Project/Area Number |
21K18768
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 23:Architecture, building engineering, and related fields
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金田一 清香 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (00396300)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
|
Keywords | ウィズコロナ / 部分負荷率 / PCM / 熱交換器 / 熱交換性能 / ヒートポンプ / 換気 / エネルギー効率 |
Outline of Research at the Start |
新型コロナウイルス感染予防のため換気量増大のニーズが高まる一方で、空調エネルギーの増大が懸念される。また、カーボンニュートラル社会に向け、需要側では空調用途のエネルギー効率改善が重要な課題となっている。近年、省エネ空調設備として、インバータヒートポンプが普及してきたが、低負荷域の非効率な運転時間が多い問題があった。本研究では、コロナとの共存・カーボンニュートラルの未来を見据え、換気量の増大とエネルギー効率の向上という、相反する二つの課題を同時に達成する、新たな換気・空調一体システムを開発することを目的とする。そのために、短時間での熱の出し入れと室温調整機能を可能とする新たな蓄熱媒体を開発する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、コロナとの共存・カーボンニュートラルの未来を見据え、換気量の増大とエネルギー効率の向上という、相反する二つの課題を同時に達成する、新たな換気・空調一体システムを開発することを目的とする。そのために、短時間での熱の出し入れと室温調整機能を可能とする蓄熱媒体(サーマルバッファ)を開発する。サーマルバッファは相変化材料(PCM)を主体とし、室内の空調負荷が比較的小さい時期に、空調に加えてサーマルバッファへの蓄熱と外気の温度調節も行うことで、インバータヒートポンプの見かけ上の効率を向上させる。 本年度の成果は大きく2つに分けられる。一つ目に、サーマルバッファのプロトタイプを作製し、圧力損失や熱交換性能を測定した。実験は、空調空気相当の冷風によりPCMを凝固させる「蓄冷運転」を行った後、夏季の室温相当によりPCMを融解させる「放冷運転」を行った。その結果、圧力損失は通常の空調用熱交換器で100~200Paに対し、本プロトタイプでは35Pa以下となり低圧損を実現した。また、蓄冷・放冷時のいずれにおいても、相変化中の出口空気とPCM温度の温度差は概ね1℃以内にあり、高い熱交換性能が確認できた。風量条件の違いによらず高い総括伝熱係数が導出され、その関係式をシステムシミュレーションに組み込むこととした。 二つ目にシステムシミュレーションによる年間エネルギー性能の評価を行った。外気温度が相変化温度上限19℃を下回る場合に、室外機を停止させ、外気によってPCMを凝固させる「外気蓄冷制御」の有効性を確認した。昨年度までは高負荷時に充分な省エネ性が担保できなかったのに対し、本年度のプロトタイプの熱交換性能組み込みや各種制御改善の結果、PCM無しに比べ年間で約20%の省エネ効果が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に概ねPCM熱交換器プロトタイプの作製が済んでいたことから、2023年度はスムーズに実験データの取得にこぎつけることができた。今後、さらなる実験データの集積が必要ではあるものの、風量によらず非常に高い熱交換性能が得られたこと、また圧力損失も一般的な空調用熱交換器の半分以下であったことから、今回採用した設計で概ね充分な圧力性能や熱交換性能が得られたと考えている。また、システムシミュレーションにおいても、当初プログラムから制御の改善を重ね、特に換気・空調一体システムの特徴でもある外気導入条件を精査することで、年間約20%と高い省エネ性が示された。現在、論文投稿準備中であり、そのための経費は一部繰越しさせていただいたが、当初申請した研究内容は概ね良好に完了したといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回作製したプロトタイプはPCM充填量が0.8kgと、室内機一台当たりの想定量である4kgと比べてもかなり小さく、相対的に熱交換器自体のアルミの熱容量が実験結果に影響している可能性が考えられた。しかし、仮にサイズが大きくなったとしても、今回得た圧力損失や熱交換性能に影響は少ないものと予想しており、今後は実際の室内機と組み合わせた実大実験により効果を検証する必要がある。また、今回プロトタイプで得られた熱交換性能は非常に高く、熱交換器内のPCMと極めて近い温度の空気を取り出すことに成功した。このことは、これまでにない冷暖兼用のPCMー空気熱交換システムの開発につながる糸口として注目しており、今後のあらたな研究シーズとして着想したところである。
|