Project/Area Number |
21K17423
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 58080:Gerontological nursing and community health nursing-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
龍野 洋慶 神戸大学, 保健学研究科, 講師 (70782134)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 高齢者施設入所者 / 家族 / ICT / COVID-19 / Well-being / ミクロ縦断研究 / 抑うつ / 家族介護者 / ポジティブ感情 |
Outline of Research at the Start |
本研究はCOVID-19流行下で家族など親しい人とのつながりが厳しく制限されている高齢者施設入所者がICTを用いて家族などとつながりをもつことにより、入所者と家族の双方の心理的・社会的側面がどのように変化するのかを量的研究と質的研究の両方のアプローチにより検証する。また、家族を対象にICTを用いた高齢者施設入所者とのコミュニケーションの実態調査及び関連因子を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2020年から1年以上にわたり対面での面会を制限している認知症高齢者グループホームにおいて、入所者とその家族を対象にタブレットを使用したリモート面会を2021年から2023年にかけて行った。2023年度は調査を終了し最終的な対象者属性は、年齢は入所者88.0±4.9歳、家族59.7±9.1歳、家族の続柄は息子2人、娘4人、観察期間は39.3±11.9日、1組あたりのリモート面会日数は7.0±0.1日、1回あたりのリモート面会時間は18.4±10.3分であった。 2023年度はデータセット作成のもと本研究による成果発表を主に行った。量的研究はマルチレベル分析によりWell-being(S-WHO-5-Jを使用し毎日測定)の個人内変動を分析し、質的研究はインタビュー調査による質的記述的に分析し、それぞれ国内外の学会で成果発表を行った。最終的には量的研究と質的研究を統合した混合研究法による以下の分析結果を国内外の学会で発表し、海外学術誌での発信を目指している。 量的研究の結果、リモート面会の有無によるWell-being合計点の差は、入所者で11.8±3.4 vs 10.1±2.9(p<.01)、家族で11.3±2.8 vs 10.1±3.0(p<.05)で、入所者と家族の双方でリモート面会があった日の方が面会のなかった日よりもWell-being合計点が有意に高かった。リモート面会があった場合の入所者のWell-beingの変化量は7日間平均で0.8有意に高くなり、リモート面会がない場合の変化量は-0.7有意に低くなった。 質的研究の結果、7カテゴリーが抽出され、【リモート面会できる環境への肯定的な受け止め】などから【リモートでしか会えない状況につらいとは思わない】肯定的な思いへ変化する一方、【ICT機器の進歩への驚きと抵抗感】が共存していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、2020年から1年以上にわたり対面での面会を制限している認知症高齢者グループホームにおいて、入所者6人とその家族6人、ICT利用を支援する介護福祉士7人を対象に調査を実施した。入所者とその家族にタブレットを使用したリモート面会を2021年から2023年の間に行った。2020年と2021年はコロナ禍で想定していた対象者数での調査が感染対策上困難であったが、2023年にかけて概ねデータ分析に必要な観察時点数での調査を終了した。量的研究と質的研究のそれぞれのデータセットを研究支援員を雇用して作成した後に2023年度の主な進捗としては研究結果を国内外の学会で発表することができた(IAGG2023、第11回看護理工学会学術集会、第18回日本応用老年学会大会、第34回日本老年医学会近畿地方会、第43回日本看護科学学会学術集会、27th EAFONS2024)。上記の国内外の学会における成果発表と並行して、2023年度からは海外学術誌への投稿のために混合研究法でまとめた研究結果について論文執筆を開始した。ただし本論文を2023年度中に海外学術誌への発信ができない見込みとなったため、本研究期間は当初の予定より1年間延長とし、2024年度中に海外学術誌で本研究成果を発表することとした。そのため現在までの進捗を「やや遅れている」と判断した。また、研究に協力した高齢者施設においてICTを活用した遠隔面会を主に支援した介護福祉士を対象に半構造化面接によるインタビュー調査の分析結果についても2023年度中に発表できなかったため、今後国内外での学会発表及び論文化を目指す。そのため本執筆の時間も考慮し、1年間の延長とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2023年にかけて概ねデータ分析に必要な観察期間(観察時点数)で調査を終了することができた。2023年度の主な進捗としては、本研究の結果を国内外の老年学、看護学分野の主要な学会(IAGG2023、第11回看護理工学会学術集会、第18回日本応用老年学会大会、第34回日本老年医学会近畿地方会、第43回日本看護科学学会学術集会、27th EAFONS2024)で発信することができ、この国内外の学会における成果発表と並行して2023年度からは海外学術誌への投稿のために混合研究法でまとめた研究結果について論文執筆を開始している。そのため、今後の推進方策として、本研究期間を当初の予定より1年間延長し、2024年度中に海外学術誌で本研究成果を発表する。また、本研究に協力した高齢者施設において、ICTの利活用を支援した介護福祉士を対象に、半構造化面接によりその効果と課題などをインタビュー調査し、2023年度中にカテゴリー化までの分析が完了している。今後は、この質的記述的研究による研究結果を国内外での学会(日本看護科学学会学術集会、EAFONS2025など)に発信するとともに、学術誌(日本認知症ケア学会誌を予定)への論文化を目指し、ICTの利活用の有効性と課題等の提言を目指す。そのために必要な執筆や発信の時間として1年間の本科研期間の延長は必要となった。 本研究により高齢者施設入所者のWell-beingはICT機器を利用した面会により個人内で高まること、面会制限といった社会的隔離はWell-beingを低下させることを時系列データ分析により明らかにできた。この分析は2024年度からの基盤研究(C)「機械学習による高齢者施設の科学的介護情報システムの活用とWell-being規定因子の解明」の基盤となる研究成果であり、本研究の分析方法を機械学習システムに実装し社会還元を推進していく。
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