Project/Area Number |
21K17519
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
伊藤 さゆり 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (50824463)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 手話失語 / 手話の失語症 / 手話 / 聴覚障害 / 失語症 / 呼称 / 検査 / 手話通訳士 / 言語聴覚士 / 評価 / リハビリテーション / 聾者 / 評価方法 |
Outline of Research at the Start |
言語中枢を損傷すると, 言葉を理解・表出するのが困難となる失語症を呈す. 医療・福祉施設では, 失語症の評価やリハビリテーションが広く実施されている. 一方手話を第一言語とする聾者では「手話の失語症」を生じることがあり, 手話を理解したり産出したりするのが困難になる. 聴者用に開発された失語症検査は, 手話の失語症患者に実施するには複数の問題点がある. 日本における手話の失語症患者の数は明らかになっておらず, 手話の失語症に適応した評価方法も十分検証されていない. そこで本研究では, 本邦の手話の失語症患者の数を把握するとともに, 本邦で初めてとなる手話の失語症の評価方法の開発を目的とする.
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Outline of Annual Research Achievements |
手話を使用している聾者が失語症となった場合,手話を理解したり産出したりするのが困難になることが30年前から広く研究されている.手話の言語機能は音声言語や文字言語と同様に左半球が担っており,左前頭葉や左側頭葉の関与が報告されている. 海外では手話の失語症の研究は多く報告され, 単一症例の報告だけでなく複数症例を対象とした研究も報告されている.一方で本邦における手話の失語症の研究は複数あるが,いずれも単一症例の報告であり,手話の失語症患者の人数や臨床現場での支援の現状などの詳細は明らかになっていない.また,手話の失語症の評価方法も,本邦では定まったものがない. 令和5年度は研究課題3(手話の失語症の評価方法の検証)に着手し,昨年度試作した呼称検査を聾者に実施した.【対象】脳損傷の既往のない健常聾者30人【方法】10語のカテゴリーから成る22語の手話単語を用いた呼称検査を聾者に実施した.22語中半分は片手で表現できる手話単語で,もう半分は両手で表現する手話単語であった.併せて実施した認知機能検査の結果をもとに,認知機能障害が疑われる被験者を除外し,23人を分析対象とした.聾者の年齢は30代から60代にわたり,聾者の居住地も新潟,千葉,大阪に分かれていた.【結果】呼称検査の90%の単語において,18/23人が一致した手話表現を行った.呼称成績と認知機能検査の成績,年代や居住地,カテゴリー,片手・両手表現の間に,いずれも関連を認めなかった.被験者間で表現が一致しなかったり手話で表現できなかった単語には,呼称で用いた絵の分かりにくさが影響していた.【考察】被験者が正答できなかった単語は,絵を修正したり,別の単語に置き換える必要がある. 令和5年度は研究課題1(当事者団体に対する手話の失語症の実態調査)にも着手し,石川県の聴覚障害者協会で失語症者を探す調査を行ったが該当者はみつからなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は,被験者の募集や日程調整に時間を要した.また,研究者の職場が令和6年度から変更になることが決まったため,研究時間が十分取れなかった.以上2点の理由により研究の進捗が遅れている. 今年度再度着手する,研究課題2(言語聴覚士に対する手話の失語症の実態調査)で用いる調査票は,昨年度にほぼ完成している.また,同じく今年度再度着手する研究課題3(手話の失語症の評価方法の検証)では,呼称検査を九州地方で実施する予定であるが,すでに九州地方の聴覚障害者団体と連絡を取って被験者募集について相談しており,昨年度のノウハウも利用できる.以上から,昨年度より進捗を早められる見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題2(言語聴覚士に対する手話の失語症の実態調査):石川・新潟・山形で実施した調査フォーマットをもとに,全国の言語聴覚士会を通してアンケート調査を行う. 研究課題3(手話の失語症の評価方法の検証):昨年度,新潟・千葉・大阪で実施した22単語の呼称検査を九州地方の健常聾者でも実施し,刺激語やイラスト表現の見直しを行っていく.さらに脳損傷者でも調査を実施していく.
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