Project/Area Number |
21K18780
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 24:Aerospace engineering, marine and maritime engineering, and related fields
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Tottori University (2021) |
Principal Investigator |
岩佐 貴史 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (90450717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 恵一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 主任 (00770736)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 大型構造物 / 座屈モードと振動モード / 幾何学的パターンの周期性 / 変位の空間分布 / 最大挙動計測 / 幾何学的パターン周期性 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,座屈モードや振動モードに見られる幾何学的パターンの周期性といった構造物固有の形態学的特徴を利用し,大型軽量構造物の変位応答上限値を静的・動的問題を問わず限られた離散点計測データから一定の信頼度で推定する統一された方法論の構築を試みる. 従来の画像計測法や各種センサーを用いた多点計測法は対象構造物の寸法が大きくなるほど隣接計測点の間隔が広くなり,構造物に生じる最大挙動を適切に捉えることが困難となる.このような計測技術が抱える本質的な課題を構造力学の知見を援用し解決する新たな方法論の構築に取り組む.
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は展開型膜構造モデルを対象に,不確定性を考慮した変位応答スペクトル上限値の推定法を構築したが,そこでは,不確定因子として1)初期形状,2)展開力,3)展開時間,4)展開の非同期性を扱っていた.今年度は,これらの因子に重力の有無と空気による付加質量の有無の影響を加えることで,宇宙空間と地上試験との違いから生じる不確定性の影響を考慮した変位応答スペクトル上限値の推定法を構築した.さらに構築した推定法が折り目を有する膜面にも適用可能か検証した.その結果,今年度構築した変位応答スペクトル上限値の推定法は折り目を有する展開型膜構造モデルでも適切に機能することを確認した.この成果はThin-walled structuresに掲載されている.また,不確定性を含んだ展開型膜構造モデルの変位応答スペクトルが従う確率モデル群についても検討しているが,現時点ではワイブル分布への適合度が経験的に高い結果が得られているものの確証には至っていない.
一方,ハニカムパネルの音響試験と衝撃試験に関しては研究分担者の異動により試験の実施が困難と判断していたが,衝撃試験に関しては大学の実験室レベルで実施可能な縮尺モデルを用いて検討することとし,今年度は数値シミュレーションによる検討と並行して実験装置の整備に取りかかった(音響試験に関しては設備の特殊性もあり断念することとした).薄膜の振動問題と同様に衝撃試験においても各種不確定性の影響は無視できず,評価指標である衝撃応答スペクトルに影響を及ぼす.そこで数値シミュレーションにより,衝撃試験時に生じるばらつきが衝撃応答スペクトルに与える影響を検証した.その結果,ばらつきを考慮して予測を行った場合には,衝撃応答スペクトルを高く見積もる傾向がみられた.現在はこの原因について検討中であり製作した実験装置を利用して実験的側面から詳細に検証を行っていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の研究代表者の所属機関の異動により研究環境の再整備が必要となり研究に停滞が生じたことや研究分担者の部署間異動により当初予定していたJAXA所有の試験装置が利用できなくなったこと,さらにはコロナ禍による自粛制限等が重なり,昨年度は研究計画の見直しをせざる得ない状況となったことを報告した.この影響を2023年度に十分に克服することができず,結果として研究に遅れが生じ研究期間を延長することとした.現在の進捗状況は以下のとおりである.
当初の予定では,座屈モードと振動モードを表現する確率モデル群の存在を明らかにし,その確率モデル群を利用して「限られた離散点計測データによる大型軽量構造物の変位応答上限値の計算法」を構築することとしていた.しかし,検討を進めていく途中で,座屈モードや振動モードを表現する確率モデル群の検討には実現象に含まれる不確定因子の影響を考慮する必要があり,展開型薄膜構造物の振動応答を対象に不確定因子の影響を考慮した計算法の構築を行うこととした.その結果,不確定因子の影響を含む振動モードに対しては適切な確率モデル群を見出すことが困難となり理論モデルを利用しなくても予測ができる新たな計算法の構築を試みた.この計算法は対象とした展開型膜モデルに関して有効に機能することが確認され,当初想定していた予測法とは異なるものの研究目的の達成に資する予測法は構築できたものと考えている.しかし,理論的な確率モデル群を利用していないため,構築した予測法のモデル依存性については今後検討する必要があり,モデルの寸法等を変化させて検討していく予定である.
実験室レベルの縮尺モデルを用いて検討することとした衝撃試験に関しては数値シミュレーションベースの検討を行っているところであり,今後は実験を通して詳細に検討していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに構築した薄膜の変位応答スペクトル上限値の推定法に関しては,展開型膜構造モデルの寸法や折り目パターン等を変えて検討し,予測法の有効性について検討していく.本検討は従来の格子投影法を利用した計測実験に加え,汎用の有限要素解析ソフトウェアを用いた数値シミュレーションを用いて行っていく.これにより,理論的な確率モデル群を用いない予測法がどのようなモデルではうまく機能するのか,といった適用範囲について明らかにしていく.
また,衝撃試験に関しては数値シミュレーションによる検討結果として,不確定性を考慮した予測は衝撃応答スペクトルを高めに見積もる傾向があることが分かったが,この理由については未だ十分に解明されていない.そこで,今後は理論的な側面から検討をしていく必要があることと,数値シミュレーションによる結果はあくまで仮想的且つ理想的な環境で得られたものであるため,実験を通して「不確定性の影響は本当に衝撃応答スペクトルを高めに見積もらせる傾向にあるのか」,といった問いに対して解を見出していきたい.そのため,昨年度整備した縮尺モデルを用いた実験装置を利用して,数値シミュレーションで得られた結果の妥当性を検証していく予定である.
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