Project/Area Number |
21K18156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
高井 研 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門, 部門長 (80359166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 善弘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 主任研究員 (10399561)
吉田 光宏 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 准研究員 (60565555)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥25,740,000 (Direct Cost: ¥19,800,000、Indirect Cost: ¥5,940,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
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Keywords | 超深海海溝 / 暗黒の生態系 / ウィルスバスター微生物 / 防御共生 / CRISPR/CAS / ウイルスバスター微生物 / CRISPR/Cas |
Outline of Research at the Start |
本研究では、(i) それぞれの生物の各組織・部位毎に微生物群集のメタゲノム解析を行いTenericutes綱バクテリアの分布・優占度・多様性を調べること、(ii) ゲノム情報に基づく共生状態や宿主との関係性を明らかにすること、(iii) 組織・部位の顕微鏡観察やトランスクリプトーム解析等によって共生バクテリアの局在性や形態、共生機構を特定すること、および(iv) 分子系統解析やタンパク発現解析によって防御共生の分布・分散・多様性を明らかにすること、を展開する。最終目標は「最強のウイルスバスター微生物による防御共生メカニズム」を実証することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も実施予定であった研究調査船「よこすか」と有人潜水船「しんかい6500」による琉球海溝調査を行うことができなかった。水深6500mに至る様々な環境に生息する多様な底生動物の網羅的な採取を行い、消化管各組織・部位毎の微生物群集のメタゲノム解析を行うことは2024年度に実施されることが決定した。そのため2023年度は、過去の深海潜航調査や2023年度に別の航海で得られた多種のナマコを中心とした 約100個体以上の底生動物について、新たに消化管各組織・部位毎の微生物群集のメタゲノム解析を行った。現時点での統計では、約100個体の底生動物の消化管壁に共生する微生物群集において、5%程度の個体がTenericutes綱バクテリアが優占していること、およびmetagenome assembled genome(MAG)が決定されたTenericutes綱バクテリアのうち2種類のみが多数のCRISPR/Cas領域の反復配列を有すること、を明らかにした。この結果から、消化管組織において多数のCRISPR/Cas領域の反復配列を持つTenericutes綱バクテリアを共生させるナマコや底生動物の確率は研究開始まえに想定していたよりも遥かに低いことが明らかになった。一方で、多数のCRISPR/Cas領域の反復配列を持つTenericutes綱バクテリアを共生させるナマコは全て深海に生息する個体であり、防御共生は深海性ナマコ特有の現象であることも考えられた。また2023年度は、共生菌を有するナマコ消化管組織に対するFISHによる局在性の検証を行い、多数のCRISPR/Cas領域の反復配列を持つTenericutes綱バクテリアが実際にナマコ消化管組織の細胞内に共生していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度も計画していた調査を行うことはできなかったものの、過去の深海潜航調査や2023年度に別の航海で得られた多種のナマコを中心とした100個体以上の底生動物について研究を進めた。多数のCRISPR/Cas領域の反復配列を有する共生菌の特定に成功するとともに、Tenericutes綱バクテリアの消化管組織への共生が深海性ナマコ特有の現象である可能性が明らかになった。一方、CRISPR/Cas領域の反復配列を有する共生菌の確率は当初の予想より遥かに低く、Tenericutes綱バクテリアの消化管組織への共生が「ホスト生物のウイルス感染からの防御のため」とした作業仮説は棄却される結果となった。いずれにせよ、Tenericutes綱バクテリアの消化管組織への共生が深海性ナマコ特有の現象である可能性やその局在性の確認について論文発表の目処がたったことにより、研究計画はやや遅れているものの目標達成に向けて進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
未だ実施できていない研究調査船「よこすか」と有人潜水船「しんかい6500」による琉球海溝調査は、2024年7月に実施されることが決定した。この調査航海での水深6500mに至る様々な環境に生息する多様な底生動物の体系的サンプリング試料を用いて、Tenericutes綱バクテリアの消化管組織への共生が深海性ナマコ特有の現象である可能性を検証する予定である。その結果を合わせて、これまでに得られた多数のCRISPR/Cas領域の反復配列を有するTenericutes綱共生バクテリアの存在と分布様式について論文投稿を行う。
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