Project/Area Number |
21K17202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 57080:Social dentistry-related
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
岩脇 淳志 明海大学, 歯学部, 講師 (80845660)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 放射線防護 / 被ばく線量 / 被曝線量 / 大規模災害 / 作業基準 |
Outline of Research at the Start |
歯科的個人識別においてX線画像は有効であるが、撮影する際には放射線の被曝が伴う。現場での作業を想定した被曝線量の研究は少なく、撮影者の作業限界に関する指針もない。指針が不十分である場合、作業を続けることで被曝線量が増大し、大きく健康被害に影響する。被曝線量を測定することで、被曝管理のため散乱線量を計測し、国際的な線量基準を使用し、作業者の作業限界に関する指針の一助とする。さらには、周囲作業者も含めた理想的な個人識別作業の環境モデルの構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
歯科的個人識別においてX線画像は有用であるが、災害現場での作業を想定した被ばく線量にまで言及した研究はない。X線発生装置の安全な使用のため、X線画像撮影時の散乱線量と、撮影時に検出器を固定する手指の被ばく線量を計測し、撮影限度枚数、体数を算出することで国際的な術者や周囲作業者の作業限界に関する指針の一助とすることを本研究の目的とした。 今年度は、予備実験で行った結果と手指被ばく線量に関して論文作成し、投稿を行った。線量分布に関して、人体に近似した形状のファントムを用いて、移動型パノラマX線装置使用時の、線量分布を測定した。被写体として頭蓋骨の形態に近似したファントムを使用し、頭蓋骨の形態や骨の厚みにより線量の減弱が異なることが明らかになった。 手指被ばく線量は、防護手袋を使用した際の被ばく線量と、使い捨て手袋を併用した際の線量を測定し、防護手袋の有用性に加え、測定された手指被ばく線量を国際的な基準に当てはめて、撮影限界枚数についても言及し、実際の現場での使用を想定した理想的な作業環境について考察を行った。防護手袋に使い捨て手袋を重ねて使用した場合にも、手指被ばく線量に有意差は認められなかったため、両者を併用することで、手指被ばく線量を減弱させると同時に、繰り返し使用による汚染を防ぐことができると考える。 移動型パノラマX線装置の散乱線分布についてはJournal of Oral Biosciencesに掲載され、手指被ばくについてはPhysical and Engineering Sciences in Medicineへ1年間に渡り、4回の査読と修正を行っていたが却下され、投稿に関しての計画の変更を余儀なくされた。研究結果公表のため、補助期間の延期申請を行い、4月23日現在、Forensic Imagingに掲載に向けての最終校正段階にあり、本年度中の掲載の見込みがたっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、作業基準に関して術者がフィルムやcharge-coupled device(CCD)、およびimaging plate(IP)などの検出器を口腔内で保持する際の手指被ばく線量と、防護手袋を使用することによる防護効果についての論文の投稿を行なった。大幅な修正の必要性も考慮し2023年5月頃にPhysical and Engineering Sciences in Medicineへ初稿を投稿し、約8ヶ月に渡り内容修正や追加実験、実験結果の解釈方法の検討をはじめとする修正作業を続けたが論文は却下され、その後もLegal MedicineやBMC oral healthなどの関連雑誌にも投稿をしたが、2024年3月までの掲載には至ることはできなかった。それにより、論文投稿費として計上していた金額を使用することができず、研究計画の大きな変更を余儀なくされた。 大規模災害での個人識別業務において、携帯型X線発生装置使用時する場合の作業基準の確立を目指すうえで、本研究結果は重要な指標になりうると考えられたため、論文投稿をはじめとする研究結果公表に関わる経費を引き続き使用させていただくための補助期間の延長申請を行ない、Forensic Imagingへ投稿した論文の再投稿中をした論文の2回目の査読がおわり、4月23日現在、編集者よりAcceptの連絡を受け、掲載に向けて最終的な校正段階にあるため、今年度中に掲載する見込みがたっている。
しかし、論文投稿に時間を要し、補助期間の延長を行なったため、研究の進捗状況としては「遅れている」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、査読中の手指被ばく線量に関しての論文を掲載させる。
現在査読者より、線量計の校正に関して指摘を受けて、実験の詳細についての検討項目が提示された。校正方法の違いによる線量の比較については、過去に報告されている換算係数を用いて近似値を算出し、作業基準へと応用した。また、実験結果の解釈方法に関して考察へ追記をした。内容に関しての指摘をうけ、本文や図表の修正を行い4月5日に第2校を再投稿した。4月23日現在、編集者よりAcceptの連絡を受け、掲載に向けて最終的な校正段階にある。口腔内という狭い空間において本研究で対象とした散乱線量を理想的に測定できる小型の線量計がなく、報告された複数の換算係数を利用して近似値として提示をしなければならないという研究の限界があった。
今後の方策として、理想的な測定ができる小型の線量の測定方法の検討や開発、簡易的な換算方法について検討していきたいと考えている。小型の線量計が開発されることで、小線源の放射線治療などで限局的な部分での線量の推定や測定を行うことができる可能性を秘めている。そのことで、必要以上の線量被ばくによる侵襲を患者へ加える必要性がなく、患者のQOLの向上にも寄与できると考えている。簡易的な換算方法としては、異なる校正係数で校正で校正された線量計を使用した場合にも線量値として比較できることで、専用の線量計を有さない施設においても線質評価と線質管理を行うことができると考える。そのために、近似値として算出されたものと、測定値との整合性についての詳細な検討を行うための、実験プロトコルの構築を検討している。
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