Rotational energy level structure of molecules in a high energy region
Project/Area Number |
21K18143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 13:Condensed matter physics and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 宗良 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20373350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深堀 信一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10802142)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥25,740,000 (Direct Cost: ¥19,800,000、Indirect Cost: ¥5,940,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2021: ¥11,700,000 (Direct Cost: ¥9,000,000、Indirect Cost: ¥2,700,000)
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Keywords | 高強度光 / Optical centrifuge光 / 回転超高励起状態 / 自己位相変調 / チャープ率 / ストレッチャー / 分子回転 / 回転エネルギー準位 |
Outline of Research at the Start |
高い回転エネルギーの回転状態を生成することは熱的にも光を用いても困難である。このため,高エネルギー回転状態の研究はほとんど行われていない。高エネルギー回転状態は,振動・電子状態との相互作用の結果,非周期の運動となりカオス的な運動が期待される。また,遠心力による化学結合の切断に基づく化学反応制御も期待できる。このように,高エネルギーの回転状態を生成し,その性質を理解することは,物理・化学の分野における新たな研究分野を開くであろう。本研究は,二原子分子を超高速で回転させ,いまだ到達したことのない回転エネルギー領域において,その回転運動ダイナミクスやエネルギー準位構造を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高強度光を用いて回転超高励起状態を生成し,そのエネルギー準位構造を調べることを目的としている。回転超高励起状態の生成にはoptical centrifuge(OC)光が必要となる。従来の手法ではアップチャープおよびダウンチャープした二つの光を重ね合わせることでOC光を作成していたが,我々は二つのアップチャープ光を用いてOC光を作ることを着想した。我々の手法では自己位相変調(SPM)を用いることでコンパクトな装置でエネルギー効率良くOC光の生成ができると考えられ,その実現を目指して研究を進めてきた。2021年度は水および空気を媒質としたSPMによりアップチャープ光を生成したが,光パルスの空間的な強度分布が悪くOC光として使うことができなかった。今年度(2022年度)は,SPM媒質としてスクロールポンプで到達できる程度の低圧の空気を用いたところ空間的な強度分布に改善が見られた。SPMにより生成したアップチャープ光(アップチャープ光1)と,フェムト秒レーザーシステムの圧縮器の直前で取り出したピコ秒のアップチャープ光(アップチャープ光2)を混ぜることによってOC光の生成に成功した。 生成したOC光をNO分子へ照射し回転状態の励起実験を行ったが,明確な高回転励起状態の生成は確認できなかった。この原因として,アップチャープ光1のパルス幅をピコ秒程度に伸長させるために作成したストレッチャー内部において短波長側のスペクトルがレンズによって削られていたことが判明した。このため充分なバンド幅を含むOC光が生成しておらず高回転状態が生成しなかったものと考えている。またアップチャープ光1の光強度が充分高くなかったことも考えられる。現在,これらの問題を解決するためにストレッチャーの光学素子を変更しアップチャープ光1の全てのバンド幅をカバーできるOC光の生成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度当初,2021年度の成果を踏まえSPM媒質を水からガラス(SF11 10cm)へ変更しバンド幅の増大を目指した。光の生成およびXFROGによる光の計測を行った。その結果,アップチャープ光1として時間幅24 ps,チャープ率 2.5 x 1023 s-2の光を生成に成功した。またアップチャープ光2についても,時間幅125 ps,チャープ率 2.6x 1023 s-2であることが分かった。これらの光を逆回りの円偏光とし時間的・空間的に重ね合わせることによってOC光を生成した。 NO分子に対して,ポンプ光として直線偏光の高強度光(100 fs, 40 uJ/pulse, 780 nm)もしくはOC光(アップチャープ光1 0.58 mJ/pulse,アップチャープ光2 2.74 mJ/pulse)により回転励起させ,波長可変のナノ秒レーザーにより回転状態分布をプローブした。NO分子は超音速分子線として真空チャンバーへ噴出させ,初期回転状態分布は回転量子数J = 0.5, 1.5がそれぞれ同程度の分布であることが確認された。直線偏光のポンプ光によってJ = 5.5まで回転励起したことが観測されたが,OC光を用いた場合,回転励起がほとんど観測できなかった。この理由として,アップチャープ光1のバンド幅が充分でない点、OC光の強度が弱い点,回転状態分布を計測する際のプローブ光の強度が弱い点が考えられる。 以上より,現在までの進捗状況としてOC光の生成には成功しているが,高回転励起状態を生成する性能を有していない。このため引き続きOC光の改善に努めている段階である。OC光の生成はできており,OC光の改善を行えばその後の測定方法は確立しているため回転高励起状態の観測ができる。このため研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はアップチャープ光1のバンド幅を充分に確保できるようにストレッチャーの光学素子を変更する予定である。具体的には、ストレッチャー内部に横方向(スペクトル方向)30 mmのシリンドリカルレンズを用いているが,特注の55 mmの長さを持つレンズに交換しバンド幅を全てカバーする。これにより,高回転励起状態を生成するために必要な充分なバンド幅を確保する。このように改良されたOC光を用いてNO分子の高回転励起状態の生成を試みる。また,ストレッチャーで使用している回折格子の回折効率が低いためストレッチャー全体のスループットが18 %となり,OC光の強度が低下し充分な光強度が確保できていない。このため,高効率の回折格子を用いて,OC光の強度をさらに高める予定である。改善したOC光をNO分子へ照射し回転励起させ波長可変ナノ秒レーザーによる共鳴多光子イオン化法により励起スペクトルを測定する。また数値計算によるシミュレーションも合わせて行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(18 results)
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[Book] 強光子場分子科学2022
Author(s)
深堀信一(分担執筆)
Total Pages
472
Publisher
朝倉書店
ISBN
4254141084
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