Project/Area Number |
21K16745
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56030:Urology-related
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
楠本 浩貴 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (10580681)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | がん微小環境 / 癌微小環境 / 乳酸 / ヒストン修飾 / B細胞 / IL-10 / ヒストン / マクロファージ / 腎癌 |
Outline of Research at the Start |
腎細胞がんは腎原発悪性腫瘍の大部分を占め、日本で年間1万人以上の死者を出しているが、増殖・進行の機序は不明な点が多い。がん細胞は解糖系亢進による過剰な乳酸の産生、分泌により高乳酸環境を形成し、自身に有利な微小環境を形成する。本研究では腫瘍内マクロファージの乳酸による転写制御機構を解明し、さらに乳酸が悪性度の高いがん幹細胞への分化に与える影響を明らかにする
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Outline of Annual Research Achievements |
がんはワールブルグ効果により解糖系を亢進し、過剰な乳酸を産生・放出する。そのため乳酸はがんに特有な高乳酸環境を形成している。今回、我々は乳酸が免疫細胞、特にB細胞のヒストンH3のアセチル化を誘導することを明らかにした。ヌクレオソームの形成に関わるヒストンは、様々な翻訳後修飾によりクロマチン構造を変化させ、エピジェネティックな遺伝子発現の制御に関与する。特にヒストンH3の27番目のリシンのアセチル化(AcH3K27)は「active enhancer」の指標として知られる。我々は、高乳酸環境が脾細胞のヒストンH3のアセチル化へ与える影響をウエスタンブロット法およびフローサイトメトリー(FACS)により検討した。その結果、B220陽性B細胞特異的にAcH3K27の飛躍的な増加が認められた。 脾細胞および脾臓から単離したB細胞を用いて、乳酸及びCD40刺激に伴う遺伝子発現RNAseqにより検討した。乳酸は単独でサイトカインを含む様々な遺伝子発現を誘導し、CD40刺激はその遺伝子発現パターンを変化させることが分かった。サイトカインの中でも特に抑制性サイトカインであるIL-10遺伝子の発現誘導が著しく、この結果はRT-qPCRでも同様であった。最後に、腎癌細胞株RENCAや膀胱癌細胞株MBT2をマウス背部皮下に移植し、腫瘍内乳酸濃度及びAcH3K27を検討したところ、腫瘍内乳酸濃度は脾臓より高く、腫瘍浸潤Bリンパ球のAcH3K27も正常脾臓B細胞より有意に高かった。以上の結果から、腫瘍内の高乳酸環境は、B細胞のAcH3K27を亢進させ、遺伝子制御を行うことが示唆された。さらに特定の阻害剤の投与によりアセチル化制御の可能性があり検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
i)ヒトRCC検体の乳酸濃度と多様な遺伝子発現との相関性 ヒト腎癌検体を使用し、メタボローム、リピドミクス解析により、再発、非再発症例における腎癌腫瘍内代謝系の変化の検討を行った。また、腫瘍内遺伝子発現の変化の検討を目的に、現時点で40例のヒト腎癌検体からのRNA回収が終了している。 ii)乳酸が免疫細胞へ与える影響のin vitro解析 マウス脾細胞における、乳酸刺激によるヒストン修飾やサイトカイン産生の変化について、ウエスタンブロット法、FACS。RT-qPCR、RNAseqでの検討が終了して いる。
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Strategy for Future Research Activity |
現行の検討を継続していく方針である。
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