Project/Area Number |
21K18392
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 4:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
縄田 浩志 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (30397848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 隆 石巻専修大学, 共創研究センター, 特別研究員 (00215633)
星野 仏方 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (80438366)
中島 敦司 和歌山大学, システム工学部, 教授 (90283960)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 家畜管理 / 森林保全 / 生計維持 / ヒトコブラクダ / マングローブ |
Outline of Research at the Start |
本研究はスーダン紅海沿岸において「牧夫がマングローブ林分の増加と減少の潜在性のある場所を理解し,ラクダの摂食行動を管理することが,林分面積の場所ごとの増減に影響し,結果的に林分全体が維持される」可能性に焦点をあてて,植物生理生態学,比較栄養生理学,環境動態解析学,資源管理学をあわせた多角的な視点から「乾燥地マングローブ林の維持管理においてラクダは単なる食害ではない」ことを検証する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,砂漠化対処におけるこれまでの学術的・実践的前提を打ち破って,牧畜は必ずしも森林減少の主因ではないという,挑戦的な視座を獲得することにある.熱帯・亜熱帯地域の沿岸域は,バイオマスや生物多様性の観点から重要な地域であり,ほぼ北緯・南緯30度の範囲内にはマングローブ生態系やサンゴ礁生態系という沿岸生態系が発達している.一方,乾燥地域は,単位面積あたりのバイオマスや生物多様性が最も低い地域である.乾燥地域とマングローブ・サンゴ礁域の3者が連続して重なり接する,熱帯・亜熱帯の乾燥地の沿岸域では,ヒルギダマシ((以下マングローブ)を優占種とするマングローブ林と裾礁を中心としたサンゴ礁が共存し,マングローブ生態系とサンゴ礁生態系が相互に関係し合う特有の沿岸生態系を発達させている.同時に常緑マングローブの枝葉はヒトコブラクダ(以下ラクダ)の通年の飼料として地域住民の生計維持に不可欠な資源である.本研究では「牧夫がマングローブ林分の増加と減少の潜在性のある場所を理解し,ラクダの摂食行動を管理することが,林分面積の場所ごとの増減に影響し,結果的に林分全体が維持される」可能性に焦点をあてて,植物生理生態学,比較栄養生理学,環境動態解析学,資源管理学をあわせた多角的な視点から「乾燥地マングローブ林の維持管理においてラクダは単なる食害ではない」ことを検証する.その結果をもとに,乾燥地の沿岸域ではラクダ牧畜はマングローブ林減少の主因ではないことを明らかにする.これまでの研究では,主に環境動態解析学の観点から高解像度衛星画像を用いた林分内の場所ごとの面積の増減の評価を行った結果,ヒトコブラクダのヒルギダマシ採食量を,「キャメルライン」の形成に注目して評価する研究を発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度に明らかとした研究計画の軸となるレビュー論文(縄田浩志「マングローブに対するヒトコブラクダの採食圧をめぐって」草炭研究14(1): 23-33,2021年)において明示した内容に基づき,研究代表者と研究分担者らがこれまで実施したスーダン紅海沿岸における現地調査を計画したが,スーダンにおける治安の悪化により実現できなかった.一方,これまでの研究成果を踏まえて,主に環境動態解析学の観点から高解像度衛星画像を用いた林分内の場所ごとの面積の増減の評価を行いつつ,ヒトコブラクダのヒルギダマシ採食量を,「キャメルライン」の形成に注目して評価する研究を発表した(星野仏方・多仁健人「ラクダの食習性とキャメルラインの形成」今村薫編『ラクダ、苛烈な自然で人と生きる』風響社,2023年,pp. 197-211;Hoshino, B, H. Nawata, K. Tani, A. K. Gaiballa “Remote sensing approach to mangrove forest dynamics and camel grazing line formation in coastal Port Sudan,” 2023 Asian Conference on Remote Sensing (ACRS2023), 2024年), URL: https://a-a-r-s.org/proceedings2023/).
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Strategy for Future Research Activity |
スーダン紅海沿岸クラナイーブ地域のマングローブ林分に焦点をあてたデータ解析に基づき,マングローブ林の場所ごと季節ごと,またマングローブ生長段階に応じた,適切なラクダ管理を軸とした持続的で統合的な資源管理体制を考察するために,スーダンにおける現地調査を計画してきたが,2021年度(初年度)には新型コロナウィルス感染症の影響により,また2022年度(次年度)にはスーダンにおける治安の急減な悪化により実現しなかった.受入組織である紅海大学と密なコミュニケーションをとっており,国内の安定を待って現地調査を実施する望みを捨ててはない.ただし2023年度(最終年度)において現地調査ができる見込みがつかなかったため,次年度に繰り越し使用として,代替えとなる現地調査(湾岸地域のカタールを予定)を計画することとした.
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