デジタル画像相関法を用いた衝突破片速度分布の解析と氷接触連星の形成過程への応用
Project/Area Number |
21K18654
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
保井 みなみ 神戸大学, 理学研究科, 講師 (30583843)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 雪・氷層構造標的 / DIC法 / 衝突破壊強度 / 破片速度分布 / 衝突実験 / デジタル画像相関法 / 層構造標的 / MATLAB / 変位 / 接触連星 / 氷微惑星 / 高速度衝突実験 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,カイパーベルト天体アロコスなどの氷接触連星の形成に重要な連星系の形成条件を調べるため,標的内部から放出される破片も含む全ての衝突破片の破片速度分布を実験的に調べる手法を確立する.破片速度分布の計測は,デジタル画像相関法を用いて行い,高速撮影した画像間のパターン変化の相関から標的内部の速度分布の時間変化を解析し,標的の破片質量と速度分布の関係を求める.そして,氷微惑星を模擬した氷・雪層構造標的の高速度衝突実験を行い,デジタル画像相関法を用いて実験データを解析する.最終的に,実験結果を用いた氷微惑星の衝突破壊・再集積の数値計算を行い,氷微惑星の連星系の形成条件を明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
太陽系外縁領域を起源とする彗星核やカイパーベルト天体は,2つの多孔質小氷天体が合体した接触連星として観察されることが多い.この領域で接触連星が高頻度で形成される理由を調べるためには,母天体である氷微惑星同士の衝突後の破片速度分布を調べて破片質量分布との関係を求め,その経験式を元に氷微惑星の再集積条件を決定する必要がある.本研究では新たな破片速度分布計測法として,デジタル画像相関法(DIC法)を取り入れた衝突実験を行っている. 今年度は,昨年度に確立したDIC法を,氷微惑星模擬物質である雪・氷層構造試料に適用することを試みた.標的は表層(マントル)に空隙率50%の雪,中心(コア)に空隙率0%の氷を用いた.直径は6cmとし,コア直径は3cmとした.破片速度解析用に半球試料,衝突破壊強度を調べるために全球試料の2種類を用意した.また,比較のために,空隙率50%の雪球標的も用意した.実験は神戸大学の低温室に設置された横型二段式軽ガス銃を用いた.弾丸は直径4.7mmのポリカーボネート球で,衝突速度は1,2km/sである.温度は-15℃とした. 全球試料の衝突破壊実験の結果,破壊の様子が雪標的と層構造標的では異なることがわかった.雪標的は,衝突点から放射状に破片が噴出した.層構造標的では,破壊されたコア破片が押し出されるため,衝突点近傍で弾道に対して垂直方向にマントルがより速く押し出されることがわかった.また,層構造標的の破片質量分布がマントルの破片質量分布とほぼ一致したことから,層構造標的全体の破壊はマントルの破壊が制約していることがわかった.そして,衝突破壊強度は雪標的より層構造標的の方が小さくなった. 半球試料のDIC解析を試した結果,層構造標的ではコア上のランダムパターンを認識することができず,昨年度の方法が適用できないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,昨年度確立したDIC法による破片速度の解析手法を雪・氷層構造標的に適用し,研究を進めた.まず,雪・氷層構造標的を作成するため,専用の治具を作成し,その治具を用いて中心のコアのサイズを2種類変化させた試料を作成することが可能となった.その層構造標的を用いて,これまで行われていなかった雪・氷層構造標的の衝突破壊強度及び破片質量分布に対するコアの影響を調べた.そして,衝突破壊強度は雪標的よりも層構造標的の方が小さくなること,全球の破壊の程度(破片質量分布)がマントルの破片質量分布とほぼ一致したことから,標的の破壊はマントルの破壊で制約されることを明らかにした.今年度は世界で初めて,雪・氷層構造標的の衝突破壊過程を室内実験で調べ,衝突破壊強度と破片質量分布に対する層の影響を決定することができた.雪・氷層構造標的は1km/s以下でもかなり破壊することがわかったため,より正確な衝突破壊強度を求めるために標的サイズを大きくする,または衝突速度を小さくすることを検討している. DIC解析の場合,半球試料の表面にランダムパターンを付ける必要があるが,昨年度行っていた石膏試料で用いたスプレー方式は低温室内では使用できないため,細粒砂を表面に貼り付ける方法を試した.その結果,雪標的では,表面上のランダムパターンの変位の時間変化を追跡し,移動速度を計算することができた.一方,層構造標的の場合は,氷コア上のランダムパターンとコア表面の色を区別するのが難しく,ランダムパターンの追跡ができなかった.これは,標的試料の全体のサイズとコア上のランダムパターンの配色の工夫により,DIC解析が可能になると判断した. 以上より,今年度は本来の目的であった雪・氷層構造標的の衝突破壊実験を開始し,衝突破壊強度及び破片質量分布に対するコアの影響を明らかにした.そのため,「おおむね順調である」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,今年度開始した雪・氷層構造標的の衝突破壊実験を更に進め,最終的には氷微惑星の再集積条件へと応用する. 全球標的の実験は,マントルの厚みと標的の半径との比を変化させ(次年度は0.3と0.8で実施予定),衝突破壊強度及び破片質量分布に対する層厚比の影響を明らかにする.また,層構造標的は脆く,2km/s以上の衝突速度ではかなり破壊されるために衝突破片の全ての回収が困難である.そのため,標的サイズを大きくすることで,より衝突エネルギーの範囲を広くする.これにより,より正確な衝突破壊強度を決定することが可能となる.次年度は直径6cmに加えて,10cmで行う予定である.さらに,マントルの空隙率を変化させた試料を用意し,衝突破壊強度及び破片質量分布の空隙率依存性も調べる予定である. 次に,雪・氷層構造標的のDIC解析を成功させるため,半球試料の直径を大きくした試料を用いて実験を試みる.また,現在は水を凍らせて半球のコア試料を作成しているが,割れて失敗例が多いのが欠点であった.そのため,液体の水と細粒の氷粒子を混合させたシャーベットを凍らせて,コアの作成を試みる.この作成方法が成功すれば,従来のコアとシャーベットを凍らせたコアで,衝突破壊強度や破片サイズ分布に影響が出るかを確認し,影響がなければ,作成が簡単なシャーベット状の半球コアを用いた試料を用いてDIC解析を試みる.コアの表面の色とランダムパターンとのコントラストをつけるため,ランダムパターンに使っている砂を明るい色を選択する.この作成方法が成功すれば,上と同様にマントルの厚みと空隙率を変化させて,破片速度分布の層厚比及び空隙率の影響を明らかにする. 以上の結果を用いて,破片質量分布と破片速度分布の関係を明らかにし,氷微惑星の再集積条件を計算する.太陽系外縁領域の衝突速度範囲で再集積可能な氷微惑星の物理条件を明らかにする.
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Report
(2 results)
Research Products
(21 results)