Budget Amount *help |
¥25,220,000 (Direct Cost: ¥19,400,000、Indirect Cost: ¥5,820,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究3年目となる2023年度は、1,2年目とは異なり、より精密な構造解析を可能にするためのR&Dに注力した。具体的には、新たに開発されたラジアルコリメータにより、従来よりも寄生散乱であるダイヤモンドからの散乱を大幅にカットすることに成功し、約70 GPaまで高いシグナル/バックグラウンド比を持った氷の中性子回折パターンを得ることに成功した。さらに、得られた中性子回折パターンを解析する際、アンビルによる中性子の減弱をセル後方においたモニターによって測定することで、どの程度の中性子が実際に試料に入射しているか、定量化する方法を確立した。 これらの技術開発によって、これまで高精度には得られなかった(重)水素原子の原子変位パラメータを得ることができ、1,2年目までに得られていた構造解析の結果と合わせて、氷VII中の水素の位置分布の詳細について議論することができた。詳細な解析の結果、氷VII中の水素結合は約80 GPaで対称化することが明らかになった。また80 GPaでは回折ピークのピーク幅の減少という予想外の現象も観察されたが、これは水素結合の対称化が格子歪の緩和をもたらしていることを示唆している。本研究により、長年未解決であった氷の水素結合の対称化圧力について、直接的な制約を与えることができたことは、氷の物理化学の分野ではインパクトの大きな成果であり、本研究の目的の一つを達成することができたと言える(Komatsu+, Nat. Commun., in press)。
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