可逆的な分子連結反応を鍵とする新規インターロック分子の設計と合成
Project/Area Number |
21K18950
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 33:Organic chemistry and related fields
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大森 建 東京工業大学, 理学院, 教授 (50282819)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | シクロファン / 面性不斉 / インターロック分子 / ロタキサン / カテナン |
Outline of Research at the Start |
インターロック分子は従来の合成分子にはないユニークな機能性を持ちうることから、特に材料科学の領域において注目されている。本研究では、共有結合の形成と切断を可逆的に行うプロセスを鍵として、これらのトポロジー構造を有機合成的に構築するための新たな方法論の確立を目指す。そして、これまでにない機能性を有する分子の発見を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究においては、共有結合形成を基盤とした堅牢かつ柔軟なインターロック分子の合成経路を開拓するため、まずその基本となるシクロファン合成ユニットの合成を行った。具体的には、アントラセン構造を母核に持つ誘導体の合成を検討した。昨年度の検討において、1,5-ジブロモアントラセン誘導体とアルキン(7-octyn-1-ol)を用いた薗頭反応にて調製したビスアルキニルアントラセン誘導体が、目的とするシクロファン単位の合成前駆体となることを見出したが、その総収率に課題が残されていた。そこで、まず合成効率を向上させるための検討を集中的に行った結果、シス選択的炭素-炭素三重結合の半還元、アルコール部の酸化およびWittig反応の各段階において収率を向上させることに成功した。そして調製したテトラエン環化前駆体を第一世代のGrubbs触媒を用いた閉環オレフィンメタセシス反応(RCM)に付し、アントラセノファン誘導体を合成した。さらに合成した化合物を用い、第2の架橋環構築に向けた官能基変換および環形成反応を行い、目的とする二重架橋型アントラセノファン合成単位を収率よく得ることに成功した。 またこれと並行して、上記の合成効率をさらに高めるべく、合成経路の改良を検討した結果、テトライン中間体を経由した短工程経路の実現可能性を見出し、その鍵となるnona-1,8-diyneと1,5-ジブロモアントラセン誘導体との薗頭反応において、対応するジイン誘導体の形成に有効な反応条件を見出すことに成功した。この合成法を用いれば、その後の検討に必要な合成中間体を十分量確保できるようになると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するためには、その基盤となるシクロファン単位の合成的供給法の確立が必要不可欠である。昨年度までの検討により、架橋鎖を1つもつ合成単位の合成に成功していたが、本年度の検討により、さらに2つ目の架橋環の構築にも成功した。これと並行して、合成したアントラセノファン誘導体の反応性や化学的安定性に関する調査も行った結果、化合物の配座や特性に関する有用な知見が得られた。そして今後のインターロック分子の設計・合成へ向け、検討を進める段階に到達した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はインターロック構造を構築するための検討を集中的に進める。具体的には、ロタキサン合成のために必要な軸分子の合成とシクロファン単位との連結、またカテナン合成のために必要な環状分子ユニットの合成とシクロファン単位との連結を行う。具体的には、調製したアントラセノファン誘導体に対し、フマル酸およびマレイン酸誘導体をDiels-Alder反応により連結し、プレロタキサンおよびカテナン誘導体を得た後、それを用いて大環状架橋鎖の構築を検討する。そしてそれに成果が得られた場合には、最終段階の鍵となる逆Diels-Alder反応を行い、連結したアルケン単位とアントラセノファン単位の切断を行い、目的とするインターロック構造の構築を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)