Project/Area Number |
21K19124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 39:Agricultural and environmental biology and related fields
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
嶋田 透 学習院大学, 理学部, 教授 (20202111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 允求 学習院大学, 理学部, 助教 (50847168)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 中胚葉 / 鱗翅目昆虫 / メタボローム / リピドミクス / RNA-seq |
Outline of Research at the Start |
本計画は昆虫の発生における新規な生化学システムを解明しようとする挑戦的研究である。申請者らは、カイコの変異体「腎臓形卵」(ki)の原因が、新奇な酵素をコードする遺伝子の欠損であることを発見した。ki変異体の産む卵は外観が歪んでおり、胚子発生で中胚葉組織が形成されずに致死するという特徴的な表現型を示す。原因遺伝子がコードするタンパク質は、配列の特徴から、脂質合成に関与する酵素であると予想される。その機能解明および産業応用のために、変異体におけるトランスクリプトーム解析およびメタボロミクス解析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
カイコの変異体「腎臓形卵」ki変異体のホモ接合の母蛾が産む卵は、外観が歪んでおり、胚発生の途中で中胚葉組織が形成されずに致死するという興味深い表 現型を示す。研究代表者らは、ポジショナルクローニングにより、ki形質の原因が、新奇なペルオキシダーゼ様タンパク質をコードする遺伝子の欠損であることを明らかにしてきた。エイコサノイドを中心として、網羅的なリピドーム解析を実施してきたが、変異体において変動する脂質を特定するに至っておらず、kiの原因遺伝子は未知の生化学的機構に関与していると推定される。一方で、CRISPR/Cas9法により正常蚕の原因遺伝子をノックアウトし、複数の変異系統を作出した。これら変異系統は、ki変異体と同様に、卵形の異常と胚致死を伴う卵を産下することが明らかになったが、致死率が100%ではなく、稀に孵化する場合があることが判明し、この事実を現在検証している。 ki形質の原因遺伝子をクエリーにして、後生動物のゲノム配列に対して網羅的な相同性検索を行い、相同遺伝子の分子系統解析を行った結果、当該遺伝子のオーソログは、チョウ目、ハエ目などの完全変態昆虫にのみ存在し、不完全変態昆虫には存在しないことが明らかになった。昆虫以外の節足動物においても、脊椎動物においても、オーソログが存在しないことが明らかになった。kiの原因遺伝子がコードするタンパク質にはペルオキシダーゼ様のドメインがあるが、オーソログおよび相同性の高いパラログは昆虫のみに存在することから、昆虫特有の機能を担っている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRISPR/Cas9法により正常蚕の原因遺伝子をノックアウトする実験を行い、複数の変異系統を作出した。これらノックアウト系統は、ki変異体と同様に卵形の異常と胚致死を伴う卵を産下したが、低頻度ながら孵化する場合があることが明らかになった。孵化の成否が遺伝的背景に依存している可能性があり、これを契機として致死原因の本質に迫るべく検証中である。また、ki変異体の原因遺伝子がコードするペルオキシダーゼ様タンパク質に関して、後生動物の相同配列における分子系統解析を行い、オーソログが完全変態昆虫にのみ存在することを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPR/Cas9法により、ki変異体の原因遺伝子であるペルオキシダーゼ様をノックアウトした結果、孵化率はゼロであるとは限らず、稀に孵化幼虫が得られることを発見した。この新規な事実は、当該遺伝子の機能の理解に不可欠と考え、経費の繰越によって令和6年度に結論を得るべく計画している。
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