口唇口蓋裂児における口唇形成術前後の口輪筋協調運動に関する筋電図学的分析
Project/Area Number |
21K17125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57060:Surgical dentistry-related
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
佐野 祥美 藤田医科大学, 医学部, 助教 (60791043)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 口唇口蓋裂児 / 口唇形成術 / 表面筋電図 / 口輪筋協調運動 / 積分値移動曲線 |
Outline of Research at the Start |
本研究は片側性完全唇顎口蓋裂児または片側性完全唇顎裂児を有する乳児を対象とし、口唇形成術前、術後1か月時、術後6か月時における哺乳運動中の口輪筋の表面筋電図を計測することで、治療効果判定および術後経過の客観的評価法として確立することを目的としている。また積分値移動曲線を用いることで、口輪筋の筋活動量や活動ピークがわかるだけでなく、健側と患側における口輪筋活動の不調和の有無と程度の評価、筋索形成がなされたことにより不調和が改善され、協調運動を行えるようになったことを評価できる。加えて医学的知識のない者にも治療前後の変化をわかりやすく提示できることから、育児支援の観点からも有用となりえる。
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Outline of Annual Research Achievements |
口唇口蓋裂治療における口唇形成術の治療成績評価は形態的評価が圧倒的に多く、哺乳に関する機能的評価に関する報告は少ない。口唇裂を有する乳児は患側上唇部口輪筋の断裂と筋線維の走行異常をきたす。そのため健側と患側の筋活動量に差があるだけでなく。口輪筋活動に不調和が生じていることが哺乳障害の一因となっている可能性がある。 本研究では積分値移動曲線を用いることで、哺乳運動中の口輪筋の筋活動量や活動ピークがわかるだけでなく、健側と患側における筋活動の不調和の有無と程度の評価が行える。また口輪筋活動が視覚的に明瞭化されるため、医学的知識のない者にも治療前後の辺kさをよりわかりやすく提示することができる。これは口唇口蓋裂児を養育する家族への育児支援にも繋がる可能性がある。 藤田医科大学病院口唇講義あ裂センターに通院中の片側完全唇顎口蓋裂児および片側完全唇顎裂児を対象に、口唇形成直前(入院日)、術後1か月、術後6か月における、哺乳床を装着した状態での哺乳運動中の健側および患側の口輪筋の表面筋電図を計測し積分値移動曲線 および比率(%)を用いて筋活動量の比較を行った。積分値移動曲線は健側と患側の曲線をそれぞれ重ね合わせることで、術前の協調運動障害の有無と程度の評価を行い、また術後における協調運動の獲得についても評価を行った。その結果、患側は健側より筋活動量が少なく、協調運動は崩壊している状態であったが、術後は経時的に患側の筋活動量は健側へとキャッチアップしており、協調運動もみられるようになった。また健側の筋活動量を100%とした場合の患側の筋活動量は、術前においては全例健側の50%を下回っていたが、術後6か月までには平均して75%程度にまでキャッチアップしていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はこれまでに藤田医科大学病院口唇口蓋裂センターに通院中の片側性完全唇顎口蓋裂児6名(左側完全唇顎口蓋裂児5名、右側完全唇顎口蓋裂児1名)および片側性完全唇顎裂児2名(右側完全唇顎裂児2名)の計8名からデータ採取の協力を得た。本研究での目標人数は片側性完全唇顎口蓋裂児10名、片側性完全唇顎裂児10名の計20名であるため、目標の半数程度しか達成できていない。 これは新型コロナウイルス感染症の蔓延が大きな原因である。手術件数や麻酔件数に一時的に制限がかかったものの、感染対策を万全に行うことで制限はすぐに解消された。しかし試被検児もしくは保護者の新型コロナウイルス感染による手術延期が数件あった。 また乳児はワクチン接種対象外であることに加え、サージカルマスクの装着も不可能であり、密閉された検査室内での啼泣によるエアロゾル発生も阻止できないことから、安全に検査を行うための感染対策が取れないことから、検査遂行が困難と判断し中断に至った期間があったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症に対する行動制限等が撤廃され、日常生活を取り戻しつつある状態である。 当院もまた基本的な感染対策は完全には撤廃しないものの、これまで規制対象であった事項に対しても緩和がされつつある。 密閉空間である脳波検査室内で安全に表面筋電図計測が行える環境が整い次第、これまで通りの研究を再開・継続している予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)