原発避難者と地域の融和に向けた介入方法:コミュニティ形成モデルの開発
Project/Area Number |
21K17943
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 智之 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60835487)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 集団間葛藤 / 社会的アイデンティティ / 集団形成モデル / 感情的ボンド / 規範的ボンド / リスクコミュニケーション / 保健師 / コミュニティレジリエンス / 避難 / 地域形成 |
Outline of Research at the Start |
原発事故の後、避難先では、避難者が孤立しないコミュニティ形成が求められた。しかし、地域文化や習慣の違いから、避難者と地元住民の間ではトラブルが相次ぎ、そうした形成は困難であることが多かった。本研究は、集団間相互作用を促し、避難者と地域住民の融和に向けた介入方法の開発を目的とする。仮説として、コミュニティ形成は感情的側面と規範的側面に基づくと考えられる。仮説の検討と介入方法の開発を段階的に実施し、生態学的妥当性の高い社会科学への示唆と、実社会への確実な貢献を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、原発事故避難者と地元住民の間で発生した集団間葛藤を検討し、避難者と地域の融和に向けたコミュニティ形成モデルを開発することを目的としています。東日本大震災と福島台地原発事故の後、福島県いわき市には、原発事故の避難者を受け入れるための復興公営住宅が設置され、浪江町や双葉町といった相双地区からの避難者が多く住んでいます。避難者の支援には、避難先で孤立しないコミュニティ形成が求められますが、いわき市では、地域特有の習慣の違いや原発事故に関わる賠償金の支払い等の違いによって避難者と地元住民との間にコンフリクトが発生して、避難者を包括したコミュニティ形成は思うように進んでいません。今年度は以下の調査と分析を行いました。 まず、「人々が日常の中で意識しやすい集団」について調査を実施しました。この調査では、20歳から59歳までの400名を対象にオンラインでアンケートを行いました。その結果、意識されやすい集団として家族、会社、出身校、地域コミュニティ、性別、年齢が挙げられることが確認されました。 次に、前述の調査で明らかにされた6つの集団について、「集団を形成する要素」に関する詳細な調査を行いました。この調査では、それぞれの集団について400人ずつ、合計2400人を対象に自由記述形式で質問し、さらに集団の実態性や感情的つながり、規範的つながりの程度をリッカート形式で尋ねました。分析の結果、集団を形成する要素は感情的つながりと規範的つながりの2つに分類できることが判明しました。また、感情的つながりの方が規範的つながりよりも実態性と強く関係していることが示されました。 さらに、これらの研究成果をもとに、国内学会での発表を行い、国際学術雑誌への論文投稿も行いました。このような調査結果と分析は、避難者と地元住民の融和を促進するための有効な介入方法の開発に大いに貢献することが期待されます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、原発事故避難者と地元住民の間で発生する集団間葛藤を解消し、避難者と地域の融和を促進するコミュニティ形成モデルの開発を目的としています。今年度の進捗状況について報告いたします。 まず、今年度は調査と実験の実施が計画通りに進展しています。特に、「人々が日常の中で意識しやすい集団」の調査を通じて、家族や地域コミュニティなどの重要な集団を特定することができました。また、これらの集団を形成する要素について詳細なデータを収集し、感情的つながりと規範的つながりの2つの側面から分析を行いました。 これらの調査結果に基づき、避難者と地元住民の間の集団間葛藤を解消するための知見が順調に溜まってきています。具体的には、感情的つながりが集団の実態性と強く関連していることが示され、これがコミュニティ形成において重要な役割を果たすことが確認されました。 これらの進展により、本研究はおおむね順調に進展していると評価できます。避難者と地元住民の融和を促進するためのモデル開発に必要な知見が着実に蓄積されており、今後の調査・実験に向けた準備も整っています。今後も計画通りに研究を進行し、最終的な目標である効果的なコミュニティ形成モデルの構築に向けて努めてまいります。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、調査結果を更に詳しく分析しつつ、引き続きモデル開発に関する調査や実験を実施する。分析した結果を国際学術雑誌に投稿する。
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Report
(3 results)
Research Products
(16 results)