Elucidating the molecular mechanism of herbal medicine by the advances in computational mass spectrometry
Project/Area Number |
21K18216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 37:Biomolecular chemistry and related fields
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
津川 裕司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30647235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今見 考志 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (30528344)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥26,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000、Indirect Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2021: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 生薬 / マルチオミクス / 質量分析 / インフォマティクス / 天然物化学 / 統合オミクス / システムバイオロジー / 質量分析インフォマティクス / メタボローム / データサイエンス / プロテオーム |
Outline of Research at the Start |
本研究では、各階層のオミクス科学を「質量分析インフォマティクス」という概念で総合的に捉え、代謝統合オミクスのスループット及びアノテーション率の革新的向上を行い、生命代謝システムの深層理解を目指す挑戦的開拓研究を遂行する。そして構築される基盤技術を用いることで、生薬・漢方薬の科学的根拠を分子レベルで解明し、植物とヒトとの関わりを紐解く代謝オミクス科学を展開する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、質量分析駆動型のオミクス解析を用いることで、生薬の薬理作用を分子レベルで理解することを目的としている。特に、甘草(Glycyrrhiza uralensis)は漢方製剤の約7割に用いられる重要な植物資源であり、抗腫瘍、抗菌、抗炎症、免疫調節作用など多様な生理活性が報告されていることから、本研究における主な題材と位置付けている。まず、抗炎症活性が知られている甘草由来天然物であるisoliquiritigenin(ILG)と甘草抽出エキス(GU)をマクロファージ由来細胞であるRAW264.7に添加し、化合物添加の有無におけるリポ多糖 (LPS) 誘導性炎症過程を評価した。LPS処理24時間の時点でILG 添加群とGU添加群の両方においてIL-6の有意な低下が確認できたことから、LPS処理から24時間後までの時系列親水性メタボローム、リピドーム、リン酸化プロテオームデータを取得し、解析を行った。炎症惹起24時間後のLPS群において、メタボローム解析の結果では、好気的解糖の亢進、クエン酸サイクル障害、アルギニン代謝(一酸化窒素産生)の亢進、脂肪酸や中性脂質の蓄積など、先行研究と同様の結果が得られた。その一方で面白いことに、甘草由来天然物添加群においてこれら代謝変化は減弱され、特にILG添加群においてはシトルリンの顕著な減少が見られ、一酸化窒素の産生抑制を示唆する結果を得た。またリン酸化プロテオームの結果からは、LPS刺激15分後において、解糖系の律速酵素である代謝酵素6-phosphofructokinaseのリン酸化レベルがGUおよびILG添加群で有意に低下しており、甘草天然物が解糖系亢進を抑制する分子機構が一部明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、本科研費課題について、原著論文2報について執筆中であり、2023年度には学術論文という形で成果を出せる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、isoliquiritigenin(ILG)について、その抗炎症効果の分子メカニズムについて新しい知見が得られてきている。一方、ILGの直接の分子ターゲットは未だ明らかになっていない。そこで今後は、activity based proteome profiling (ABPP)などの手法を用いてILGの分子ターゲットを選択的に濃縮して解析することで、ILGの作用機序を明確にする。また、得られた大規模データをノンバイアスに統合解析する多変量解析手法を用いて、ILGおよび甘草抽出エキス添加群の差を明確にする。そして、ILG群と抽出エキス群で変化が異なる代謝経路に着目し、単剤投与ではなく生薬そのものを摂取する生理学的意義の科学的根拠を提示することを目指す。また、上記についての論文化を推進する。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)