Quantum-size effect on metallic nanoparticles, its implications and applications
Project/Area Number |
21K18600
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 13:Condensed matter physics and related fields
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 憲二 京都大学, 理学研究科, 教授 (90243196)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
|
Keywords | ナノ粒子 / 量子サイズ効果 / 核磁気共鳴 / 低温物性 / 金属ナノ粒子 / 核磁気共鳴実験 |
Outline of Research at the Start |
我々は既にナノ粒子研究においてNMR実験の有用性を示し、量子サイズ効果をNMR測定から検出に成功した。明らかになったこととしては、低温において状態密度の離散化に伴いフェルミエネルギー近傍にエネルギーギャップが存在し絶縁体的な状態が実現していることである。この性質に着目し、室温で金属・絶縁体転移を示すナノ粒子の探索を行う。量子サイズ効果に基づく金属・絶縁体転移の探索は今までになかった発想であり、もし成功すれば、産業界への応用が広がるものと考えられる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、サイズが制御された金属ナノ粒子や、複数元素からなるナノ粒子に対し核磁気共鳴(NMR)測定を用い、金属ナノ粒子特有な現象を発見し、その物性理解や応用へ努める。特に最近我々が白金(Pt)ナノ粒子に対して見出した、核スピン-格子緩和率(1/T1)に見られる「量子サイズ効果」が他の金属ナノ粒子にも見られるのか明らかにし、物性応用につなげる。 Ptは強磁性状態に近い金属として知られ、フェルミエネルギーにはPt-5d電子が支配的である。我々はPtナノ粒子で見られた量子サイズ効果が他のd電子金属のパラジウム(Pd)やルテニウム(Ru)ナノ粒子にも見られるのか、PdやRu核のNMR測定から調べる。さらにPtのd電子の寄与や元素置換の効果を調べるために、同族でフェルミエネルギーに4d電子の寄与を持つPdを混ぜたナノ粒子や、比較として、フェルミエネルギーにd電子の寄与を持たないCuを混ぜたPt1-xCuxナノ粒子の研究を行っている。特に、Pt1-xCuxナノ粒子では、PtとCu-NMRを行うことから、異なる元素サイトで状態密度が異なるのか微視的に調べることが出来る。また、Ptナノ粒子が強磁性元素のNiを混ぜることによりNi濃度がいくらから強磁性を示すようになるのか、Pt1-xNixナノ粒子を作成しPt-NMR測定から調べている。さらに最近注目を集めているhigh-entropyマテリアルのナノ粒子PtPdRhRuIrの磁性や電子状態もPt-NMR測定から調べる。また、d電子を含まないナノ粒子Au1-xCuxにPtナノ粒子に見られた「量子サイズ効果」が見られるかCu-NMR測定から調べ、d電子が伝導に関係しているナノ粒子とそうでないナノ粒子の違いを調べる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、サイズが制御された金属ナノ粒子や複数元素からなるナノ粒子に対し核磁気共鳴(NMR)測定を用い、金属ナノ粒子特有な現象を発見しその物性理解に努める。特に最近我々が白金(Pt)ナノ粒子に対して見出した、核スピン-格子緩和率(1/T1)に見られる「量子サイズ効果」が他の金属ナノ粒子にも見られるのか明らかにし、物性応用につなげる。現在までに以下の結果が得られている。 ① Ru、Pdナノ粒子における1/T1の量子サイズ効果。Ptナノ粒子で観測された、ナノ粒子の粒界の大きさに依存した1/T1の増大は、RuやPdナノ粒子にも見られることを明らかにした。 ② Pt1-xPdxナノ粒子における1/T1の量子サイズ効果の保持。Pt1-xPdxナノ粒子におけるPt-NMRの結果は混合比によらずPtだけからなるナノ粒子と同様な量子サイズ効果が観測された。この結果は性質の似た元素からなるナノ粒子では、異なる元素による不純物効果は無視できるものと考えられる。 ③ Pt1-xCuxナノ粒子における1/T1の量子サイズ効果の抑制、および同一ナノ粒子内における電子状態の一様性。粒径がほぼ同じ(3nm)Pt1-xCuxナノ粒子に対してPtとCuのNMRを行い、そのぞれの元素における電子状態を1/T1より調べた。驚くことに、PtとCuとで1/T1は同じ振舞いが見られ、似たような電子状態になっていることがわかった。さらにCuの濃度を増やしていくと、1/T1の異常の温度は変わらないものの、1/T1のピークの振舞いは大きく抑制された。この結果はPt1-xPdxと対照的であり、Ptナノ粒子に見られた低温の1/T1の異常はd電子に由来していることを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、さらにPtナノ粒子で見られた「量子サイズ効果」を理解しその制御のために以下の研究を計画している。 ① Pt1-xNixナノ粒子による磁性の発生。我々のpreliminaryなNMR測定から、Ptに同族のNi混ぜたPt1-xNixナノ粒子では磁性が現れることがわかった。具体的にどのNi濃度から磁気的な振舞いが見られるのか、NMRや磁化測定から調べる。ナノ粒子の磁性はよくわかっていない点も多く、またナノ粒子磁性に関するのNMRの研究も皆無である。Pt1-xNixナノ粒子のx依存性や粒径依存性を調べ、磁気転移温度や磁性の性質を調べる。また量子臨界現象が見られるかどうか調べる。 ② d電子を含まないAuCuナノ粒子のNMR測定。ナノ粒子の研究では単純金属であるCuナノ粒子の研究が1960年代よりおこなわれてきた。ナノ粒子の被膜としてPVPを用いる合成法では、Cu単体のナノ粒子生成は難しいが、同じd電子を含まないAuとのナノ粒子Au1-xCuxは生成可能である。d電子を含まないナノ粒子の1/T1の測定を行い、Ptで見られた「量子サイズ効果」がs電子金属ナノ粒子に対しても観測されるのかを調べる。 ③ high-entropyマテリアルのナノ粒子PtPdRhRuIrの磁性や電子状態。複数の元素からなるhigh-entropyマテリアルのナノ粒子の磁気的性質やPtサイトの局所状態密度をPt-NMR測定から調べる。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)