X線自由電子レーザーの特性を生かしたフェムト秒構造化学の開拓
Project/Area Number |
21K18944
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 32:Physical chemistry, functional solid state chemistry, and related fields
|
Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
片山 哲夫 公益財団法人高輝度光科学研究センター, XFEL利用研究推進室, 主幹研究員 (90648073)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
|
Keywords | 核波束 / X線溶液散乱 / X線発光分光 / X線自由電子レーザー / 分子動画 / 溶媒和 / ダイナミクス / 光反応 / フェムト秒構造化学 |
Outline of Research at the Start |
紫外ー赤外領域のレーザー光によるフェムト秒化学の発展の歴史を考えると、X線自由電子レーザーの応用はフェムト秒化学をフェムト秒“構造”化学へと進化させるポテンシャルを秘めている。本研究では、アセトニトリルに溶解した[Cu(dmphen)2]+(dmphen=2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)錯体分子の光誘起擬ヤーン・テラー構造変化を原子分解能で実時間観測する。この観測を通して「X線分光とX線散乱の2種類の計測がそれぞれどのような原子の動きに対して感度が高いのか?」という基本的な問いに対する解を導き出し、フェムト秒構造化学の飛躍的な発展へとつなげる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、X線自由電子レーザーの特性を生かして溶液中のポリピリジン銅(I)錯体分子([Cu(dmphen)2]+, dmphen = 2,9-dimethyl-1,10-phenanthroline)の光誘起擬ヤーン・テラー構造変化を原子分解能で直接観測し、ポテンシャルエネルギー面上で分子が移動しながら緩和していく軌跡を実験的にマッピングすることである。これにより、従来の紫外、赤外領域のレーザー光では不可能なフェムト秒構造化学を開拓することができる。 今年度は、昨年度計測した時間分解X線溶液散乱(TR-XSS)および時間分解X線発光分光(TR-XES)のデータ解析を行い、励起された分子の割合と錯体構造の変化を決定することに成功した。また、錯体の周囲を覆う第一配位圏の溶媒分子(アセトニトリル)の構造変化を定量的に見積もることができた。これらの解析を通して、錯体とその周囲を囲う溶媒分子がお互いに影響を及ぼし合いながらヤーン・テラー構造変化が進行するメカニズムを解明した。溶媒分子と溶質分子がお互いに影響し合いながら反応が進行すること自体は化学反応論の基礎といえるが、その一方で溶質分子内の構造変化と溶質-溶媒の分子間の構造変化(溶媒和ダイナミクス)が反応の進行過程でどのように関連しているかをサブオングストロームの空間分解能で捉える研究は世界的に見ても極めて例が少ない。これらの成果は、逆格子空間に投影された系の構造変化を直接観測するX線散乱を適用することによって初めて達成できたものであり、従来のフェムト秒化学のカッティングエッジを拡げてフェムト秒構造化学へと至るための端緒となることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では光誘起擬ヤーン・テラー構造変化の直接観測を予定していた。今年度の進捗により、予定を超えて周囲の溶媒の再配置(構造変化)を定量的に決定し、光誘起擬ヤーン・テラー構造変化が進行するメカニズムを原子レベルで説明することが可能になった。溶媒和ダイナミクスとその役割の解明は、当初の研究計画では考慮していなかった望外の成果であり、本研究の派生として新たな研究テーマを生み出す可能性があるため当初の計画以上に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ドイツの国際XFEL施設European XFELで計測したTR-XESのデータ解析を行い、X線分光から溶媒和ダイナミクスに関する情報を引き出せないか検討する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(23 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Melting of magnetic order in NaOsO3 by femtosecond laser pulses2022
Author(s)
Giorgianni, F.; Burian, M.; Gurung, N.; Kubli, M.; Esposito, V.; Staub, U.; Beaud, P.; Johnson, S. L.; Windsor, Y. W.; Rettig, L.; Ozerov, D.; Lemke, H.; Saha, S.; Pressacco, F.; Collins, S. P.; Togashi, T.; Katayama, T.; Owada, S.; Yabashi, M.; Yamaura, K.; Tanaka, Y.; Scagnoli, V.
-
Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 105
Issue: 15
Pages: 155147-155147
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-