Project/Area Number |
21K18629
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 15:Particle-, nuclear-, astro-physics, and related fields
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
佐藤 修一 法政大学, 理工学部, 教授 (30425409)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | 重力波 |
Outline of Research at the Start |
申請者らは,雑音を抑え込むアプローチではなくて,複数の干渉計出力から雑音成分だけを引き算する DFI(Displacement Noise-free Interferometry) という光学設計を開発し,その原理検証をおこなってきた.本提案ではこの DFI の仕組みを取り入れることによって,重力勾配雑音を差し引けることを実証する.これにより,第3世代干渉計 の低周波側を制限していた雑音を取り除くとともに,さらに感度のよい干渉計設計が可能となる.
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Outline of Annual Research Achievements |
重力場変動による変位(加速度)信号を測定するためのDFI干渉計の設計および構築と予備実験を行なった.重力場変動による擾乱としての信号を観測することと併せて,最終的にはこれらを相殺することのできる光学系として,最もシンプルなDFIである双方向マッハツェンダー干渉計を採用することとした.同一の干渉計光学系に両方向からレーザーを入射することにより干渉計出力を2つ得ることができるが,鏡の変位の情報は両干渉計の出力に等しく現れるため,これらの信号を後処理で引き算することにより,鏡の変位情報(雑音)を消去することができる. 一方で,本研究の目的は重力場変動による変位雑音を測定することであることから,DFIの変位雑音除去機能を地面振動など擾乱由来の変位雑音には適用しつつ,重力場変動由来の変位雑音には感度があるようなDFIの幾何学設計を採用した.併せて干渉計を光学素子全固定型モノリシック構造とし,地面振動による雑音効果を受けにくい構成とすることとした.これらの設計を反映したモノリシック型DFIを干渉計として構築し,干渉計として機能すること,および雑音感度の評価を行った.この結果,擾乱としての地面振動は3桁程度相殺できることが確認され,数Hz程度までは光のショットノイズで制限される感度を実現した. 重力場変動を生成する機構としては回転ディスク型のアトラクタとその回転機構(モータ)についての検討を行なった.回転機構の発生する振動雑音が干渉計に支配的に現れないよう,回転機構と干渉計は別プラットフォームに設置し,かつ干渉計は能動防震系に設置するものとする.さらに振動由来の変位信号と,本研究の目的である重力場変動由来の変位(加速度)信号を区別するために,回転ディスク上の質量(アトラクタ)の配置を工夫することで異なる周波数での信号を印加することができるようなシステムとする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である重力場変動由来の干渉計信号を観測するためには,センサとなる干渉計ができるだけ擾乱に不感となる光学設計を行うこと,併せて重力アトラクタとなる回転ディスク機構が発生する変位雑音が干渉計に現れにくくする設計の2つが大きな柱である.前年度行った,両者について定性的・定量的評価を踏まえ,干渉計の予備実験を行い,想定される機能と性能を実証した.これらを踏まえ,回転機構の設計製作に進める段階まで検討が進んだものと評価される.
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Strategy for Future Research Activity |
回転(アトラクタ)機構の設計・製作を行い,機能確認をすると共に,干渉計を組み合わせた状態での感度測定を行う.干渉計は重力相互作用以外からの擾乱としての影響をできるだけ避けるためにモノリシック構造を基本とする.この干渉計機構は,これまでの予備実験により,通常のテーブルトップに構築した場合の干渉計に比較して3桁程度の雑音低減効果が実証されている. 一方で,本研究では信号となる重力相互作用による信号,つまり万有引力による信号を得るためには少なくとも干渉計の1つの鏡はフリーにする必要がある.これはモノリシック光学系の恩恵を被ることなく地面振動など擾乱の影響を受けることから,防振装置によって最大限の低減を実施する.これら擾乱の影響下にあってもなお万有引力由来の信号を確認するための重要なポイントは,擾乱由来の雑音は周波数帯域でブロードなスペクトルを示す比較的ランダムな性格であることに比較して,印加する万有引力由来の加速度信号は特定の(擾乱と混乱しにくい)周波数に特化したモノクロマティックな信号であることに依る.これを実現するのがディスクの回転機構である.特定の質量を特定の個数ディスク上に配置し,特定の回転周波数で回転させることによって干渉計の加速度プローブとなる鏡に特定の周波数の変調を加え.このスペクトル上のピークを同定することにより万有引力由来の加速度信号を検出する.これ以降は如何に重力場変動由来の干渉計信号を観測するかの雑音低減との闘いである.
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