エネルギー代謝変動による妊娠期潜在性ビオチン欠乏症と胎児奇形の関連解明とその予防
Project/Area Number |
21K17688
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
湯浅 正洋 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (00756174)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | ビオチン補給 / 胎児 / ビオチン / ビオチン欠乏症 / アミノ酸代謝 / 母体栄養 / 胎生期栄養 / 潜在性ビオチン欠乏症 / エネルギー代謝 |
Outline of Research at the Start |
妊婦は潜在性ビオチン欠乏状態であることが指摘されている.この理由として,妊娠期においてたんぱく質や体脂肪の蓄積等に伴いエネルギー代謝が変動することで,これらの代謝酵素の補酵素であるビオチンの要求量が高まるためであると推察されるが,その機序は明確でない.一方,哺乳動物では,母体のビオチン欠乏により胎児の90%以上に口蓋裂が生じることが報告されており,これを予防するためにも妊娠期のビオチン栄養状態を保つことは重要であると考える.本研究では,妊娠期のエネルギー代謝変動により潜在性ビオチン欠乏症が発症すると仮定し,その発症機序や時期,胎児奇形との関連を明らかにするとともに,その予防法の提案を目指す.
|
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの検討で,妊娠直後よりビオチン欠乏飼料を与えたマウスにおいて,口蓋裂の発症頻度が増加することが再確認されている.また,ビオチン欠乏マウス母体におけるエネルギー代謝異常の有無を確認したところ,アミノ酸代謝に変動傾向があることが確認された.本年度は,ビオチン欠乏時妊娠マウスへのビオチン補給が,口蓋裂の発症頻度等へ及ぼす影響を,ビオチン投与期間の違いから明らかにした. 妊娠期10日目以降に,3日間,4日間,5日間のビオチン補給させる群をそれぞれ設け,胎児における口蓋裂の発症頻度を確認したところ,ビオチン補給しなかったマウスでは約6割の胎児に口蓋裂がみられたのに対し,すべての補給群で口蓋裂がみられなかった.一方,母体血清のビオチン濃度は,ビオチン補給しても上昇は認められず,母体においては短期的なビオチン補給による欠乏状態の改善はみられないことが示唆された.胎児肝臓のビオチン濃度も母体血清と同様の傾向であったが,ビオチン投与日数が長いほどビオチン濃度が高くなる傾向にあった.また,肝臓ビオチン濃度を対照群で比較すると,胎児は母体の約8倍のビオチンを含んでいることが明らかになった.以上より,母体がビオチン欠乏状態であっても,ビオチン補給が口蓋裂発症予防に有益な可能性が示唆された.また,母体のビオチン欠乏時には,胎児の重要な成長因子であるビオチンが,優先的に胎児に取り込まれていると推察される.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は予定している実験を行うための研究環境整備を行ったため,研究の進捗が遅れている.これは前年度の所属先変更に伴うものである.また,学内飼育施設が他キャンパスにあることから,本務(授業等)で多忙な時期には動物実験ができないこと,本務が比較的少ない時期に所属学会の実行委員等社会活動が入ったことから,予定していた実験が進んでいない.しかし,共同研究者と連携し,最終年度に予定していたビオチン補給試験を行うなど,当初予定していた計画の一部を遂行した.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度までに実験・研究環境の整備は概ね終了したことから,2年目に予定していた妊娠時と非妊娠時における母体に対するビオチン欠乏の影響と,これにより生じる代謝変動の有無を明らかにする予定である.1年目の検討で,妊娠期のビオチン欠乏によりアミノ酸代謝の変動傾向が確認されていることから,まずは妊娠によってこの代謝を担うビオチン依存性カルボキシラーゼ活性や発現量に変動が生じるか否かを明らかにする.また,臓器中ビオチン濃度を測定し,どの臓器でビオチン欠乏により代謝変動が生じやすいかを類推する.
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)