーカーが強く発現していることが判明し、EMTの一つの証拠と考えられる。また、細胞内部のシグナル伝達経路に与える影響についても解析を進められてきている。 実際には予定よりも研究の進捗は遅れており、オルガノイド培養の試薬がメーカーからの供給不足や停止になっていた時期があること、患者サンプルの収集が想定より進んでいないことなどが挙げられる。 遺伝子発現解析をすすめるため、腫瘍細胞に対するコントロールとして使用する正常腸管粘膜からの培養系の樹立を現在試みている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒト大腸癌からのオルガノイド培養系は確立されつつあり、免疫染色による発現チェックが進みつつあるなど順調に進んでいる部分もあるが、そのコントロールとなる正常腸管粘膜からの培養系が確立できていないことが進捗が遅延している一番の原因である。加えて、ヒト大腸癌の臨床検体収集が進んでおらず、研究に使用するサンプルが十分に確保できていないことも挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ようやくオルガノイド培養試薬の供給が安定されつつあるので、現在のオルガノイド培養系をさらに拡大するために十分な臨床サンプルの収集を進める必要がある。喫緊の課題はコントロールとなる正常腸管粘膜からの培養系の確立をすすめることで、これによってRNA seqによる遺伝子発現の網羅的な解析の土壌ができる。またKRAS/BRAFなどの遺伝子変異の情報が臨床情報として調べられたものだけになっているため、すでに収集されたオルガノイドサンプルでもそれら遺伝子変異について確認する必要がある。これら遺伝子変異の情報が明らかとなれば、正常腸管粘膜から作成したオルガノイドでもこれまでの実験同様qPCRなどで、ターゲットとしている遺伝子発現の変化量を直接解析したいと考えている。臨床サンプルの収集があまり進まないことも想定して、新たな臨床サンプルに依らない、これまでストックしてきた臨床サンプルを活用した実験の進め方を模索している。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)