Project/Area Number |
21K18509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 9:Education and related fields
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
桑原 敏典 岡山大学, 教育学域, 教授 (70294395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 宏史 岡山大学, 教育学域, 准教授 (20513469)
平田 仁胤 岡山大学, 教育学域, 准教授 (50582227)
吉利 宗久 岡山大学, 教育学域, 教授 (60346111)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 主権者教育 / 特別支援教育 / 教師教育 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、知的障害のある子どもに対する主権者教育プログラム開発を目指したものであり、開発にあたっては学習者の自立的な意思決定を支援することに焦点をあて、知的障害のある人の政治参加を保障する仕組みの構築を目指す。小中高等学校で主権者教育プログラムの開発が盛んに行われる一方で、特別支援学校においても同様の取り組みが進められている。しかし、知的障害のある子どもに対しては、判断や意思決定を苦手とすることもあって、いかに効果的に主権者教育を実施するかという模索が続いている。本研究では、知的障害のある子供が、投票行動を通じて、自らの政治的な意思を真に表明できるようにする教育プログラム開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、当初予定していた計画の最終年度に当たるため、ここまでの成果を報告するとともに、ここまで実施できていなかった調査を行なった。研究成果の報告としては、6月に開催された第33回日本公民教育学会全国研究大会の自由研究発表にて発表を行なった。発表では、知的障害のある子どもに対する主権者教育プログラムの開発を目指して、先行研究を手がかりに、現在行われている障害のある子供に対する主権者教育の取り組みを分析し、その特質と課題を明らかにした。そのうえで、全ての人にとって公正な参加を保障し得る政治とはどのようなものかを考察し、それを前提とする主権者教育のあり方について検討した。以上をふまえて、主権者としての自立的意思決定の保障が、教育の前提として重要であるという考え方にたって、プログラム開発のためのフレーム・ワークを提案している。その際、本米国の哲学者であるマーサ・ヌスバウムの考え方を手がかりとした。さらにこの成果を、『岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要』で発表した。 また、国内外で主権者教育に関する資料収集を行なった。国内では、大阪市にある国際平和センターを訪れ単元開発に関する資料を収集した。また、海外については、主権者教育に関する情報収集のため、韓国のソウルにあるユネスコの機関であるAPCEIU(アジア太平洋国際理解教育センター)を訪問し、シティズンシップ教育に関する資料を収集した。調査からは、主権者教育が多くの場合マジョリティを対象として行われており、マジョリティと同等の状況を保障するためにマイノリティに対して様々な支援が行われていることが明らかになった。そのため、マイノリティの主権者教育は、マジョリティと同等の権利保障にどの程度近付くかという視点からなされており、マイノリティの背景や状況を十分に反映していないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本事業は当初3年間で完了する計画であった。しかしながら、新型コロナ感染症の五類移行以後、コロナ前の日常が回復したとはいえ、学校教育現場において調査を実施することは依然困難であり、実地調査の目途が立たず、事業が大幅に遅れることになった。昨年度は、そのような状況の中でも少しずつ遅れを取り戻すことができたが、当初予定の計画を全て完了することはできなかった。 特に、理論的な研究に基づいてプログラムを開発したり、その効果を検証したりすることができなかったことは大きく、期間を延長してこれらの事業の完了を目指す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、下記の4点の到達目標を設定していた。それは、(1)特別支援学校における主権者教育の現状と課題、特に教師や保護者の主権者教育に対する意識や、先進的な取り組みの成果と課題の解明、(2)知的障害のある児童生徒の主体的で自立的な意思決定を支援する学習指導原理の解明、(3)上記をふまえた知的障害のある児童生徒を対象とする主権者教育プログラムの開発、(4)主権者教育の学習者評価とプログラム評価の方法と、その運用システムの開発、である。現時点では、これらのうち、(2)は完了しているものの、(1)は調査が不十分であり、(3)と(4)については、着手するだけにとどまっている。そこで、今年度は、到達目標を見直しながら、延長期間において完了可能な現実的かつ実質的な事業設計を行う。 特に、実態調査に関しては、改めて協力が得られる機関を探し、滞っていた実態解明に取り組む。そのうえで、プログラム開発にあたっては、既に同様の研究に取り組んでいる研究グループにアプローチをして、そのメンバーに協力を仰ぎ、従来のプログラム開発の成果を活かしながら、ここまで本研究で解明した知的な障害がある子どものための主権者教育の原理を応用し、新たなプログラム開発に取り組む。
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