Project/Area Number |
21K17961
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
二ツ山 達朗 香川大学, 経済学部, 准教授 (20795710)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | イスラーム / イコノクラスム / 偶像破壊 / 北アフリカ / クルアーン |
Outline of Research at the Start |
イスラーム過激派による遺跡や聖者廟の破壊行為と、預言者の風刺画が発端となっておきるテロ行為は近年も頻繁に起きており、これらの要因を考察することは、中東地域の安定化にとって喫緊の課題となっている。 本研究の目的は、西洋諸国による聖者廟や風刺画の扱いに疑問を抱くムスリムの主張を分析することで、破壊行為やテロ行為に共感するムスリムの深層を理解することにある。 その分析視座として、モノと観念の区別が世俗主義国家とイスラームの間では異なるのではないか、という仮説を出発点とし、その仮説を実証的に考察するために、北アフリカ諸国におけるフィールド調査を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、イスラームにおけるモノと観念の関係が、近代西洋的な世俗主義的とどのように異なり、それによってどのような軋轢や問題が生じているかを、明らかにすることにある。具体的には、聖者廟が破壊される事例、預言者の風刺画に対するムスリムの反応、クルアーンの冒涜事件をめぐる両者の言説など、北アフリカ地域でおきている事例に焦点をあて、モノと観念の差異を明らかにすることを課題としている。 2023年度は本務先による渡航制限が解かれたため、チュニジアでのフィールド調査を行い、クルアーンをはじめとする宗教グッズの使用現場における調査や、聖者廟における参与観察を行った。また、現地で入手できる関連文献も収集した。 フィールド調査と並行し、昨年度まで行っていた先行研究の分析と、インターネット上の言説の収集も継続した。具体的には、世俗主義に関する議論、モノと宗教の関係に関する議論、イコノクラスムに関する議論についての先行研究を精査した。インターネット上の言説に関しては、クルアーンの冒涜に関するSNS上の投稿から、クルアーンの扱いをめぐる言説を収集した。 2023年度の成果としては、章分担執筆一つにとどまり、申請時に想定していた進捗状況よりも遅れがでた。一方で北アフリカでのフィールド調査を開始したほか、2023年2月2-3日にはインドネシア研究者らと香川県内のモスクでインタビュー調査を行い、香川大学で研究集会を行ったり、イスラームの人類学に関する勉強会を組織化したりと、次年度以降の成果につながる基礎づくりができたことが成果としてあげられる。来年度以降はこれらのネットワークを活かし積極的に研究成果をアウトプットしてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は新型コロナウイルス感染症による海外渡航と県外移動の制限が解かれたため、これまで実施できなかった北アフリカにおけるフィールドワークや県外の研究会への参加を開始した。 しかしながら、約2年間にわたり県外への研究会の参加や、渡航先でのフィールド調査が制限されていたため、データの収集などの点において遅れをきたしている。加えて、本務先の学務や地域連携事業などに、申請時には想定しえないエフォートが割かれたことも、計画書に記載の研究計画遂行を困難にさせた。 しかしながら、先行研究を精査したり、インターネット上で得られる情報からデータを収集し、一定の研究成果を発表した側面もあるため「やや遅れている」とした。残りの研究期間で、これまで実施できなかった北アフリカ諸国でのフィールド調査を行い、これまでの遅れを取り戻したい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる2024年度は、北アフリカ諸国での文化人類学的な調査に従事し、データ収集に努めることに注力し、それらのデータをもとに成果発表を行う予定である。 具体的には、申請書の研究計画に記載の通り、チュニジアやモロッコなどの北アフリカ諸国において、聖者廟が破壊される事例、預言者の風刺画に対するムスリムの反応の事例、クルアーンの冒涜事件をめぐる両者の言説などについて、参与観察とインタビュー調査を行い、イコノクラスムについての課題について考察する。また、同テーマについてインターネット上の言説の収集も引き続き行う予定である。これらのデータを先行研究や文化人類学的な議論と照らし合わせることで、研究成果の公開につなげる予定である。
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