細胞張力計測に基づく細胞の曲面形状認識・応答挙動の解析
Project/Area Number |
21K18041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 90110:Biomedical engineering-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山下 忠紘 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (00827339)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | メカノバイオロジー / 曲率 / 血管平滑筋細胞 |
Outline of Research at the Start |
近年、従来細胞の挙動に影響を与えることがないと見做されてきた直径数百μm以上の曲面上で、様々な細胞が平面と異なる振る舞いを示すことが報告されてきたが、その分子機構は不明である。申請者は「細胞の自律的な張力が細胞内小器官に及ぼす力が、培養面曲率に依存した細胞の挙動を生み出す」という仮説の下、曲面上で細胞張力を測定可能な新しい計測技術を開発し、「細胞張力ー細胞の曲率依存的な挙動ー各種細胞内シグナルの増減」の相関を精査することで、細胞が曲面を認識する仕組みを明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
二年度目は、培養面の曲率が血管平滑筋細胞の表現型の変化に及ぼす影響を調査した。 金属の切削加工とソフトリソグラフィを組み合わせ、曲率半径50μmの半球凸面を持つシリコーンゴム製基板を作製し、その上で血管平滑筋細胞を培養した。従来、血管平滑筋細胞は、収縮型と合成型の二つの表現型を可逆的に行き来すると考えられてきた。それぞれの表現型マーカーの発現量を、免疫蛍光線色および蛍光顕微鏡観察により定量的に評価した。収縮型マーカーの発現量が培養面の曲率半径の増加に伴って単調に増加したのに対し、合成型マーカーの発現量は曲率半径の増加に伴って不規則に増減した。この結果は、培養面の曲率が血管平滑筋細胞の表現型に影響を及ぼすこと、その表現型の変化は、従来知られていた収縮型と合成型の間の単純な行き来とは異なるものであることを示唆している。 さらに、切削加工により滑らかな波状やトーラス状の凸面を持つシリコーンゴム製基板を作製した。これらの構造は、同じ1/4トーラス形状の繰り返しからなり、同じ基板上に異なるガウス曲率の分布を持つ。この上で培養された血管平滑筋細胞を観察したところ、個々の細胞が持つ収縮型マーカーの量は接着部の局所的なガウス曲率に依存していた。この結果は、培養面の曲率が引き起こす細胞の表現型変化は局所的なものであり、少なくとも数百μmのスケールで連結した細胞の集団的応答ではないことを示唆している。 以上の結果から、培養面の曲率が血管平滑筋細胞の表現型に及ぼす影響が定量的に明らかになった。最終年度では、曲率依存的な表現型変化を引き起こす細胞内の応答メカニズムの解明に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年度目では、当初の研究計画に従い、培養面の曲率が血管平滑筋細胞の表現型に与える影響を調査することができた。一方で、予定していた細胞核の変形の観察については評価手法を精査している段階であり、まとまったデータは取得することができていない。反面、培養基板の製作時に、既存の装置で複雑な曲面を製作できることが分かったため、阪急面だけではなく波状、トーラス状の基板を製作することができた。この結果、当初想定していたよりも、表現型変化に関する多くの実験データを取得することができた。総じて、研究全体は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究を通じ、曲率半径数百μmの曲面上でも、平面上でも、血管平滑筋細胞は培養面に対して同程度の牽引力を及ぼしていることが明らかになった。二年度目の研究を通じ、培養面の局所的な曲率が、血管平滑筋細胞の表現型に与える影響を明らかにした。最終年度は、細胞核の変形と焦点接着斑の活性化を定量的に調査し、表現型変化との相関、因果関係を調査する。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)