小児精巣捻転症に対するインドシアニングリーンを用いた精巣血流評価の有用性の検討
Project/Area Number |
21K18101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 90140:Medical technology assessment-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
三上 敬文 順天堂大学, 医学部, 助教 (70896597)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 精巣捻転 / インドシアニングリーン / 急性陰嚢 / 除睾 / 精巣血流 / 精索捻転 |
Outline of Research at the Start |
精巣捻転はしばしば精巣壊死を伴う病態であり、術者にとって肉眼的所見から精巣が壊死しているかどうか、すなわち精巣を摘出するかどうかの判断に迷うことは稀ではない。 そこで、成人領域また他科領域ではすでに用いられている、インドシアニングリーンを静注することで組織の虚血の程度を評価する方法で、捻転精巣を温存するかどうかの判断が正しく行うことができるかどうか検討する。将来的に、本来温存可能だったがこれまで肉眼的所見から摘除していた精巣を温存することが可能となり、また本来血流不足だが温存したために精巣が萎縮してしまった際の摘除手術が不要となることが期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
急性陰嚢症に対する緊急手術に際し、術中に精巣捻転と確定診断となった場合の精巣血流の評価について、インドシアニングリーンを用いた前向き研究を進めている。目標症例数15のうち、これまで7症例を経験した。精巣の捻転解除後に肉眼的所見、病歴を総合的に判断して全例、除睾せず陰嚢内に固定する方針とした。その中で、捻転解除後の精巣がインドシアニングリーンによりある程度染まった症例でも、術後に精巣萎縮を呈したものを2例認めた。染色が良好なものは術後も萎縮傾向を示さず、エコー像の予後も良好であることがわかった。除睾するかどうかの判断は、発症からの経過時間や術前のエコー像、肉眼的所見などを総合的に判断して行っているが、インドシアニングリーンによる染色も補助診断として、染まり方(範囲・濃さ・周囲組織との比較)の評価次第で有用である可能性が考えられた。今後の課題としては、現在保有している機器では術中の染色の程度を定量化できないため、機器のアップグレードが必要となっている。主観的な判断に補助的な診断の役割を加味する今回の研究としては、精巣に対してもインドシアニングリーンによる染色、血流評価が有用であり、より客観的な評価である定量化に向けてのステップアップが期待できることが示唆された。今後も、継続して症例数を蓄積し、評価法を確立しつつ機器を見直すことで、術後壊死精巣の感染や精巣捻転後の待機的除睾の機会、つまり再手術を減らすことができる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例数でみると約半数が集まり、研究開始から1年の経過としては順調である。精巣の捻転解除後に肉眼的所見、病歴を総合的に判断して手術例は全例、除睾せず陰嚢内に固定しているが、その中で捻転解除後の精巣がインドシアニングリーンによりある程度染まった症例でも、術後に精巣萎縮を呈したものを2例認めた。染色が良好なものは術後も萎縮傾向を示さず、エコー像の予後も良好であることがわかった。これらの染色具合の経験の蓄積も加味し、今後の精巣温存の是非について検討していくことが可能となりそうである。方法としては、得られた画像の定量化を進め、肉眼的所見(術中写真・動画)と対比し、術後経過と照会することで最良のアウトカムが得られる精巣血流評価法を構築することを考えている。精巣白膜のみに存在する血管のみ染色された場合と、精巣実質が染色された場合は、一言で染色されたといってもその予後に差が生まれそうである。現状、その判断をするには症例数はまだ足りていないが、実質が一定量以上の染色を示せば精巣は温存可能で、白膜の血管のみの染色効果で実質があまり染色されなければ、精巣は温存すべきではないという仮説を立てることはできそうである。詳細な記述をもって、臨床所見をデータとして扱い、研究に生かすよう工夫している。 術前の機器・薬剤準備に関しては麻酔・手術の進行に影響なく、機器自体のトラブルもなく、術中撮像に関しても特に問題がない。除睾した2例の病理所見の検討についてはこれから病理スライドを病理医と共に確認する予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究中に得られた画像を定量化することを一案としていたが、術中にインドシアニングリーンによる染色の程度を定量化し、それを元に精巣の温存可能性について判断をする工程の簡便化には及ばず、断念せざるを得なかった。画像の後方視的な定量化と術中所見や病理との対比を進める一方で、画像を瞬時(術中にその場で)に定量化可能な機器の登場により、機器のアップグレードによる研究の進展の可能性を考えている。現状可能なことは、今まで得られた画像を定量化しておくことであり、それらと術中肉眼所見・病理所見・予後を結びつけておくことにより、今後の術時の指標とすることができればより正確な診療判断が得られるだろう。定量化に関する知見は生物分野を中心に他分野からも導入を試み、最新で科学的な手法にて行えるよう心がける。インドシアニングリーンの染色に関する定量化が可能なアップグレードした機器については、今後の研究費調達や病院への申請を通じて使用できるよう善処していく。 また、引き続き丁寧な手術と患者対応を心がけ、地域の信頼を失わずに診療を行うことで、同時に治療成績の向上に必要な臨床研究も行うことができると考えている。エコーの技術においては、医師による個人差が大きいため、関連医師が習熟できるよう実務指導や環境整備に努める。薬によるアレルギー反応は現在一例もないが、安全面において麻酔科だけではなく診療、特に手術に関わる小児外科医の対応についても教育を続けていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)