特定臓器の分子時計を標的かつ遠隔に操作する技術の開発と応用
Project/Area Number |
21K18249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 47:Pharmaceutical sciences and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大戸 茂弘 九州大学, 薬学研究院, 教授 (00223884)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥25,350,000 (Direct Cost: ¥19,500,000、Indirect Cost: ¥5,850,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 分子時計 / 微弱電流刺激 / 遠隔操作 / 標的臓器 |
Outline of Research at the Start |
体内時計を調整する方法として、高照度光療法と食事などがある。研究代表者は、光に代えて、点眼による局所作用を介して全身リズムを調整する画期的な技術を開発した。一方、薬による体内時計の操作は作用が数時間に及び標的臓器に特異的に作用できない。代表者は薬や栄養素に加えて、微弱電流が分子時計の核移行を制御し、体内時計を調節することに成功した。また炎症臓器以外の臓器機能を改善させることで、炎症臓器の炎症を治療する画期的な治療法を考案した。これらの技術を駆使して、本研究では、「特定臓器の分子時計を標的かつ遠隔に操作する技術の開発」を目指し、特定臓器のリズムを標的に操作することで健康保持増進に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
実験1in vitroにおけるマイクロ電流刺激(MCS)によるリズム操作:培養細胞として、C57BL/6J雄性野生型マウスの脳由来アストロサイトを、常法に従って継代培養し、各試験に用いた。微弱電流刺激装置の電極を用いて一定時間電気刺激を行った。時計遺伝子の発現量に及ぼすMCSの影響について、各遺伝子のmRNA発現量およびタンパク質量を測定した。その結果MCSによりPer1の転写活性が促進した。そこでPer1プロモーター領域を解析した結果、カルシウムイオンやcAMP等の刺激により活性化する転写因子cAMP response element binding protein(CREB)の応答配列CREが存在することを確認した。次に、MCSによるPer1遺伝子の転写活性化の機構を解明するためにPer1遺伝子のCRE応答配列を含むプロモーター配列とCRE応答配列を含まないプロモーター配列の下流にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだベクターをアストロサイトにトランスフェクションし、MCS後のルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、MCSはPer1遺伝子のプロモーター領域に存在するCRE応答配列を介して転写を促進することを明らかにした。 CREBによる転写活性には、CREBタンパク質のリン酸化が重要である。そこで、MCS後のCREBタンパク質のリン酸化を測定した。その結果、MCSの刺激によりCREBタンパク質のリン酸化が促進した。次に、CREBのリン酸化酵素Protein kinase A(PKA)の阻害剤H89を用いた。その結果、MCSによるCREBタンパク質のリン酸化とPer1遺伝子の増加は抑制された。以上の結果よりMCSはCREBタンパク質のリン酸化の活性化を介して、Per1遺伝子の発現を増加することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験1では、培養細胞として、C57BL/6J雄性野生型マウスの脳由来アストロサイトを、常法に従って継代培養し、各試験に用いた。微弱電流刺激装置(MCS)の電極を用いて一定時間電気刺激を行った。時計遺伝子の発現量に及ぼすMCSの影響について、各遺伝子のmRNA発現量およびタンパク質量を測定した。その結果MCSによりPer1の転写活性が促進した。そこでPer1プロモーター領域を解析した結果、カルシウムイオンやcAMP等の刺激により活性化する転写因子cAMP response element binding protein(CREB)の応答配列CREが存在することを確認した。次に、MCSによるPer1遺伝子の転写活性化の機構を解明するためにPer1遺伝子のCRE応答配列を含むプロモーター配列とCRE応答配列を含まないプロモーター配列の下流にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだベクターをアストロサイトにトランスフェクションし、MCS後のルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、MCSはPer1遺伝子のプロモーター領域に存在するCRE応答配列を介して転写を促進することを明らかにした。 CREBによる転写活性には、CREBタンパク質のリン酸化が重要である。そこで、MCS後のCREBタンパク質のリン酸化を測定した。その結果、MCSの刺激によりCREBタンパク質のリン酸化が促進した。次に、CREBのリン酸化酵素Protein kinase A(PKA)の阻害剤H89を用いた。その結果、MCSによるCREBタンパク質のリン酸化とPer1遺伝子の増加は抑制された。以上の結果よりMCSはCREBタンパク質のリン酸化の活性化を介して、Per1遺伝子の発現を増加することを明らかにした。以上のことから、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験2では、ICR雄性野生型マウス及びClock遺伝子改変(Clk/Clk)雄性マウスを対象に、MCS後、行動リズムおよび各種臓器の時計遺伝子の発現量に及ぼす影響について検討する。Clock改変マウスは、CLOCK/BMAL1複合体の応答配列であるE-boxを介した転写活性が消失している。概日リズム障害モデルとしてClk/Clkマウスを対象に微弱電流刺激(MCS)がPer1遺伝子の発現リズムを正常時と同程度まで回復させるか否かを検討する。具体的には、実験動物として、ICR雄性野生型マウス及びClk/Clk雄性マウスを、明暗周期、自由摂食摂水の条件下で1週間飼育した後、各試験に用いる。行動解析は、明暗周期又は恒暗条件下で行動解析装置を用い測定する。肝臓の時計遺伝子に及ぼすMCSの影響について、吸入麻酔下で腹部及び背部のそれぞれに電極を貼付し、微弱電流刺激装置を用いて、一定時間電気刺激を行う。肝臓からTotal RNAを抽出し、各遺伝子のmRNA発現量を測定する。Per1遺伝子のmRNA発現に及ぼすMCSの処理開始時刻の影響を明らかにする目的で、6時点に野生型マウスにMCSを行い、MCS直後の肝臓中のPer1遺伝子のmRNA発現量を測定する。 Clock改変マウスは、CLOCK/BMAL1複合体の応答配列であるE-boxを介した転写活性が消失している。概日リズム障害モデルとしてClk/Clkマウスを対象にMCSがPer1遺伝子の発現リズムを正常時と同程度まで回復させるか否かを検討する。また野生型マウス及びClock改変マウスの行動リズムに及ぼすMCSの影響を検討する。明暗条件下で1週間飼育後、恒暗(DD)条件下で1週間飼育したマウスを対象に麻酔下でZT0(7:00)にMCS行う。麻酔の影響がある場合には、構築済みの無麻酔下MCSを実施可能な遠隔操作技術で対応する。in vitro系と同様に機序を解明する。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)