Project/Area Number |
21K18149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 14:Plasma science and related fields
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
桐山 博光 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所 光量子ビーム科学研究部, グループリーダー (40354972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 裕之 同志社大学, 理工学部, 教授 (00202200)
宮坂 泰弘 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所 光量子ビーム科学研究部, 主任研究員 (20761464)
鈴木 将之 同志社大学, 理工学部, 教授 (60622371)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥25,480,000 (Direct Cost: ¥19,600,000、Indirect Cost: ¥5,880,000)
Fiscal Year 2024: ¥9,360,000 (Direct Cost: ¥7,200,000、Indirect Cost: ¥2,160,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | レーザー |
Outline of Research at the Start |
これまで各研究機関においてコヒーレントビーム結合が研究されてきたが、これを実現するのは簡単ではない。多数の増幅ビームを結合する手法が検討されてきたが、各ビーム光路を能動的に超精密に合わせたとしても、各ビーム波面は同じにならない。そのため、波面合成後にも時間空間強度変調の影響は残留し、ビーム結合効率の大きな低下をもたらす。この問題を解決するため、本研究では各ビームの波面、即ち位相が受動的に一致するコヒーレント結合系を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
コヒーレント光であるレーザーの最大の特徴は、パワースケーリングは原理上無限にできることである。光を電界位相まで揃えたコヒーレント結合ができるため、独立の増幅器から出たレーザーを結合できるからである。2018年ノーベル物理学賞を受賞したチャープパルス増幅(CPA)法で可能となったペタワット(PW=10の15乗W)よりも3桁高いエキサワット(EW=10の18乗W)レーザーを実現できる基盤技術を確立するため、ハイパワーレーザーのコヒーレント結合技術を開発する。最も困難な課題は空間波面の整合性であり、時間領域の周波数や位相をいくら整合させても結合はうまくいかない。本研究では、技術的に未開拓な独立の固体レーザー増幅器から出た全てのレーザーが全て同じ光路を伝搬することで受動的に波面が一致する新たなアイデアに挑む。 本年度(R5)は2つのサニャック干渉計をそれぞれレーザーパルスの時間及び空間的に分割・応用したコヒーレント結合光学系を用いた。サニャック干渉計を採用することにより、互いに相関を有する4つのパルスは、往路と復路で光路が入れ替わるため互いに等しく伝搬することになり、本光学系出射時に全ての分割されたパルスの位相が一致する。 本光学系により、フェムト秒極短パルスを制御することなく、位相ずれゼロで受動結合(自動空間波面整合)できる調整手法を確立し、すなわち、各光学素子の波長依存性を考慮した3次元波動光学解析による理論限界の結合効率を得るための調整手法を確立した。これにより、理論限界(位相ずれゼロ)の結合効率を達成した。この成果を受けて、まずは小型ではあるが固体レーザー増幅器を付加し、時間・空間分割増幅フェムト秒パルスレーザーの受動コヒーレント結合に世界で初めて成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(R5)は、計画していた時間空間分割極短パルスレーザーの増幅とそれらの受動コヒーレント結合として、1)小型チタンサファイアレーザー増幅器の試作・試験、2)極短パルスレーザーの増幅特性の試算と計測・診断技術の確立をすることができた。 小型ではあるが世界的に例がない極短パルスレーザー増幅を可能とする固体チタンサファイアレーザー増幅器を用いた時空間分割フェムト秒極短パルスの受動コヒーレント結合基礎試験を実施し、1)増幅利得、2)結合効率、3)出力ビーム品質の評価を行った。 増幅利得に関して、増幅パルスを重ね合わせることができるかの原理実証を目的とし、小型増幅器を試作・試験を行った。分割フェムト秒極短パルスを増幅・再結合することに成功し、理論限界の増幅利得を実現することができた。 結合効率に関して、3次元波動光学解析により、フェムト秒極短パルスを制御することなく、位相ずれゼロで受動結合(自動空間波面整合)できる調整手法を確立し、理論限界(位相ずれゼロ)の結合効率を達成することができた。 出力ビームに関して、良好な再結合シングルビーム出力を確認した。 自作で増幅数値計算コードを開発し得られた計算結果と実験結果を比較・評価した。その結果、本励起光学系で理論限界の高利得・高エネルギー増幅を達成できたことが確認できた。これらにより、極短パルスレーザー増幅光を受動結合できることを世界に先駆け実証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針として、時空間分割フェムト秒レーザーの大口径固体レーザー増幅器を付加し、高エネルギー動作時での結合試験を実施する。パルスあたり100 mJ級の高エネルギー時間分割レーザーの受動コヒーレント結合を世界に先駆け実証を行う予定である。高エネルギー動作時に発生する非線形評価を最小化する設計を行うとともに、レーザーのビーム品質を良好に保つために、像転送光学系を増幅器に組み込んだ新たなレーザー増幅器の整備を行う。次に、100 mJ級の高エネルギー増幅に必要な増幅利得を評価する。極短パルスであるため、分散によるチャープの影響を受け、パルス幅が広がる。このため、回折格子によるパルス圧縮器を準備し、数十fs以下の極短パルス化を目指す。本光学系で理論限界の高利得・高エネルギー増幅を達成する。これらにより、極短パルスレーザー増幅光を受動結合できることを世界に先駆け実証することを目指す。
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