隠れた難聴の症状緩和に向けたオリーブ蝸牛束の可塑的変化を促進する機構の解明
Project/Area Number |
21K17757
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 61010:Perceptual information processing-related
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大塚 翔 千葉大学, フロンティア医工学センター, 助教 (00776049)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 耳音響放射 / オリーブ蝸牛束 / 皮質 / 隠れた難聴 / オリーブ蝸牛束反射 / 注意 / 聴覚皮質 / 可塑性 / 聴覚末梢 |
Outline of Research at the Start |
聴力は正常であるのにもかかわらず,競合する音が存在する中では聴取が困難になる症状が報告されている.この症状は「隠れた難聴」と呼ばれている.神経細胞の減少や機能の劣化が,隠れた難聴の一因だと考えられているものの,有効な治療法は未だに見出されていない.中枢神経系から聴覚末梢への遠心性神経であるオリーブ蝸牛束は,聴覚末梢での処理を最適化することで,雑音下での聴取を改善する役割を果たしている.それゆえ,オリーブ蝸牛束の機能を強化することで,隠れた難聴の症状を緩和できる可能性がある.本研究では,オリーブ蝸牛束に可塑的変化が生じる神経基盤を解明するとともに,最適なトレーニング条件の導出を目指す.
|
Outline of Annual Research Achievements |
聴力は正常であるのにもかかわらず,競合する音が存在する中では聴取が困難になる症状が報告されている.この症状は「隠れた難聴」と呼ばれている.本研究では,雑音下での聴取を改善する役割を果たすオリーブ蝸牛束に可塑的変化が生じる神経基盤を解明するとともに,最適なトレーニング条件の導出を目指す. 聴覚皮質からオリーブ蝸牛束へは 遠心性神経が接続している.聴覚皮質の活動は,学習によって可塑的に変化することが知られている.それゆえ,皮質由来の遠心性神経系が,オリーブ蝸牛束の機能を可塑的に変化させる神経基盤となる可能性がある.これまでに,動物実験によりその解剖学的・電気生理学的知見が蓄積されつつある一方で,ヒトを対象とした研究は僅かで,皮質領域の関与を体系的に支持する実験データは未だ得られていない. 本年度は,その神経基盤を解明することを目的として,昨年度までに確立したオリーブ蝸牛束反射と脳波の同時計測技術を応用して,皮質脳律動がオリーブ蝸牛束反射の制御に関わっている可能性を検証した.皮質領域においては, 刺激音系列が規則的でターゲット出現のタイミングが予期できる場合に,皮質領域のδ帯域の脳律動の位相がターゲット音出現のタイミングに同期することが報告されている.一連の実験から,刺激音の出現タイミングの予測が難しくなると,オリーブ蝸牛束反射強度とδ波の同期性が減少すること,および,それらの減少傾向が類似することが分かった.この類似性は,皮質領域のδ帯域の脳律動が,オリーブ蝸牛束反射の増強に関与している可能性があることを示唆している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,(1) 脳波とオリーブ蝸牛束反射の同時計測技術の確立,および,(2) 音声聴取トレーニングがオリーブ蝸牛束反射に与える影響,および,その可塑的変化を促進する要因の解明を目指す.昨年度までに(1)を達成した.本年度は,(1)で確立した手法を応用して,オリーブ蝸牛束反射の制御に皮質脳律動が関与することを明らかにした.オリーブ蝸牛束反射の可塑的変化の神経メカニズムを解明するための足がかりとなる成果が得られたと考えている.計画のうち,およそ半分程度まで進んでいることから,本年度の進捗としては概ね順調と判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に確立した脳波とオリーブ蝸牛束反射の同時計測手法を用いて,音声聴取トレーニングに伴うオリーブ蝸牛束反射,および,皮質脳律動の変化を観察する.併せて,課題実行中に経頭蓋磁気刺激法を用いて皮質領域を刺激する.刺激部位や刺激強度に応じて,音声聴取課題,および,脳律動・オリーブ蝸牛束反射へのトレーニング効果がどのように変動するかを調べ,それらの相関関係からオリーブ蝸牛束反射の可塑的な変化に関連する部位を特定することを目指す.さらに,オリーブ蝸牛束の機能にトレーニング効果を生じさせるために,課題に対する注意や報酬が必要かを検証する.
|
Report
(2 results)
Research Products
(33 results)