早産減少を目指した新規管理法の検討~生体内水素産生能と免疫細胞Th17の関わり~
Project/Area Number |
21K16812
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 健史 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20778295)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 早産 / サイトカイン / 分子状水素 / 腸内細菌叢 / T細胞 |
Outline of Research at the Start |
正常な妊娠維持には適切な免疫寛容、Th17およびTregの適切なバランスが重要である。早産を含めたさまざまな疾病発症に関わるとされる腸内細菌叢はこれらTh17/Tregの分化誘導にも大きな影響を与える。また、腸内細菌叢は生体内における唯一の分子状水素産生源でもある。つまり、Th17/Treg、腸内細菌叢、分子状水素は互いに密接な関係にある。一方で、生理的に産生される分子状水素の生体内での役割、特にヒト妊婦における役割は未だ解明されていない。本研究の目的は分子状水素がヒトの妊娠免疫寛容にもたらす影響の検討およびヒト妊婦への分子状水素投与を実践に移すことである。
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Outline of Annual Research Achievements |
早産は、児の長期予後に大きな影響を及ぼすため、予防や発症予測は社会的要請度の高い課題である。我々は、分子状水素が抗酸化作用・抗炎症作用を有すること、分子量が小さいため拡散により胎盤や脳血液関門を容易に通過できる特性を持つことに注目、生体内における生理的な分子状水素産生量が妊娠予後に与える影響ならびに経母体的分子状水素投与の有用性について研究を免疫学的な視点から実施した。 マウス実験ならびにヒト妊婦検体(呼気、血清、分化誘導したT細胞、卵膜など)を用いた研究を実施;生体内分子状水素濃度が早産発症の独立した寄与因子であること;分子状水素は、Tregには作用することなく、CD8やTh1、Th17などのエフェクターT細胞に対して抑制効果を有することで妊娠維持に必要な免疫寛容状態の維持に有益であること実証した。 本研究により、ヒト妊婦において腸管内水素産生能の低い集団が存在し、それら妊婦は早産ハイリスク群であることがわかった。我々はこれまでに産科領域における基礎・臨床研究を多数報告するとともに、母獣および胎仔における生体内の分子状水素濃度上昇の意義に関して、多くの基礎的研究を世界に先駆けて展開してきた。本研究はこれら知見をヒトレベルないしヒト検体を用いて確認した初めての報告となる。母体腸管内水素産生能は呼気検査により簡便かつ低侵襲に測定できるため、早産予測法として臨床応用することの実現性は高い。さらに、新規炎症性サイトカインIL-26が早産に関わる可能性および母児間免疫寛容において負の因子となるエフェクターT細胞の活性化を分子状水素は抑制し得ることを初めて報告した。腸内水素産生能の改善・補填は食生活の改善や市販製品の利用により実行可能である。これら研究成果から、腸管内水素産生能の低い集団を対象としこれの補完・補充は、早産予防・治療法の一助となる可能性が期待される。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)