運動トレーニングはなぜレジスタンス運動後における血管内皮機能の低下を予防するのか
Project/Area Number |
21K17553
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59020:Sports sciences-related
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
森嶋 琢真 中京大学, 教養教育研究院, 准教授 (60771706)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | レジスタンス運動 / 血管内皮機能 / FMD / NO / 硝酸塩 / 一酸化窒素 / 運動トレーニング |
Outline of Research at the Start |
健康増進のためには、効果的かつ安全にレジスタンス運動を行うことが重要である。この点に関して、非鍛錬者は、一過性のレジスタンス運動後に動脈硬化の予測因子となる血管内皮機能が低下(悪化)する。一方で、運動を長期間継続している鍛錬者は一過性のレジスタンス運動後に血管内皮機能が低下しない。本研究では、この興味深い現象のメカニズムを明らかにすることに挑戦する。本研究から得られる知見は、習慣的な運動トレーニングがもたらす「一過性のレジスタンス運動に対する血管の保護作用」という、まったく新しい観点からの効果を明らかにすることができ、結果的に運動継続の動機付けにも繋がる可能性がある。
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Outline of Annual Research Achievements |
本テーマの最終目的は、運動トレーニングはなぜレジスタンス運動による血管内皮機能の低下を予防するのかを明らかにすることである。この点に関して、アスリートにおける一酸化窒素(NO)の高い生物学的利用能は、運動トレーニングがレジスタンス運動に伴う血管内皮機能の低下を予防する主要なメカニズムの1つである可能性が指摘されている。このことが正ければ、運動トレーニングを継続していない一般成人であっても、何らかの方法で一時的にNOの高い生物学的利用能を獲得した状況を作り出すと、レジスタンス運動をしても血管内皮機能は低下しない、という仮説が成り立つ。そこで当該年度では、一般成人を対象に、NOの生物学的利用能を高めることで知られる硝酸塩サプリメント(ビートルートジュース)を摂取した後におけるレジスタンス運動が血管内皮機能に及ぼす影響を検討した。 健康な成人男性16名を対象とし、(1)プラセボ条件(2)硝酸塩サプリメント条件を設け異なる日に実施した。運動の前後において、上腕動脈の血流依存性血管拡張反応(Flow-mediated dilation: FMD)および血圧を測定した。 その結果、いずれの測定ポイントにおいても、血圧の応答に条件間で差は認められなかった。一方、プラセボ条件では運動後にFMDが低下した(血管内皮機能が悪化した)が、硝酸塩サプリメント条件では同様の応答はみられなかった。 以上の結果から、一般成人であっても、NOの生物学的利用能を高めるとレジスタンス運動後に血管内皮機能が低下しないことが示唆された。このことは、運動トレーニングが持つレジスタンス運動後における血管内皮機能の低下予防効果には、NOの生物学的利用能が関わっている可能性があることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、一般成人を対象として、NOの生物学的利用能を高めた状態におけるレジスタンス運動が血管内皮機能に及ぼす影響に関する研究を行った。昨年度は被験者1名の予備実験の段階までしか研究を進めることができなかったが、今年度は被験者数を16名まで拡大させ、本実験を実施することができた。 その結果、昨年度行った予備実験の結果と同様の実験データを本実験からも取得することができた。このことは、「運動トレーニングはなぜレジスタンス運動による血管内皮機能の低下を予防するのか?」という本研究課題の根本的な問いに対して、「運動トレーニングが持つレジスタンス運動後における血管内皮機能の低下予防効果には、NOの生物学的利用能が関わっている」という回答の可能性を示すものであり、当該年度の重要な研究成果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度において、運動トレーニングが持つ、レジスタンス運動における血管内皮機能の低下予防効果のメカニズムの一端に迫ることができた。 今後は、一般成人とアスリートを比較する研究を実施し、NOの生物学的利用能の差異が本当のメカニズムなのか否かを明らかにする実験に着手していく予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)