Project/Area Number |
21K19210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 43:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
久堀 徹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (40181094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石内 俊一 東京工業大学, 理学院, 教授 (40338257)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | ATP合成酵素 / γサブユニット / ATP合成 / 回転 / リポソーム |
Outline of Research at the Start |
ATP合成酵素は、中心軸のγサブユニットが反時計回りに回転することによりATP加水分解を行う分子モーターである。これまで、酵素反応の詳細が生化学的に調べられ、生物物理学の研究対象として回転の力学特性も明らかにされている。しかし、クライオ電子顕微鏡観察により、膜内在性部分と可溶性部分からなる酵素複合体の全体構造が解明された現在でも、ATP合成時の時計回りの回転についてその詳細は明らかにされていない。そこで、リポソームに再構成した酵素を標識し、偏光照射による蛍光の退色と酵素反応に伴う蛍光の回復により回転を測定する新たな実験系を構築する。そして、ATP合成反応時の回転の速度論的解析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ATP合成反応時のATP合成酵素の回転軸が酵素反応と共役して回転することを実証することを目指して、タンパク質分子に結合していて一定方向を向いている蛍光分子の焼き付けによる退色、タンパク質分子の回転に伴う蛍光分子の配向の変化による傾向の回復を観察するシステムの確立を目指している。このような実験系を構築後に、既に確立しているATP合成反応の阻害剤の知見を活用して、酵素の触媒反応と回転の関連付けを行い、ATP合成反応における回転の実証を行う。 本年度は、単細胞緑藻クラミドモナスから完全複合体として単離生成したATP合成酵素について、蛍光標識を行うのに適切で、かつ酵素活性に影響を及ぼさない蛍光分子の選定を行った。その結果、Cy3分子によりATP合成酵素複合体を安定に標識可能なこと、および、標識酵素が活性を維持していることを見出した。次に、標識したCy3分子を退色させるレーザー光の強度、および、照射時間などの条件検討を行った。 続いて、リポソームに組み込んだATP合成酵素を用いて、同様にレーザー光照射による退色が顕微鏡下で観察可能かについての、装置の検討を実施した。 本研究で調製したクラミドモナス葉緑体ATP合成酵素のレドックス制御システムの生化学的な解析については、リポソームレベルでの制御研究を実施し、制御メカニズムについて重要な知見を得て論文発表した。 また、本研究で適用しているリポソーム実験系を利用して、ATP合成酵素自体の制御に関与することは知られているが、機能がわかっていなかったαサブユニットのアミノ酸変異がATP合成酵素に及ぼす影響を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Cy3で標識した酵素をリポソームに組み込む手順までを完了しているので、年度内に顕微鏡下でのレーザー光照射によるCy3の部分退色の実験を行う予定であった。しかし、研究体評者の久堀の定年、および、准教授の転出に伴う研究室実験機器の大幅な移動を実施する必要があり、測定機器の使用が困難になって実験計画を見直さざるを得ない状況にある。また、研究分担者も5月に実験室の移動を予定しているため、研究の再開時期は実験室整備が完了する夏以降まで延期せざるを得ない。機器使用の目途が立ち次第、強光照射による退色と酵素の駆動による蛍光の回復の実験を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
既に研究に必要なタンパク質の生化学的な処理条件は確立しているので、レーザー照射および顕微観察システムのセットアップが完了次第、蛍光退色・回復の測定実験を実施する予定である。
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